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仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第三章 代理戦争
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第60話 罪滅ぼし

 俺はヤミーに説教を受けている。

 マフィア達に行った仕打ちが、いくら外道相手でも酷すぎるという理由だ。

 だがヤミーには悪いが、絶対に許すつもりはなかった。


 だって、しょうがねえだろ?


 あの野郎ら、年端のいかねえガキらにシャブ売らせたり、売春させてたんだから。

 おまけに、俺の救う世界でシャブなんか作ってやがって。

 最高幹部の議員連中なんざ、死んで当然だ。


 そして、俺がいくら外道共をケジメようが、この世界の状況は一向に良くならねえ。

 特にこの共和国、プータロー共や浮浪児が多すぎだろ。


 まず、この世界の教育レベルが低すぎる。

 一応大学とかは各国にあるし、レオーネも王国の大学を卒業している。

 だが学校なんざ、全寮制で貴族のガキや金持ちしか入れねえ。

 この共和国の場合は、士官学校なんてのもあるが、貧乏人には無理よ。

 だから、元貴族派閥のボンボンじゃねえと、軍の士官になれねえ。


 それに教えているのは、魔法学や軍事知識、国語に、数学や法学くらいなもんで、一般人はそれすらも教わることもなく、親から最低限の事しか教わらず、一生を終えていく。


 俺は転生前、家庭環境のせいで学校とかにロクに通えなかったから、極道になってシノギの合間の時間を使って、必死に本を読んだりして、知識を蓄えたからよくわかるが、生きていくうえでガキへの教育は重要かつ必要不可欠だし、極道の中にも、俺と似たような境遇の奴は少なくなく、自分のガキにはきちんとした教育を受けさせ、大学まで通わせた極道だってごまんといる。


 アフリカとかでもそうだが、教育レベルが低いとガキらは悪さばっかりして、ギャングなんか生まれていき、社会は腐敗し、このろくでもねえ世界の貴族共や、議員連中のような野郎らに、いいように利用されて、さらに弱い奴らが食い物にされる。


 だが俺の縄張りではそんな事は絶対に許さねえ。

 転生前の俺のような、みじめなガキ共を放っておくことは、任侠の精神や仁義に反することだし、何よりこの俺がそんな世界を許さねえからな。


 だから、俺はこの世界の教会制度の孤児保護制度を発展させ、義務教育制度を作る。


 転生前、散々好き勝手して社会や世間様に迷惑をかけた、前世の罪滅ぼしの一つだ、


 ちょうど議員の議席の空きが5つほどできたし、コルレドの他に、共和国籍のある商人ギルドの連中にでも立候補させて、選挙で教育制度改革を打ち出して、義務教育制度をこの共和国に認めさせてやる。


 ちなみに孤児保護制度とは、身寄りのねえガキを教会が神父見習いにして、教会神父を育成する制度の事で、俺はこの世界でおやっさんに引き取られて、この制度の恩恵にあやかり、ニコにもこの制度を適用させた。


 この孤児教育制度は、教会の先代の教王さんが提唱し、その娘である今の教王さんが発展させていった制度で、大きな町には必ず神父見習いたちを育成する孤児院がある。


 だが、この世界に神父なんてもんを、たくさん増やしてどうするよっての。

 俺のいた日本には、職業選択の自由を憲法で認められていた。

 自分が好きなことやるには、やはり教育が重要。

 それにこの国は、一応議会制民主主義かつ資本主義国家だから、王国なんぞよりも制度改革に向いてやがるから、まずはこの国で、義務教育をこの世界でのモデルケースにしてやろう。


 まあ、学校からあぶれたガキ共は、教会で引き取って異端審問官として教育させるか、それでもダメな悪ガキ共は、俺が徹底的に任侠道を叩きこむ予定の、極悪組傘下のマフィアの下働きにでもして、落ちこぼれ共を再教育してやる。


 もともとのヤクザなんて語源も、花札のおいちょかぶの手札で、8のススキ、9の菊、3の桜とかいう絵柄的には大変は華やかに見えるが、足すと0になるから、派手だが役に立たねえクズ手札の事を指すし、ヤクザ渡世全般に言えるが、社会の落ちこぼれ共や無法者のゴロツキ共を、組織に入れて徹底的に管理して、よそで悪ささせねえようにするような所もあるしな。


