第58話 シマ荒らし 後編
そして、マサヨシはチンピラ達の情報をもとに、完全装備の真っ黒い鎧を着た武神隊を送り込み、マフィア宅への夜の家庭訪問を行う。
こういう時に、表の顔があるマフィア達はきついよなあとマサヨシはほくそ笑む。
ヤクザ組織は、基本的には組の看板を掲げ、自分たちはヤクザであるという自負があり、違法行為に手を染めるのがほとんどであるのに対し、マフィア組織は基本的に表の仕事を持ち、特に、マリオファミリアの中堅達は、スラム街出身者が多く、マフィアとはいえ成功してスラム街から離れたところに、家や店舗を持っていて、表面上は普通のギルド商社に勤めたり、自営業を営み、家族にも自分の素性を隠して、犯罪行為に手を染める場合が多い。
だからマサヨシは、異端審問官達や武装神父隊を使い、家族の前でマフィアの構成員の素性と犯罪事実をばらし、家族友人の前で徹底的にリンチで痛めつけた後逮捕して、心をへし折る作戦へと出たのだ。
これは彼が転生前に、子分の滝沢康ことヤスの発案で、縄張りに入ってきた外国組織の連中に行った手法であり、自分たちヤクザの正当性を声高に主張し、同胞の目の前で残虐なリンチを行い、親類や友人たちの身柄を盾にして、自分たちヤクザの意のままに操つる手法である。
しかし海外マフィアは、ヤクザをなめて開きなおり、立ち向かってくる連中も少なくなかった。
アジア圏のマフィア達は、皆兵役を受けているからと、自身たっぷりの連中も多く、武器や格闘で喧嘩をやれば、ヤクザなんて倒せる、殺せると勘違いしていたのだ。
なめられているのに激怒した、清水正義達、極悪組を始めとした、日本の極道組織は、組織力を使い、一人、また一人と探り出し、行方不明か、怯えさせて国に帰らせ、時には警察にマフィアの悪事を密告するなどして、逮捕させる手法も取る。
日本の警察は、外国人犯罪者の取り締まりや実態把握はするが、外国マフィアの構成員が行方不明になろうが、国に帰ろうが、彼らの犯罪事実が発覚していない場合、捜査などすることはあまりないのをいい事に。
ヤクザ達はこうして日本にいる外国マフィア達を、服従するか死かを選択させ、これを恐れた海外組織は、ヤクザと表向き友好関係を結んだのだ。
さらにそれを下に見て、金で懐柔して、身内を裏切らせ、ヤクザの恐ろしさを徹底的に頭と体でわからせてから、交渉事で優位な条件を結ぼうとした。
こうして清水正義達ヤクザ達が開拓したのが、海外マフィアからの覚醒剤の密輸ルートだったり、人身売買ルート、盗難自動車輸出ルートなどだった。
日本のヤクザが、自分達が思っている以上に、外国組織から恐れられる理由の一つである。
そしてマサヨシは、フリーダムシティ郊外にあるマフィアの地下農場へと、風魔法を使って拒魔犬を抱えて空を飛び、上空へ到着する。
兄貴分である拒魔犬の活躍や、異端審問官達の報告により、マリオファミリアの主な収入源が、繁華街やスラム街の、麻薬であることが判明したため、赴いたのだった。
「マサヨシよ、私の鼻によるとここで間違いない。おそらく幻惑作用のあるキノコを、地下で栽培し、あそこに見える精製工場で白い危険な粉に、加工しているのだ」
ついこの間まで、魔王軍前線基地だった青い月の作用で、まともな作物は育たず、キノコ採取と栽培が、この世界の主な農業であった。
幻覚作用があるキノコは少量であるならば、この世界でも食用として用いられる一般的なものだが、幻覚作用と多幸感を生み出す成分を濃縮し、脳を萎縮させ、人間を廃人にする覚せい剤のような、麻薬が作られている。
「ここがシャブの精製工場ですかい。シャブ、シャブねえ、くそむかつくぜ!」
マサヨシは激怒する。
マサヨシの転生前の人生は、薬物に狂わされたと言ってもおかしくない。
