第57話 シマ荒らし 前編
マサヨシは、酒宴が行われた翌朝、さっそく武装神父隊基地の講堂に、極悪組の面々や隊員達を集合させ、マフィア撲滅の為の作戦会議を開いた。
「おう、この共和国のマフィア組織の情報寄越せ」
マサヨシが命じると、二番隊の記録部隊から情報提供がなされる。
周辺の勢力最大のマフィアの名前は、マリオ・ファミリアと言う組織で、頭目の名前はマリオ・スパファミコと言う名のボスと、その下に5人の最高幹部がいるらしいとの情報を得る。
「なんだコノヤロー、テレビゲームみてえな名前しやがって」
マサヨシは思わず呟く。
他にも、それぞれ乞食ギルド、盗賊ギルド、売春ギルド、賭博ギルド、暗殺ギルド、皇国出身者の移民グループなどの半グレ組織なような集団も数多くおり、まずはこの辺りの犯罪組織大手から、手中にするのが最善とマサヨシは考えた。
王党派議員と癒着する組織であり、構成員の人数は、判明しているだけでも千人を超え、組織の幹部は全員地下に潜り、素性を明かさず活動している、まさにマフィアで、資金源は、麻薬密売、飲食店経営、売春、賭博、用心棒などであり、マサヨシはニヤつきながら報告を聞いている。
活動地域は、フリーダムシティの中心地区から北に位置する、広大な歓楽街のルーブ地区及び、隣接するスラム街一帯で、ここで得た資金を、王党派議員に上納して、ギルドや住人を買収する、選挙資金にあてているようだった。
「ようし、コルレドは武神隊の一番、二番、三番隊を率いて、野郎らの活動する飲食店や売春地区、あと売人連中の活動拠点や、賭博場の正確な位置と記録をさせて、水晶玉で報告しろ。特に、あの辺り一帯をうろついている議員がいれば、最優先で情報収集だ」
マサヨシが指示すると、早速コルレドは、諜報員の経験と共和国出身の地の利を活かして調査に赴く。
そして、極悪組の面々を夜の活動に備えて休息を取らせたあと、自身は何食わぬ顔で、教会本部に赴き、かつて大司教で現在はマサヨシの功績で地位が上がった、直属の上司のウサン司祭から、歓楽街のクリーンアップ奉仕活動の許可を取る。
「おお素晴らしい。さすが勇者にして大司教」
「街のゴミ問題と衛生問題を解決出来ますね」
「奉仕の精神、我々も見習いたいですな」
教会幹部の本部司祭達は、感心した面持ちで環境問題に取り組むマサヨシを褒め称えた。
まさか、この街のマフィアを一掃する計画とは知らずに。
――そうそう、街のゴミ掃除よ。
マサヨシは笑顔で報告しながら思った。
そして、教会本部の廊下ですれ違う聖騎士たちの、侮蔑や嫉妬が入り混じった視線を強く感じたが、家柄だけのボンクラがイキがるなと、マサヨシも気迫を込めて右目で睨み返す。
マサヨシは、レオーネの父親でもあり、教会枢機卿の、ラウール・ド・コルネリーア伯爵と面会する。
「あなたが勇者マサヨシ様ですか。娘より聞いております。色々と娘がご迷惑をお掛けしているようで」
白髪をオールバックにし、口ヒゲを蓄えた、痩身の紳士の貴族。
目の奥に知性を感じ、社交的に笑いはするが目は全く笑わないと言った印象。
娘はアホの子だけど、親父は切れ者であるとマサヨシは直感する。
一方ラウールは、マサヨシの風体を見た瞬間、おかしな格好をした若造であると内心思ったが、マサヨシの残った右目の強い光を見るに、この若造はただ者ではないと直感する。
「いえ、こちらこそ色々助けられてます。それと、異端審問官達の件、公爵家の件、そして共和国亡命の件、色々お世話になりありがとうございます」
マサヨシは、頭を下げて答える。
ラウールは内心、胃痛と腹痛がしてくるので、これ以上は勘弁してほしいと思った。
特に戦友であり盟友の、モンワール公爵事件については、この勇者に最初憤りを感じたが、事件の顛末を知ると、我が友も馬鹿なことをしでかしたものだと、納得するに至る。