 だから転生前に社会のクズだったヤクザな俺が、この世界を任侠道で救う。

 俺はこれがやりたかったから、転生したんだ。



 そういうわけで、俺はこの義務教育案をまとめたレポートの決済をとりに、教王さんの所に赴く。


 ヨゴレマフィアの親玉を教会から追い出して、俺が司祭の認定を受けたからな。


 転生前は、任侠道を提唱していた、自分の親分である先代の組長を追い出して、極悪組の天辺になった俺だが、今回の件は悪党退治の一環だから、なんら人様に後ろ指をさされる話じゃねえ。


 そして教会本部の教王の間に入り、俺は跪いた。

 俺が教王の間に抱いた印象は、寝室だった。

 正面には、ベールのようなカーテンがかかったベッドがあり、この中に教王さんがいるのだろうか?


 まあ、そうだよなあ。

 今まで暗殺を恐れてたって話もそうだが、女の寝室に素性もよくわからねえ輩を、入れるわけにもいかねえから、教会司祭以上じゃねえと、面会をさせないのは筋が通る。


 へっへっへ、じゃあイイ女だったら俺がコマして教会を支配してやるか。


「教王猊下、このたび新しく教会司祭になりました、マサヨシと申します。お目通りできて光栄でございます。ここに私が打ち出した、制度改革要望案がありますので、お目通しを願います」


「か、かしこまりました。そ、そこにおいてくださいまし。決済は後日に」


 あん? ちょっと甲高いような若い女の声?

 女だとは聞いていたが、これ俺と同い年くらいじゃねえのか?

 ていうか、テンパりすぎじゃね?

 声がどもりまくってるぞ。


「いえ、せっかくですので、この勇者マサヨシは、教王猊下への面会を希望します」


 ちょっと、しつこく粘ってみるか。

 うまくいけば、俺様のイケメンぶりで口説き落とせるかもしれねえ。


「も、申し訳ありません。マサヨシ司祭が勇者であるのは、数多くの報告でわかっているのですが、わ、私目を生まれながらに患ってしまっており、目が見えません」


 マジか、目が見えねえのかよ教王さん。

 これじゃあ、俺の見た目で口説くには無理だな。

 じゃあ、俺の口八丁で揺さぶりをかけてみようか?


「教王猊下が、お気になされていた孤児教育制度の、改革案でございます。この世界には、教育を受けられない可哀そうな子供たちが多くおります。ですので教会の資金で、まず3歳から15歳までの子供たちに、きちんとした知識や道徳を授けることが、この世界救済に必要かと思いましたので、レポートを作成いたしました」


「わ、わかりました、読み上げてください。と、とてもいい案に思えます」


 よおし、掴みは上々。

 俺は教育案を読み上げて説明する。

 次に、プライベートな話題や生い立ちから話に行こう。


「色々報告や話は聞いているかもしれませんが、自分はデーバ町の教会前で拾われた孤児でして、神の御導きにより、この世界救済をしている旅の途中でございまして……」


「ええ、お話は聞いてます。よ、よろしければ勇者様。わ、私の17年間の生い立ちをお話ししたいのです。私は、生まれた時は、今は亡き先代の教王様の立ち上げた孤児院にいた孤児でして、生まれつき、目が見えなかったのですが、そ、その代わり神霊魔法、そして私しか使えない、天界魔法の才能もあって、わ、私が救世主様の血族の者という事で、現在教王に」


 マジか、この人救世主、100年前の俺の先輩の血縁者だって事か。

 ていうか、天界魔法ってなんだよそれ。

 聞いた時ねえよ、そんな系統の魔法はよ。

 それに、この人も元々孤児出身か。


「なるほど。実は私も、この世界の人間には使えない、冥界魔法を使えまして、お互い似たもの同士ってことですかね」


 俺が笑うと、ベールに包まれてて姿が見えない教王さんの笑い声がする。

 ああ、まずいわ、本気で惚れちまうぜ俺。

 話した感じ、性格がいいし人間もできてやがる。


 俺の周りにいる女ときたら、どSのちんちくりんや、俺以外の周りへの圧がすげえアホの聖騎士に、外道に堕ちた元子分のサイコパスときて、俺の体が目あての魔王軍のポンコツ軍人だろ?