転生前の自分の母親が狂って、自分がヤクザになったのも覚せい剤、幼い自分を助けた恩人が死んだのも覚せい剤、そして転生前の極悪組の運営のため、子分達に容認したのも覚せい剤で、清水正義が金に狂った原因でもある、悪魔のクスリ。
「兄貴よお、俺はこいつだけは絶対許せねえんですわ。こいつがあると、転生前のガキだった自分みてえな、可哀そうな街の浮浪児達を生み出すことになる。だからよ、徹底的にやらせてもらいますわ」
「それで、貴様の魂が救われるのならば、私は何も言うまい」
事実上、殺人やむなしの兄貴分の許可だった。
マサヨシは、地下工場の坑道に向けて、土魔法で作った粉塵を風の魔力で充満させる。
これはただの粉塵ではなく、アルミニウムにも似た、発火作用のある金属粉だった。
「げっほげっほ、まずい、粉塵が、岩盤が崩れるぞ! この農場はもうだめだ! 息を吸うな、みんな逃げろ!」
農場経営に携わった男達が次々と出てくるので、マサヨシは出てきた男達に、木刀の一撃を次々と加えていき、昏倒させて安全地帯まで運び出す。
そして拒魔犬を抱えて、一気に上空まで退避し、金属粉が充満したところで、マサヨシは洞窟入り口へ、種火のような炎魔法を加えた。
「ふっとべ、馬鹿野郎!」
マサヨシが叫ぶと、地下農場があった地盤ごと大爆発し、数100メートル沈下する。
転生前マサヨシが読んだ本の知識、粉塵爆発。
広大な地下農場のキノコは全て消失し、麻薬の原料は消え失せた。
そして金属粉を吸い込んだ男達も、いずれ重金属汚染や肺ガンになって死を迎えるため、マサヨシはこの世界の奴らを、麻薬で苦しめた報いを受けるがいいと思いながら、今度は精製工場に怒りの矛先を向ける。
「俺の、俺が救うべき世界で、俺の縄張りでシャブなんか、作りやがって! 絶対許さねえ! 消えちまえ! 熱風! 熱風! 熱風! 熱風!」
連続で、広範囲を炎で覆いつくす魔法を連続で唱えると、夜間の為に常駐者もほとんどいない麻薬精製工場は炎に包まれる。
「ハッハー、いい気味だぜ! 全部燃えちまえクソが!」
こうして、マリオファミリアは主要な資金源を失い、次にマサヨシは深夜に鞄を持ち、マフィア幹部の、ギルド商社の正面玄関に赴く。
鞄は、客分のホビット王女のメリアが作成し、子分達が仕上げを担当して、作ってくれた大事な物。
マサヨシの本音は、転生前のエルメスやグッチのワニ皮鞄の方が良かったが、せっかく子分達が作ってプレゼントしてくれた物なので、大切に扱っている。
「さあて、撃ち込みにきたぜっと」
鞄からピストルを取り出すと、炎魔法と土魔法の金属で作った、鋭く尖った小型の金属弾を、連続で撃ち出すマシンガンをイメージして、連続でガラス張りの正面玄関に撃ち込む。
「はっはっはー、いいねえコレ。昔見たアメリカのギャング映画思い出して、最高に楽しいぜ」
鉄砲玉の撃ち込み、いわゆるガラス割りと呼ばれる攻撃は、殺傷を目的にしておらず、抗争相手への示威行為である。
つまりは、相手組織に心理的プレッシャーを与える、いわばヤクザとしてのデモンストレーションのようなものだ。
「部屋の明かり消えてやがるし、誰もいねえからいいだろ。九州や広島の極道だったら、この後手榴弾やダイナマイトとか投げ込むんだが、俺は優しいからよお、こんなもんで勘弁してやる」
マサヨシ以外にも、エルフ太陽騎士団の乙女達は、他のマフィアの関連施設へ、風魔法で飛ばした石を投げ込み、内部を破壊するだけに留め、なるべく殺傷行為は控える。
「さあて、あとは果報は寝て待て。朝まで少し寝るか」
マサヨシは、鼻歌交じりで武神隊基地に戻り、エルフの騎士隊の乙女二人を労いつつ、口説いた後、エルフ達と肩を抱き寄せ合うように、体を密着させて一緒に自室に向かう。
そして、緊急事態が起きた場合だけ起こせと、武神隊員に命じて部屋に入ると、レオーネとヤミーが待ち受けていた。
「のう? レオーネ。言った通りじゃろ?」