それどころか、モンワールに罪人ではなく、騎士としての一騎打ちの決闘を提案し、これを正面から打ち破ったという話に、逆に好感さえ覚えたほどだった。
「それで、女王様の情報は真実でしょうか?」
「ええ、残念ながら」
マサヨシが言うとラウールは唸り、右手で頭を抱え出した。
女王アレクシアがもしも魔王軍であるならば、いずれ教会側から排斥の対象となり、今まで自分の先祖が教会に築いてきた地位、枢機卿制度や聖騎士制度そのものが、脅かされるのではないかと危惧する。
「そうですか、かしこまりました。そして、娘は亜人領域の領土と、大公の称号を得て、騎士団を率いてるようですね」
「はい、助かっています。それとレオーネをゆくゆくは、あたくしの妻の一人として迎えたいのですが、よろしいでしょうか?」
「かまいませぬ」
ラウールが即答し、頭を下げたので、マサヨシも頭を下げる。
願ってもないチャンスと、ラウールは内心喜ぶ。
愛娘でありながら、若き日の自分と同様に武芸にかぶれ、今は亡き戦友、モンワール公爵も行く末を心配していたが、まさか人類の救世主たる勇者と結ばれるとは、思っても見なかった。
そして娘が亜人領域に領土を得て、爵位も上げるとは、今まで我慢して好きなようにさせて来たかいがあり、これで自身の孫でもできれば、親として感無量の喜びであると、ラウールは思う。
「それとご安心を。コルネリーア家には、あたくし共に二人目でも出来れば、そちらへ継がせる気でいますので、家は存続出来ます」
マサヨシが言うと、ラウールは深々と頭を下げ、よろしくお願いしますと告げた。
しかし、これはよろしくないと、ラウールは内心思った。
子供達を別々の家へ継がせると、後に双方が正統性を主張する、お家騒動につながる可能性があった。
それならば、大公として生まれてくるであろう未来の我が孫に、ミドルネームでもいいから自身の家の名前さえ残してくれればいいのにと、ラウールは思う。
そして勇者と娘に、自分の孫が出来れば、いずれ娘が治める大公領と、コルネリーア家による、王国の王位簒奪も夢ではないと、ラウールは密かに野心を胸に秘める。
よおし、親の許可も取ったからこれでレオーネと、いつでもあんな事やこんな事出来て、俺の男と夢がいっぱい膨らむぜなどと妄想しながら、今度は教王への面会を申し込むが断られる。
やはり、情報通り用心深い人物であるとマサヨシは思い、地位を司祭に上げ、日を改めて自分を売り込みに行こうと決意し、教会本部を後にした。
そして夕方、コルレド達は帰還して、マサヨシに情報を伝達する。
本当は議員とマフィアの繋がりまで調べたかったが、そこまでは追えなかったようだった。
そして、極悪組の面々を集める。
「そういやよ、コルレド。おめえさん、共和国市民権あるんだろ?」
「へい、兄貴。一応持ってやすが」
コルレドの回答を聞いて、マサヨシはとびきり邪悪な笑みを浮かべる。
「そうかいそうかい、じゃ、おめえさんうちらが全面バックアップしてるから、議員選挙に立候補しろよ? 事務所はこれから俺達が作るから」
「へ? あ、わかりやした」
認知されてない妾の私生児とはいえ、コルレドの親は首長でありこの国の名家である。
大義名分は十分だとマサヨシは考えた。
「ようし野郎共、喧嘩の準備だ!」
この日を境にして、この世界の犯罪組織は、勇者マサヨシ、否、世界最大の犯罪組織として恐れられた、ヤクザの恐ろしさを嫌というほど思い知ることになる。
マサヨシは生き生きとしながら、極悪組の面々に指示を出す。
舎弟頭のガルフと、ドワーフ兵団には、マフィアの息がかかった飲食店に行かせ、酒をたらふく飲んだ後、因縁をつけてそこら中で喧嘩して来いと告げる。