 まともな女が一人もいねえ……。


 これは是が非でも俺の女にしねえと。

 などと、俺が思っていたらベットのカーテンが開く。

 俺がそこで見たのは、でっかいメロン二つだった。


 白の僧侶服に包まれた、はち切れんばかりのメロン二つ。

 そして、薄い緑かかった髪に可愛い顔した女神が、金の杖を持って出てきた。 

 そして目は見えてないのか、瞳は閉じたままだった。


 ていうかやべえよ、何だあの胸の大きさ。

 巨乳とかそういうレベルじゃなくて、爆乳過ぎるだろ。

 これはアレだ、俺のモノにするとかおこがましい。

 あそこまで胸がでけえとか、もはや俺の信仰の対象だわコレ。


「司祭にして勇者マサヨシ様、す、少しお顔に触れても?」


 ふぁあああああああああああ!

 マジかよ、テンパっちまうじゃねえかこの俺が。

 くそ、俺は極道だぞ馬鹿野郎。

 あんたみたいなお人が、触るとかおこがましいんだって。


「いえ、今回はお顔を拝見できましたので、またの機会に」


 そして俺は踵を返して、教王様の部屋を出る。

 さっきから心臓の高鳴りが止まらねえよ、やべえぞマサヨシさんよお。

 すげえ清純な感じで、顔がかわいくて胸がもう、メロン。

 もうマブいというか、まぶしすぎて後光を感じたよ、俺の女にとかそういうレベルじゃねえ。


「よし、また来よう」


 俺は呟き、武神隊基地に戻る

 まだ心臓のときめきが止まらねえよ、クソが。

 俺は思いながら、武神隊の基地前で隊員相手に乞食をしてる集団を見やる。


「くせえんだよ、プータロー共が! ぶち殺すぞ!」 


 俺は怒鳴り散らして蹴散らした。

 ああいう手合いは、かわいそうだからって金を渡すと、どこまでも図々しく付きまとってくる、言うなればカタギ相手につまらねえ因縁(アヤ)つけながら、付きまとってきて、恐喝やタカリだけで飯を食っているような、三下ヤクザみてえな社会のクズ連中だ。


 マフィアの一つを俺の傘下に置いたのはいいが、さっさとこの世界を好転させねえと、浮浪児の問題も解決しねえばかりか、こんなどうしょうもねえ奴らが、あふれかえっちまう。