「はい、おっしゃる通りでした」
ヤミーはエルフ達をキッと睨みつけ、レオーネが部屋から連れ出すと、廊下でレオーネの叱責が聞こえてきた。
「貴様らいい度胸だな? 殺すぞ」
「も、申し訳ありませんでした!」
などと、レオーネのヤクザ顔負けの恫喝が聞こえてきたマサヨシは、特大のため息を吐き、ちくしょうとだけ呟くと、そばにいたヤミーの小言を無視して、ベットに横になった。
翌朝、マリオファミリアの最高幹部達は、麻薬農場が潰された件で、大混乱に陥る。
魔法の水晶で緊急通信が行われて、構成員に緊急召集が行われるが、すでに4分の1が連絡取れない状態。
もしや共和国議会で、亡命してきた勇者の処遇で、大きな論争が起きていると言う事が原因なのかと、マフィアのボス達は考えた。
さらに自分達の表の仕事である、複数のギルド商社に、何者かが破壊活動を行い、ライフル弾の痕跡や、投石の痕跡が見つかった事についても、混乱に拍車をかける。
「これだけの、組織力があるとなると、貴族派議員お抱えの傭兵ギルドと、武装警備ギルドがやったに違いない」
王党派、マリオファミリアの最高幹部達の協議により、貴族派組織への報復が決定され、フリーダムシティを舞台に、マフィア同士の抗争が勃発する。
そして、朝食中であったマサヨシに、武神隊隊長のエンリケが耳打ちすると、マサヨシはニヤリと笑う。
「ヘッヘッヘ、こいつは思わぬ収穫だな」
マサヨシは、朝食後にフリーダムシティへ赴き、武神隊一番隊、二番隊と共に、街の状況確認をすると、街のあちこちで、チンピラ同士の殴り合いや、魔法のマスケットライフルの発砲音が、聞こえる状況となっていた。
「ふうん、貴族派の組織の方が、道具も整ってやがるな。多分軍と癒着してやがるからか」
マサヨシは、異端審問官の馬車に乗り込みながら、街の様子を眺める。
抗争は、貴族派の傭兵ギルド達のライフルの撃ち込みや、チンピラ同士の殴り合いだけに留まり、日本の極道の喧嘩と同じで、適当な所で、上同士の話し合いになって、抗争が鎮静化する可能性があるなと、マサヨシは考えた。
「しょうがねえなあ」
マサヨシは邪悪な笑みを浮かべ、馬車で傭兵ギルドの拠点である、フリーダムシティ南側の貴族領域に赴き、異端審問官の情報で聞いていた、貴族派議員の通う、レストランへ向かった。
「透明化と」
マサヨシの髪が青くなり、精霊化して透明魔法を唱え、15メートル先から、レストランにピストルを向ける。
「ヘッヘッヘ、困るんだよ。喧嘩がこんな所で終わっちまったらよお」
マサヨシは笑いながら、王党派のマリオファミリアを貶めるために、レストラン入り口に更なる撃ち込みを行おうとしていた。
「何が困るんじゃ? マサヨシ」
銃口を遮るように、隠れて馬車に乗っていたヤミーが姿を現し、マサヨシのピストルを両手で掴む。
「お主、外道過ぎじゃ! やめるんじゃ!」
「ば、馬鹿。でかい声出すんじゃねえ」
ヤミーはピストルを取り上げようとするが、マサヨシは思わず引き金を引いてしまう。
すると、レストランでお茶を飲んでいた、貴族議員に銃弾が当たり、崩れ落ちる。
「あ」
ヤミーが思わず声を漏らして、顔が真っ青になり、それを見たマサヨシは思った。
ーーあ、じゃねえよ、何してんだテメェェェェ、議員の命取っちまったああああああ
動揺しながら、マサヨシはピストルをしまうと、ヤミーの口を塞いで、馬車に押し込め、貴族議員に駆け寄り回復魔法をかけ、なんとか一命を取り止めた。
すると、傭兵ギルド達が馬車ですぐに駆け付け、店を取り囲み、魔法のマスケットライフルで周囲を警戒した。
「誰だ貴様は?」
傭兵ギルド達は、一斉にマサヨシにライフルを向け出して、詰問してきた。
ーーやべえよ、完全に俺がやったと思ってんよ。どうする? 水の精霊魔法でバリア作って、トンズラか? いやこの人数ならいっそ。