太陽騎士団のエルフ達には、変装で無所属の売春婦を装わせ、のこのこ出てきた、ポン引き連中をさらってこいと命令する。
異端審問官達には、拒魔犬の嗅覚を利用し、麻薬を売りさばいている連中を見つけたら、片っ端から逮捕して、身柄を基地に移すように告げ、さらに抵抗したら殺しても構わないと告げる。
賭博場には、マサヨシ自らが子分達を引き連れ、賭場荒らしをする計画を組む。
「ようし、各自馬車に乗り込んだら、現地に散って時間きっかりに開始すっぞ! 俺達極悪組と武神隊の恐ろしさを、この国のヨゴレマフィア野郎らに思い知らせろい! 友達何人出来るかな作戦開始だ!」
「へい!」
こうして、マリオ・ファミリア達との抗争が開始された。
――ルーブ地区、マリオファミリア縄張り飲み屋街。
「なんじゃおらぁああああああ」
「まずい酒出しとんじゃねえぞおるぁあああ」
「ドワーフなめとんかゴラァアアア」
ドワーフ達は、店内に入り酒を好きなだけ飲んだ後、暴れ出し、駆けつけてきた用心棒たちもろとも、ボコボコにぶちのめす。
頃合いを見図り、武神隊が鎮圧で駆け付け、ドワーフもろとも身柄を馬車に乗せるを繰り返す。
――ルーブ地区周辺、街頭。
「おう姉ちゃんら、見ない顔やないけ?」
「ちょっと、ワシらとお話ししようか?」
「ここは、無許可で客は取れねんだわ」
変装したエルフの乙女に近寄ってきたポン引き集団を、どこからともなく現れた赤ヘル集団の乙女たちが、麻酔薬を塗ったナイフを軽く突き刺し、異端審問官達と共同で、身柄を基地まで拉致する。
また、エルフ達に縄張り荒らしをされたと思った、売春婦たちも同様、エルフ達に拉致される。
――ルーブ地区スラム街
「ワンワン!」
「ちょっと、いいかな? 君持ってるもの見せてくれる?」
「おお、これはなんと! 国で禁止された白い粉が」
拒魔犬の嗅覚により、麻薬の売人たちは正体を暴かれ、異端審問官達に片っ端から馬車に乗せられた。
かなりの人数に及び、この組織の主要な資金源が麻薬と判明する。
――ルーブ地区、中心街カジノホール
「おっしゃ、また勝っちまったわあ! 俺、博才最強だかんな」
マサヨシは、魔法禁止カジノで、わざと魔法を使いイカサマを繰り返す。
「マサヨシ、我もカードゲームで大勝ちじゃ」
ヤミーは、心が読めるのでカードゲームで大勝ちする。
「親分、オイラ負けてお金ないや!」
「僕も資金が尽きました」
ニコとブロンドのコンビが、マサヨシの元に駆け付ける。
「おうおう、しょうがねえなあ。てめーらこれでまた遊んで来い」
これ見よがしに、マサヨシは大勝ちしたチップを見せびらかせて、子分達に遊んで来いと命じ、風魔法を使って、ルーレット賭博でまた大勝ちする。
「お客さん、困りますよ」
「あんた、魔法のイカサマ使ってんだろ?」
「ちょっと、裏でお話ししましょうか?」
マサヨシは、早速ボンクラ共が出てきやがったと笑う。
「なんだコラ? 何か証拠でもあんのかよ? 証拠出せよ」
マサヨシの態度にしびれを切らしたマフィアの下っ端は、店主を呼んだ。
「あんた、どこから来たんだよ? この街じゃあ見かけねえ面だ」
身なりが整った大柄の男が、姿を現した。
手に、メリケンサックをはめている。
「へえ、あんたが店長? なんだこの店はよお、客に因縁つけやがってよ。店内のインテリアも全然センスはねえわ、店員の女はかわいくねえし、喧嘩売ってんのかコラ?」
わざと挑発してくるマサヨシに、マフィアの幹部は、ただ者ではない予感がして警戒するが、すでに遅かった。
「喧嘩してえのか。よおし、わかった! おい、マシュ、オルテ、ガイ、ジェットアタックだ」
マサヨシが命ずると、ドワーフ三兄弟がどこからともなく現れて、縦一列に飛び込み、大柄の男の正中線の急所に、蹴りの三連撃を加えて昏倒させる。
「てめえら!」
