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仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第二章 王国死闘編
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第47話 ゴチャマン

 俺とガルフ、ニコは武装を解除し、メリアちゃんと武器をドワーフ達に託してエルフ王国へ足を踏み入れる。


 俺達を先導してくれる、かわい子ちゃん達の話だと、伝説のエルフの女王とやらが復活し、エルフの騎士団は森林火災と凶悪なモンスターの対応に、追われているという。


 エルフ王国は、あちこちに大木が生えており、あいつらの文化は、森と共に暮らす質素な生活のようで、木の上にエルフ達の小屋のような住居があった。


 しかし、家の数が多くないことから、数百人くらいの世帯の、小国といったところだろうか?

 

 そしてしばらく歩くと、泉というより、大きな湖が見えてきて、辺りには木と石で組み合わせた、神殿のようなでかい建物が見えた。


 あれがおそらく、エルフの王宮だろう。

 俺が周囲を見渡すと、レオーネの姿があった。

 だがちょっと待て。


 レオーネ2人いやがる。

 2人とも赤い兜被ってて、全然見分けつかん。

 傍らには黒いローブ着た、エルフの婆さんが、俺を見て何やら睨みつけてくる。


「マサヨシ殿!」


 俺を見て手を振るのが、多分レオーネの奴だろうが、もう1人のレオーネとそっくりな奴は、俺を見て、すげえ目付きで睨んでくる。


「レオーネ、無事でよかったぜ。で、そちらさんは、どこのどなたさんで?」


「貴様か? 我らの女王陛下をたぶらかせたという、人間の勇者という男は。女王陛下に相応しいのは、我が孫にして王、グルゴンじゃ」


 何言ってんだこの婆さん?

 ボケてんのか、どう見てもレオーネは人間だろうが。

 エルフみたいに耳尖ってねえし。

 あと、こいつは女王じゃなくて伯爵令嬢な。


「ババ様、私めがあの薄汚い人間を、切って捨てましょう。このエルフ王グルゴンが成敗してくれよう」


 エルフ王グルゴンとか言うガキは、ヒヒイロカネ製と思われる、真紅に染まる先端が細長く尖った小型剣を腰から抜く。


「なんだとこのガキ? 今は勇者じゃねえけど、このマサヨシ様の女を取り上げる気か? コラ」

 

 レオーネが女王とか、意味分からねえこと言いやがって、しかもこの王とか名乗るエルフのガキ、人の女を横取りする気とか、ふざけんな馬鹿野郎。


「おお、久しいなカランシア! ワシの父者と兄者達の仇じゃ! 決着つけたる!」


「何だと、ドワーフ王め! 人間の勇者に肩入れしおって。貴様こそ、我が子にして先王の仇じゃ! 死んでもらうぞ」


 やべえ、お互い仇同士かよ? ガルフと、エルフの婆さん。

 これ、血を見ねえと収まらねえぞ。


「マサヨシ殿、エルフ達は邪悪な精霊王によって、お互いが争うように強要されてたのです! エルフ達は我慢の限界で、精霊王に反旗を翻した様子。一刻もはやく、この争いを止めないと」


 わかってんよレオーネ。

 どうせ、そんな所だろうと思ったぜ。

 エルフ連中の背後にいるのは、精霊王フューリー。

 やはり、こいつをなんとかしねえと、亜人同士の喧嘩は終わらねえってことか。


「実は俺、お前らエルフと喧嘩しに来たわけじゃねえ。精霊の王と喧嘩しに来たんだ! ガルフ、そこの婆さんとの喧嘩、一旦無しだ」


「兄者! いくらあんたが喧嘩好きって言っても、やめといたほうがいい、相手が悪い」


 ガルフが首を振り、少し怯えながら言った。

 知ってんよ、閻魔大王様が神でも勝てねえかもとか言ってた奴なんだし。


「おい、エルフの王とか言うガキ! てめーが俺の女に手を出そうとしてる件は、後でじっくりてめーの体に聞いてやっから、ここは俺に協力しろ!」


「エルフ王グルゴンよ! 剣を収めるのです。マサヨシ殿の言葉を信じなさい」


 レオーネがエルフ連中に命令した。

 どうやら、レオーネのやつは、エルフの女王になり切ってるみたいだ。

 アホの子にしちゃ、いい事思いつきやがったな。


「困るんだにゃあ、争い終わっちゃうとにゃあ」


 その時、俺達の前に悪魔が現れた。

 猫耳に猫目をしてて、顔立ちが猫っぽい可愛い感じの黒い服着た、女悪魔だった。

 髪も靴もしっぽも全身黒で、まるで教会の本で見た黒猫のようだ。


「何だ? 可愛い子ちゃんよお。オメー口説いてやるから、どこの誰か名前と所属名乗れや」


 俺から可愛いと言われると、小悪魔は縦長の瞳孔が一気に丸みを帯び、尻尾が一気に反り返って、俺の顔見て少し顔を赤らめるが、十中八九魔王軍のなんちゃらって言う、ポンコツのアスモデウスの部下だろう。


「う、うにゃ、ちょ、ちょっと顔がカッコいいからって、人間が精鋭の不死隊、悪魔エイムをからかっちゃ、ダ、ダメなんだからにゃ!」


 なるほど、こいつマーラー不死隊とか言う、魔王軍にも属さねえで、俺の暗殺狙ってやがる、サタン王国の精鋭部隊か。


 かういう俺も、閻魔大王様から破門されてるし、神界や冥界にも所属してねえけど、こいつらも似たもん同士ってやつだな。


 すると、機械が作動した時みたいな、ガリガリって何かが回転する音がして、嫌な予感を感じた俺はその場から飛び退くと、ハチの羽音をデカくしたような、轟音と共に、俺の元いた位置に、大量の魔法弾が撃ち込まれる。


「見つけたブヒ! 残虐勇者め! 今こそ貴様に復讐する日を、待っていたブヒイイイイイイイ」


 や、野郎!