マサヨシが焦りながら、思考を巡らせてると、店の主人や他の客が、この人は議員さんを助けてくれた人だと証言しだし、貴族派議員も、回復魔法で多少傷が癒えて目を覚まし、マサヨシの身分を傭兵ギルド達に説明する。
「この変な格好の若者こそ、勇者マサヨシだ。さすがは、勇者と呼ばれている事だけはある」
マサヨシは、ホッと息を撫で下ろす。
「議員さんよ、一つここは俺に任せてもらってくれねえか? あんたは立場があるだろうから、俺が色々と、あんたが受けた落とし前をつけてやるんで」
そして邪悪な笑みを一瞬浮かべ、この件もマリオファミリアの連中の誰かが、やった事にすればいいやと思い、嘘八百を述べてマフィア達に自身の所業を擦りつけたのだった。
そして不貞腐れたヤミーと共に、武神隊基地に戻り、極悪組の面々を集めた。
「ようし、おめえら。俺達は貴族派議員の代理で、マフィア野郎ら潰す大義名分得たからよお、徹底的にやるぞ!」
マサヨシは貴族派議員から、マリオファミリアの最高幹部達の会合場所を聞き出していた。
それは、王党派会合場所の地下カジノの一室。
マフィア達の正体は、王党派議員達だった。
「クサレ議員の正体は、ヨゴレマフィアか。このロクでもねえ、仁義なき世界にはお似合いだぜ」
マサヨシ達は、武神隊を使い周辺を取り囲む。
そして、私服の一番隊と二番隊を、客を装わせて地下カジノで情報収集した結果、地下に続く階段は、マフィアの用心棒達が、かなり集められてて、厳重な警戒を敷かれていると報告があった。
「よおし、野郎ども、襲撃だ!」
マサヨシが宣言すると、極悪組の面々が地下カジノに雪崩れ込む。
「なんだお前ら⁉︎ どこの組織だ!」
マフィアの構成員達や、用心棒の集団が、血相を変えてマサヨシ達の前に立つ。
「極悪組だ、馬鹿野郎!」
マサヨシは木刀でマフィア達の頭をカチ割り、ガルフは、アダマンタイト製の巨大な金棒を使い、店内設備丸ごと構成員達をなぎ払い、ニコやブロンド、ドワーフ三兄弟が、マサヨシ達にやられて倒れた連中の、手足を縛る。
そして非常通路を使って逃げようと、地上に出た構成員達は、スナイパーのようなエルフの乙女達の麻酔矢を受けて、昏倒した。
「いるかーー?」
マサヨシは、地下室に通じる扉を、木刀を右手で担ぎながら蹴破ると、丸いラウンドテーブルに、王党派議員5名が腰掛けていた。
「え、え⁉︎」
「だ、誰だ? あ、貴様は!」
「議会で見た、勇……」
王党派議員達が答える前に、次々に木刀の一撃を加えて、その場にいた5人を昏倒させた。
「よーし、いるな!」
マサヨシは、気を失った議員達に言い放った。
そして地下の机に置かれていた、魔法の水晶を、拝借する。
「おう! この野郎ら、武神隊基地の訓練グランドに運んじまえ!」
マサヨシは、自分の後を追うようにやってきた、舎弟や子分達、そして武神隊の面々に告げた。
王党派議員5人はふいに目を覚ますと、深さ3メートル、そして広さが10平米ある穴の中で、着てるものを全て脱がされ、手を後ろ手に縛られた状態で目を覚ます。
「よう? てめーら元気? 議会で何人か見知った顔だけど、てめーら、調子こいてマフィアとかやってるらしいじゃねえか?」
マサヨシは、王党派議員達に告げると精霊魔法を使い、水を流し込み始めた。
「でよ、なんかこの国で禁止されてるって言う、麻薬作ってたらしいけど、なんか火事が起きて燃えちまったらしいな?」
どんどん水位が上がっていき、徐々に議員達が焦り始め、恐怖で顔がひきつり始めた。
「ああ、そうそう。魔法の水晶玉で、てめーら子分呼んだらしいけど、出れねえからさ。あいつら色々教えてくれたよ」
「し、知らん!」
「いくら勇者でもやっていい事が!」
「やはり王国に売り飛ばしておけば!」
「こんな勇者の亡命受けるべきじゃなかった」
マサヨシは舌打ちしながら、さらに魔力を高め、穴を水で満たし始め、顔の表情が、どんどん険しくなる。