チンピラ達もナイフを出して、マサヨシに襲い掛かろうとする。
しかし手下のチンピラ共の後ろから、ニコが金的を食らわせて崩れ落ちたところに、鋭い右フックをあてて倒し、ブロンドは、隠し持った小型のナイフをチンピラの首元に突きつけた。
残ったチンピラに、マサヨシは足払いをして倒して、腕関節を極めてささやく。
「おう、この店センスいまいちだが立地はいいな。おめえ店の権利書と、金庫から有金持って、ちょっと俺らの所でゆっくり話をしようや」
こうして、マフィアの手下たちは100人ほど、異端審問官武神隊基地まで連行され、目隠しと手錠のまま講堂に集められて、正座させられる。
「おう、おめえらおつかれさん。小遣いやるからもう寝てていいぞ」
マサヨシは、ニコ達子分に命じて、就寝させようとする。
「マサヨシ、我もう少しカードで遊びたかったのに」
ヤミーは、頬を膨らませたように拗ね出す。
「おう、すまねえなあ。おい、武神隊の何人かで、この神様がカード遊びやりてえって言ってるから、レクリエーションルームで相手してあげろ」
「了解しました! どうぞ、ヤミー様」
「あ、カードならオイラもやる! おい、ガイ、マシュ、オルテ、ブロンド、メリアちゃんも呼んで、遊びに行こうぜ!」
ニコ達子分もついていった。
これでいいと、マサヨシは微笑みながら子分達を見つめる。
空気が読める、いい若頭だなと。
「おう、ゲームは一時間までだぞ! 終わったら風呂入って、ちゃんと歯を磨いて寝とけ!」
マサヨシは、子分達に優しく声を掛けた。
――さあて、それじゃこれからR15な友達何人出来るかな作戦、第二章開幕と行こうか。
マサヨシは思い、講堂に集められて正座させられた面々を見やる。
彼らの後ろには、ドワーフや武神隊の面々が立ち並び、売春婦たちの後ろには、エルフ達太陽騎士団と、陣頭指揮を執っていたレオーネも姿を見せる。
そして、男たちの目隠しが全て外された。
「よう、君達元気? 気分どう? 俺の顔見て知ってるってやつ手を上げて」
マサヨシが笑いながら言うと、正座させられた面々は一斉に首を振る。
「なんだおらああああ、兄者の顔知らねえとは、どういうことだごらぁ!」
ガルフが叫ぶと、ドワーフ達が片っ端から正座させた男達を殴る蹴るする。
売春婦たちは、この異様な光景に恐怖で震え出し、涙を流す。
この世界のマフィア達は知らなかった。
何十年もの間、共和国議員たちの威光を味方につけ、弱者たちから金を毎日巻き上げて、たまに起きる議員同士の暗闘だけ、組織間抗争が行われるだけの、安穏と自堕落にその日暮らしていた彼らにとって、自分たちの天敵となるような、本当の凶悪な犯罪組織を彼らは知らなかったのだ。
そう、本気で縄張りを奪いに来たヤクザの恐怖を。
そして彼らにとって、最大の不幸が、本来は議員達と陰で癒着し、自分たちの事を今まで見て見ぬふりをしていた、この世界の警察組織である異端審問官達が、本気で彼らを潰しにかかろうと、このヤクザな組織と癒着していた恐怖を、知らなかったのだ。
頃合いを見計らい、マサヨシは右手をあげてドワーフ達の暴力を制止させる。
そして、涙目になっている彼らを見てにやにやと笑う。
「まあ、まあ、それくらいにしとけって。俺はよお、君達と友達になりたくて、この世界にやってきた、ヤクザのマサ君っていうんだ。この世界のマフィアって呼ばれてる君らが、どれほどの者かって思ったけど、ちょっと期待はずれだなあ」
マサヨシは、邪悪な微笑みを投げかけるが、怯えて全員が目を背ける。
「でよ、今から俺が君達と友達になってやるから、ここの武神隊本部に、毎月の上りの3割持って来い、所得税な。友達料金でまけといてやる。今度からあの区域一帯は、俺の縄張りだからよ」
一同は、恐怖で涙を流しながら首を横に振る。
