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【第13回ネット小説大賞・金賞】異世界に落ちて10年、高校時代のクラスメイト達が勇者召喚されました。  作者: ふぇありす
2章

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1章改稿・試作読⑪

空間収納からいつもの外套を取り出して纏う。じゃらじゃらと武器の音が鳴りそれが合図となった。


「殺せ!!」

襲いかかってくる暗殺者《不審者たち》、攻撃を外套で弾き距離を取る。


「おいおい、物騒だなっ!」


躱し、弾き、反撃を入れる。吹き飛んだ男が店先に積まれた木箱に突っ込んだり壁にぶつかり気絶する。


「こ、コイツ……強い……」


「まぁ……金等級だしなっ!」


「「「「「金等級だとぉ!?」」」」」


投げる、転がす、叩き付ける。絞め落とし、気絶させ、拘束していく。


「ふぅ……こんなもんか」


あっという間に制圧した俺が残りの奴等を縛り終えてると衛兵がやってきた。


「これは……」


「あ、すみません。ぶつかられた後、なんか難癖をつけられてナイフとか出してきて脅されたので……」


「いえ、助かりました……それと、ドレス姿の少女は見ませんでしたか?」


「それでしたら、追われていたのであちらの店に 匿ってもらってます」


丁度そのタイミングで三人が戻ってくる。


「ティティア様!!」


「よくぞご無事で!!」


「……………(こくり)」


駆け寄ってきた兵士にお嬢様を引き渡す。一応警戒されているがいきなり抜くような無礼はしてこない


「二人とも、ありがとう。助かったよ」


「これくらいしかできませんので……」


「それよりも、ホウショウさんって強いんですね」


「まぁ、それなりにだけどね、それにコイツ等そこまで強くないし」


「あ、あのぉ……」


申し訳なさそうな声に振り返ると、兵士の一人が困惑した顔で立っていた。


「すみません、助けていただきました皆様に失礼を承知なのですが。詰所まで来ていただけますか?」


「えっ……」


二人に視線を向ける。こちらの言葉がわからないので不思議そうな顔をしている。


「えっと、こちらの二人もですか? 関係なさそうなんで俺だけでもいいでしょうか?」


「すみません、こ奴らとの繋がりがないと判断できませんので」


「わかりました、拘束は……」


「いえ、剣を預けていただければ」


「わかった」


剣をベルトから外し手渡す。


「では、皆様。こちらへ……」


衛兵に連れられ詰所へ向かう。そこで幾つかの事情聴取を受けていると入口が騒がしくなり厳ついオジサンが顔を出した。


「イイイ、イブキ公爵様!!」


「えっ!?」「「??」」


「ここに、今回の功労者が居ると聞いてな」


低く、渋いダンディーな声、でも聴き心地が良く癒されるような声が聞こえた。振り返るとそこには、相変わらず若々しく、とても五十手前には見えない壮年の男性が立っていた。


「ふむ……ふっ!」


「!!」


咄嗟に衛兵の剣を抜き鈍重な攻撃を受け止める。一瞬見せた殺気を全く感じさせないその声の主に視線を向ける。


「失礼した。相当の実力者故に、少し〝見てみたくなった〟のでね……」


「流石……魔の森の前線指揮官を担当されている方ですね。攻撃が重いです……」


腕に嵌めた手甲を緩めながら笑う。以前防衛戦で見たことがあるのだが、その時は剣で魔物をド派手に薙ぎ払ってたんだけどな……。


「ほう、貴殿は極月日に居たのだな?」


「はい、これでも金等級ですし、冒険者としては割の良い仕事ですから」


指で硬貨のマークを作り、ニヤケ笑いを浮かべる。


「ハッハッハッ! そうは言いつつも金にならない違法奴隷商を捕まえ、その奴隷たちを面倒見ているのだろう?」


どうやら公爵様は自領の政治はしっかりと行っているようだ。


「あーはい……成り行きですが……でもこの二人は違いますよ?」


「そうなのか? ふむ、褒賞は……」


「え、すみません。そういったのは……」


「むぅ……残念だ、ではお礼に食事というのは?」


「すみません。俺たちはそこまで礼儀作法というものには詳しくないので……」


「そうか……」


「今回は大したことはしてないので、褒賞については結構ですよ」


「うむ、残念だ……」



◇イブキ公爵side◇


「中々、気骨のある人間でしたな……アラテシア様」


「そうだね~、直に見れてよかったよ」


「だとしても、護衛を振り切らないでください。相当ショックを受けてましたよ」


「あーそれはごめんね……護衛がいるとどうしても身構えられちゃうからさ」


「それはそうですが……お命を狙われる立場というのを忘れずにいてください」


「はーい……」


「それはそうと、いつまで娘のドレスを……」


「えーカワイイじゃん!」


「王子であることを自覚してください。それと、王城での襲撃は無事にやり過ごしたそうです」


「良かったぁ……流石はミレディ」


「さて、お着替えになってから王都に戻りますよ」


「えー、もう少しここで羽根を伸ばすのは?」


「駄目です。兄上様方がお待ちですので」


「はぁ……しかたないなー」


そう言って少年は部屋を出ていった。


「ホウショウか……実に好ましい青年であったな」


すぐにでも我が騎士団の一員に加えたいと思ったくらいにできた男だ。


「かの若人に、主神のご加護があるように……」


◇ホウショウside◇

「それにしても、良かったの?」


「何が?」


「いや、公爵様なんでしょ? お礼もらっとくべきじゃない?」


「あーうん、本当はもらってもいいんだけど。紐付きになるのは嫌だからさ」


「紐付き?」


「公爵様は鷹取さんに借りを作ったのです。次に何か無理難題を押し付けられそうになっても断れるように……ですよね?」


蒼井さんが説明してくれる。今回の件で金銭なり物品なりを受け取ってしまうと、次回の無理難題《交渉》が容易になりえるし。イブキ公爵と繋がっているということで、公爵のことを気に食わない貴族からやっかみを受けることがあるのだ。


「そうだね、この関係はこちらへの貸し借りがあれば余計に踏み込まれないからさ。まぁ、イブキ公爵は事情を顧みないで踏み込んでくるような人じゃないのはわかってるけど。貴族のゴタゴタに巻き込まれるのは嫌じゃん」


「そういうことなのね……」


「まぁ、俺はこの世界で長いからね。それにしても、蒼井さんがわかってるのは凄いなぁ……」


「あはは…… 私《わたくし》の家にも色々な派閥がありますので…………皆さん忠誠心は高いんですが……」


苦笑いをする蒼井さん。家庭の事情にあまり踏み込むのはNGだ。


「とまぁ、準備整えて。王都に向かおうか!」


「「おー!」」


二人が元気良く応えた。

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