「いやあ、この国のお議員様ともあろうもんが、ガキに薬物売りつけて売人やらせたり、まだ小さな女の子達とか、売春させてんだろ? どうせ孤児だし、でかくなれば構成員になるからってよお」
議員達は、この勇者に全て、自分達の所業がバレていると悟る。
自分達とボスが編み出した、慈善事業と言う名目で、スラム街で孤児達を支援するという美辞麗句を隠蓑にして、自分達の意のままにできる、マフィア達を生み出した事を。
「俺さあ、この世界に来る前は、そういう惨めなガキの一人でさ、てめーらみたいなのを見てると、無性に殺したくなってくるのね」
そして議員達は、マサヨシの恐ろしい形相を見て体が震えだし、命乞いを始めだした。
「た、助けて!」
「か、金ならあげますんで!」
「どうか命だけは!」
「お助け!」
マサヨシはどんどん、水位を上げると深さ3メートルのプールとなり、後ろ手に縛られた議員達は、満足に泳ぐ事すらできず、立ち泳ぎ状態になるり、泳ぎ方も下手なのか、すでに溺れてそうになる議員も出てきた。
マサヨシは溺れている議員の頭を、木刀で押すようにして、沈め始めた。
「とまあ、こんな感じでやるんだよ! どうよ? お前らをマフィアに落とした、野郎らがここにいるんだが、やるか?」
マサヨシが声をかけた先には、マサヨシが拉致してきた、マフィアの下っ端や売春婦達が、掃除用のデッキブラシを持って立っている。
「ああ、それとよお。てめーらの上役のマリオ・スパファミコとか言う名前のボスに、水晶玉をかけてみたら、どうやら俺の知ってる人だったんだ。話をつけに行くから、てめーらはもう用済みだ」
マサヨシは議員達に言うと、踵を返してマフィアの下っ端連中に、あとはお前らの好きにしろとだけ告げて、武神隊基地に戻っていく途中で、王党派議員達の泣き叫ぶ悲鳴が訓練グランドに響き渡る。
そして、得得ポイントカードを見やると、プラスマイナスが大幅に変動し、数値がちょうどマイナス5910ポイントを指していた。
「へ、まあそうだろう。どうしょうもねえ5910者だもんな、俺」
マサヨシは独言ちると、武神隊の隊員達に、あいつらの復讐が終わったら、あの穴埋めとけと命じた。
そして、教会本部へと向かい、礼拝堂にいたウサン司祭のもとに繁華街の、クリーンアップ奉仕活動の報告をする。
「もう少しで、街が綺麗になります」
マサヨシが報告し終わり、ウサン司祭は満足そうにうなずくと、マサヨシは礼拝堂を後にした。
そして、礼拝堂にいたウサンの懐の水晶玉に着信が入る。
「私だ。農場が燃えた件は何かわかったのか?」
「いえ、何か火がついて燃えたらしいですわ、司祭さんよお」
ウサンが振り返ると、水晶玉を持ったマサヨシが、ニヤつきながら、礼拝堂の入り口に立っている。
「いやあ、困りましたなあ。あの白い粉は、共和国で禁止されてる薬物ですし、教会も禁止しているものですよね?」
他の司祭や、武神隊も礼拝堂に入ってくる。
ウサンは周りを取り囲まれた。
「き、貴様! 誰が貴様を大司教まで出世させたと思って……」
「ああその件ですが、司祭の空きができそうなので、その席はアタクシが座ります。ですので、安心して教会から破門されて下さい、マリオ・スパファミコさんよお」
ウサンは応戦しようとしたが、他の司祭や勇者に加えて、武神隊の面々もおり、多勢に無勢であったため断念する。
そして「破門」の二文字に絶望して、膝から崩れ落ちた。
「いやあ、これで少しは街が綺麗になるぜ」
こうして、わずか2日でマサヨシ率いる極悪組は、最大勢力のマフィアの一つとの抗争に勝利し、教会の腐敗の一つを解決したのだった。
そして、共和国の犯罪組織達や悪徳議員達は、さらに恐ろしい、ヤクザの怖さを知る事となる。
地の文によると、まだまだ怖いヤクザな事が起きるようです。