そんなことしたら、自分たちは組織から制裁を受ける。
仮にもマフィアであり、制裁イコール死であった。
「なんだ、ダメか? よしわかった」
マサヨシは、腰の帯から小太刀を抜く。
そして、一番端に座らせて涙目になった男の前に立ち、しゃがむ。
「俺と友達じゃねえなら、お前ら敵だな。耳と鼻と目、どれ無くしたい?」
男は激しく首を横に振るが、後ろから頭を押さえつけられた。
このマサヨシが、眼帯を左目にしているせいで、恐怖感が倍増する。
男がマサヨシの右目を覗き見ると、漆黒の瞳が石のように冷たく光り、自分を人間と思ってい無いような、暗く陰鬱な感じがして恐怖で小便を漏らす。
「くせえな、漏らしてんじゃねえよ」
マサヨシが、小太刀を振りかぶり、男の左耳に振り下ろす。
「ぎゃああああああああああああ」
左耳を斬られた男が泣け叫んだ。
「うるせえよ」
今度は右耳を切り飛ばす。
「いやあああああああああああ」
「た、助けてくれえええええええ」
「いやだ、死にたくない、死にたくない、死にたくない」
「きゃああああああああああああ」
レオーネは、集められたのが無頼の徒とは言え、思わず目を背ける。
集められた男たちは、恐慌状態になり、売春婦達が悲鳴を上げて泣き叫ぶ。
そして、魔法を使えるものは一矢報いようと唱えるが、発現しなかった。
マサヨシの使った、冥界魔法の沈黙。
精神力と体力が低下している者は、一切の呪文効果を打ち消す魔法。
「うるせえなあ、てめーら。異端審問官からの報告によるとよ、浮浪児のガキらにも薬物売ったり、年端もいかねえような女の子に、売春させてんだろ? 今更ジタバタしてんじゃねえよ、みっともねえ」
マサヨシがアゴで合図すると、ドワーフがマサヨシの右手に大斧を手渡した。
腕力が無いと振れない、アダマンタイト製の黒い鉄塊のような巨大な斧。
あまりにも凶悪すぎる得物で、振り下ろされれば致命傷は免れない。
「俺の世界でもよお、火にくべる薪作んのに、こういうの使うの。わかるか? それで、ここにたくさん薪があるから、全部ばらして火にくべてやろうか?」
マサヨシが今度は、真ん中にいる男の前に、大斧を引きずりながら向かう。
口角を上げて残虐で美しい笑顔のままで。
「助けてください! なります! なります!」
「お友達にしてください!」
「何でもするので、どうか命だけはお助けを!」
マサヨシは、自分が耳を切りつけて痛めつけた男を見て、アゴで合図した。
すると、武神隊の隊員たちが引きずるようにして、別室に連れて行く。
耳に回復魔法をかけてやるためだった。
本当は、見せしめに何人か殺してもよかったが、地獄の刑期を示す得々ポイントの大幅マイナスを、こんなチンピラ達にもったいないと思った、マサヨシの判断である。
「そうかあ、友達になってくれんのかあ、うれしいわあ。じゃあよお、おめーらの友達の住んでるところ、教えてくれねえか? 今から行くから」
マサヨシがさっきの態度とは一転し、笑顔で言うと、彼らの拠点や幹部の居場所をペラペラ喋り出したため、武神隊の二番隊を呼び、正確な位置情報を記録させる。
「あと、俺の組織、まあヤクザって言う、超最高で最強組織なんだけどさ。ガキを使ってアコギなことすんのと、薬物の類はご法度な。勝手に俺達に黙って、シャブみてえな白い粉とかイジってみろよ。俺は友情を傷つけられたって思って、悲しみに暮れてよ、全員埋めちまうかもしれねえなあ?」
マサヨシが笑顔から一転凄みを見せて言うと、全員が怯えて頷いた。
自分たちのマフィアよりも恐ろしいと。
「さあて、今から楽しい楽しい、家庭訪問と行こうか? 今夜で何人友達ができるかな?」
マサヨシは笑顔で呟いた。
異世界で警察と手を組んでやりたい放題のヤクザの図。
後編に続きます。