「世の中には、ああまでして飯を食べていくしかねえ、人々や民草もいるんだ。さっきの言動はよろしくねえ」


 武神隊の基地の入り口の前に、さらに子汚い野郎が座って、俺に難癖付けてきやがった。

 こいつくせえし、しかも顔のつくりがブサイクすぎるだろ。

 ひげも剃ってねえで伸ばし放題だし、色が浅黒くて髪の毛もひでえ有様になってる。

 歯もボロボロで、汚えったりゃありゃしねえ。


「うるせえよ、乞食野郎。ここはテメーがいつく場所じゃねえ失せろボケ」


 俺は野郎を思いっきり蹴り飛ばし、地べたにつばを吐いて基地の中に戻る。


「人類を救う勇者と聞いていたが、所詮その程度の器量か」


 乞食野郎は、知った風な口を利いてプータロー集団を連れて消え失せた。

 なんなんだあの野郎、ムカつく野郎だぜ。


 俺は思いながら、武神隊のエンリケを呼んで、ここに近づけさせるなと命じた。

 そして、マフィア共の現状について対策会議を行う。


 とりあえず、大手組織の一つは俺の傘下に置いたが、まだまだ油断ならねえ状況。

 特に裏社会の情報網ってのは、噂が回るのが早い。

 俺達がやつらの縄張りを奪ったって話を聞いて、調子に乗る奴らが出てきてもおかしくねえ。


 そして今度は、半グレ連中のような小規模犯罪ギルドをターゲットに決めた。

 繁華街周辺を中心に、活動している愚連隊のような奴らだ。


「一番隊から三番隊へ、繁華街へ潜入して野郎らの情報を集めろい!」


 俺はエンリケと共に武神隊に指示を出した後、子分たちの様子を見に行く。

 ニコとブロンドは、ナイフとレイピアで戦闘訓練を行い、ドワーフ三兄弟はコンビネーション技を磨いているような感じだった。


 それを見守るようにして、メリアちゃんはヤミーとおしゃべりしてる感じだった。


「おう、兄者! あいつら気合入っててな、もう朝からこんな感じよ」


 ガルフが酒瓶片手に声を掛けてきた。

 他にも、レオーネの太陽騎士団と武神隊の連中が、対抗防御と攻撃実施部隊に分かれて訓練を行い、ドワーフ連中も、岩とか使って筋トレしているような感じだった。


「そうかい、兄弟。うちの組には慣れたかい? 何か困ってることねえか?」


 俺はガルフに組の現状を聞く。

 こいつは、国王をしていただけはあって、よくまわりを見ている。

 俺も多少、気を使って舎弟や子分の面倒は見ているつもりだが、武神隊連中の話を聞いたり、教会本部に顔出ししたりして、全てに目が向いているわけじゃねえしな。


「ああ、それな。まずブロンドだが、たまにワシに良くねえ目で見てきやがる。あれはワシの命を狙っとるじゃろうの」


「あ? なんだそりゃ?」


 俺は木刀片手に、ブロンドを教育しようとしたが、ガルフが手で制した。


「しょうがねえ話さ、兄者よ。ワシはあいつの親父を手にかけた仇だ。遺恨ってのはすぐには解消はできねえってことよ。たとえあいつが俺の命を狙ってても、しょうがねえだろ?」


 そうか、ブロンド。

 あいつは元はエルフ王のグルゴンだったか。

 確かに、エルフの先王はガルフが戦争で殺した。

 だが、俺の組の中で内部抗争の目は詰みとりてえし、ブロンドの野郎を極道組織の大罪、叔父貴殺しの罪は背負わせたくねえ。


「兄弟の言い分はわかる。だがよ、俺の組ではそんな事は許さねえ。あいつはまだガキだ、徹底的に今のうちに教えとかねえと、組織は分裂しちまう。俺は前いた世界の過ちは繰り返したくねえ」


 するとガルフは俺の頬を思いっきり張った。

 この野郎舎弟のくせに。


「小せえ! たかが命を狙われてるだけだろうが! ワシはそれだけの事を、あやつとエルフにやったんじゃ! それに見ろや、あのニコを。あのガキ色々とブロンドの面倒見て、ワシの息子共も世話になっとる。奴はいずれ、兄者の器量を遥かに超えて、偉大な王になるだろう、そういう気風をあいつは持ってる。兄者よ、ここは次世代の奴らに解決させる問題じゃ。ワシらはそれを見守ってやろうや」


「そうだぞマサヨシよ、ガルフの言う通りだ。お前が思っている以上に、あやつら色々と物事を学んでいる。お主が今までどういう人生を歩んで、どういう結末を迎えたのか、私は大王様とお嬢様を通じてよく知っておる。困ったことがあれば私達が助けよう」


 いつの間にか、拒魔犬の兄貴が俺の足元に、尻尾を振ってお座りしてやがった。


「わかったよ兄貴。だがガルフよお、なんかあったらすぐ俺に知らせろよ? いきさつや過程はどうあれ、ブロンドは俺の子分だ。あいつからケジメの小指は取りたくねえ、頼むわ」


 俺はこの世界で、いい兄貴分や兄弟分に恵まれたと思う。

 もう少し、この兄弟たちを頼る事にしよう。


「兄者は、一々考えすぎる! よくねえ癖だ。男ならよう、ドンと構えてりゃあいいんだ。種族は違うがそんなもんだろ? 男ってのは」


「うるせえ馬鹿野郎。てめー舎弟のくせに能書き垂れやがって。しょうがねえ、次の喧嘩も控えてるし、その酒を俺にも寄こせ。飲まねえとやってらんねえや」


 そして兄貴が、俺に呟いた。


「マサヨシよ、お前は業によって苦しんでいるが、その業と前世の記憶、そしてお前の、罪滅ぼしの後悔の念が、この世界を救うカギになるやもしれん」

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