12話 マイホーム
宿を貸してやると言ってきた男についていった俺は、少しでかい屋敷に着いた。
「今日からここに住むといい!遠慮しなくていいぞ。自由に使ってくれて構わないからな!それと、その動物とやらは…そこを右に曲がって角を左の方に行った先に連れてくればいい。庭になっている、過ごしやすいはずだ」
お、おう。流れでこんな豪華なところに住むことになるとは…
「そういえば、君の名前は…?」
「名乗りが遅れていたな!俺はキュラゴクス。普通に読んでくれて構わないぞ」
「僕はバーザール。同じく、呼び捨てで構わない」
「そしたら、バーザール。その動物とやらを連れてきたら、二階に来てくれ!部屋を案内する。それから、パーティの仲間にも紹介して、ギルド登録だ!今日は忙しいぞ〜!」
キュラゴクスは、俺がパーティに入ったのがよほど嬉しかったのだろう。明らかに機嫌が良くなり、鼻歌まで歌っている。
「よし……」
半ば無理やりなんだ。まだ、信用できるわけではないが、これでガルヴァの安全もそれまでよりは確保できる。
あとは、パーティの奴らから情報を聞いたり、技を鍛えたり、金を稼いだり…するのはほとんど解決したようなものか。となると2つだな、これからは。
さっそく、ガルヴァを呼び寄せるとするか。俺は脳対話を試みる。
(おーいガルヴァ、聞こえるか?)
(はい、なんでしょう?バーザール様)
(森にも最近人間が出るようになっただろう?)
(はい。彼らは魔族を殺しに来ているようです。変に人数が増えても困るので、接触は避けています)
(いい判断だ。だが、安心しろ!今いる森より、比較的安全なところを見つけた。俺が成り行きで住むことになった家に、大きめの庭がある。そこならガルヴァでも居られるようだ。主人はまだ信頼できるまでのやつではないが、それでも森でいるより幾分かはましだろう)
(なんと…厚意に感謝します。)
(いや、いい。俺がしたくてしているんだからな)
(それで、どこで落ち合いましょう?街で直接は流石にまずいです…よね)
(ああ。だから、街の南で落ち合おう。)
(了解しました。今すぐに向かいます)
そうして、俺とガルヴァは合流したのち話を弾ませながら庭に入れるため家に戻った。街中でガルヴァを連れて歩くのは少し視線が痛かったが…
ガルヴァを庭に入れて2階に行くと、案の定キュラゴクスが待っていた。こちらに気がつくと、手を振り話しかけてくる。
「よー!連れてくるのは終わったか?」
「ああ。待たせたみたいだ、すまない」
「別に待っていないぞ。少し部屋を整理していたからな。今終わったところだ」
そう言いながら、俺の部屋となる部屋にキュラゴクスは入っていった。
広かった。15畳はあるだろうか。いや、もしかしたら20畳もあるかもしれない。
え、ここが、俺の部屋…
「こんな広いところもらっていいのか…?」
「ん?ああ、ここしかなかったんだ。狭いだろう。すまない」
今狭いって言ったか…?キュラゴクスの生活事情どうなってんだ…
「いや、ありがたいくここに住ませてもらうよ」
「それじゃあ、荷物とか色々起き終わったら1階に来てくれ!案内をする。それが終わったら、いよいよパーティのみんなと会うぞ!」
そう言われて、俺は部屋に入って扉を閉めた。
広い。とにかく広い。リビングくらいの広さだ。これなら、逆に過ごしづらいかもしれない。
俺は荷物を置きベッドに座った。うん、やはり落ち着かない。家具が少ないからか、ただ単に広すぎるだけか…
まあ、そんなことはどうでもいいか。最近色々あった中でやっと落ち着けるところを手に入れたんだ。今の状況を整理しよう。
(今は、ガルヴァも安全なところにいる。身の回りの安全は確保できたと考えよう。次にどうやるか。王と仲が良くなる、ドラゴンの姿で破壊しまくる、入念に暗殺する…今思いつくのはこれだ。)
今はまだ大戦が起こっていない。つまり、まだ他国がファラウルと協力するかもしれないということだ。
(そうしたら、人対人ではなく人対魔族になる。ガルヴァのためにもそれは避けたい。次に仲良くなるルートだが、これは不可能だろう。今から行っても1年はかかるんじゃないか?とすると、消去法で暗殺か…)
まあ、その方法も何もかもは色々探ってからだ。
(念のため聞いておくが、全知王は何かこの国の機密情報を知っているか?)
〈データ上に見つかりません。〉
となると、パーティに行かなければ始まらないな。
俺は立ち上がり、一階へ向かった。下には、キュラゴクスはいなかった。