 その声オークデーモンか?

 全身が、銀ピカの機械の体になってやがるし、頭になんか良くわかんねえ照準器つけてて、右手に、銃身が何本もあって回転して銃弾ぶち込んでくるような、ごっつい、化け物みたいな銃を持ってやがる。


 左手には大砲か?

 大きな筒みたいな、でかい凶悪なもの持ちやがって。

 転生前なら、武器の種類思い出せそうだが、あいにく今の俺には見当がつかねえ。


「この豚野郎! オメー魔王軍の将校だろ? 協定違反だぞ!」


「獣騎軍の軍籍は、貴様のせいで抹消されたわ! 今の俺は不死隊、メカオークデーモンぶひよ!」


 なんだとこの野郎。

 てめえも魔王軍、破門になりやがったのか。

 しかも精鋭部隊入りとか、どんなやべえ改造受けやがったんだよ、コイツ。


「おい、マシュ、オルテ、ガイ! 聞こえるか? やべえ事になった、今すぐ俺達のドーグ持ってこい! じゃなきゃ死んじまう!」


「わかった」

「突入する」

「任せろ」


 オークデーモンがぶっ放す銃弾を避けながら、水晶玉でドワーフ三兄弟に連絡すると、ドワーフ兵団の一団が雪崩こんできて、オークデーモンに攻撃を始め、俺の武器を持ってくる。


 すると、不死隊の悪魔エイムがにやりと笑う。


「ドワーフが攻めてきたにゃあ! 勇者の命令にゃあ、エルフ王国が占領されるにゃよ!」


 エイムと名乗った猫の悪魔が、エルフの婆さんに大声で吹き込む。

 しまった、あいつ頭が回る。


「勇者とドワーフめ! ここは精霊界の聖地! 消火と討伐以外の、王国に残ってる騎士団、ドワーフを殲滅するのじゃ!」


 カランシアが命ずると、どこからともなく現れた、赤ヘルのエルフ軍団がドワーフ達に弓を向け始め、射撃を開始する。


「なんて事を! この悪魔め!」


 レオーネは、ブレードソードを引き抜き、悪魔エイムと一騎討ちを始めた。


「カランシアめが! 我らドワーフ、売られた喧嘩は買うのが流儀じゃ!」


 ガルフが酒を一気飲みして自身の姿をイフリート化し、カランシアは、ローブに隠した杖の効果で、トンボのような羽を生やし、緑色の植物の化物に姿を変える。


 あれがシルフという風の精霊か。

 ていうか、化物同士で喧嘩すると周りの影響がやばい。

 炎と風の組み合わせだと、この森が余計に燃えちまって、辺り一面黒こげになっちまう。


「よそ見するなブヒいいいいいいいい!」


 オークデーモンか、左手の大砲を撃ち込んでくると炎と土の爆発を起こし、俺の体が宙を舞う。


 ちくしょう、無茶苦茶な状態だ!

 エルフとドワーフと悪魔と俺達が入り乱れ、ごちゃごちゃに、戦闘が始まりやがる。


 すると、オークデーモンの頭上に岩が落とされ、豚が悲鳴を上げる。

 見るとニコとメリアちゃんだった。


「親分、オイラこいつを許せねえ! こいつはオイラの父ちゃんの仇で、村を酷い目にあわした悪魔だ!」


「親分さん、私も争いは嫌いだけどニコと一緒にいたい! 私、あと一年しか生きられないけれど、ニコの事、絶対殺させない!」


 ニコとメリアちゃんが、オークデーモン相手に戦闘を開始した。

 そして、俺はレオーネの方を見やると、悪魔エイムに翻弄され、全身傷だらけになってる。

 ちくしょうが、猫っぽい可愛らしい顔して、あの悪魔滅茶苦茶強い。


「レオーネ、待ってろ! 今行くぞ!」


 俺が風魔法の効果で宙を舞い、木刀握ってレオーネの元まで向かおうとしたところ、弓矢の一撃が俺の進路を遮った。


「女王陛下の一騎打ちを邪魔する不届きものめ! エルフ王グルゴンが相手だ!」


 あのクソガキがあああああああ。

 今レオーネに助太刀しないと、あいつぶっ殺されちまうだろ!

 邪魔する気か、このエルフのガキは!


 俺は奴の弓矢を、風魔法を使って避けつつ、木刀を振り下ろす。

 すると、グルゴンは細長い剣で俺の一撃をいなした。


「ふん! 勇者などたわいなし」


「邪魔すんなクソガキが! 俺の女を見殺しにする気か!」


 俺は、エルフ王グルゴンに攻撃しようとするも、レオーネとそっくりのこいつを、ぶちのめすのに躊躇し、思うように攻撃が決まらない。


 そうこうしているうちに、レオーネが吹き飛ばされて昏倒し、動かなくなる。


「人間にしてはやるけど、僕こう見えて強いんだにゃ」


 あの小悪魔、全然手傷を負ってねえ。

 猫っぽいのに強すぎる。


「ふ。魔界の化け猫一族か、私が相手をしよう」


 兄貴がお座りしながら俺の前に立つ。

 いや、兄貴ちょっと待ってくれ。

 兄貴は今ただの犬だよな?

 今の状態だと絶対勝てねえだろ、こいつに。


「にゃにゃ! お前は、魔界の伝説の魔獣、拒魔犬! ま、まさかこの世界に送られていたのかにゃ!」


 へ?

 あのエイムとか言う猫悪魔、兄貴見てビビり始めた。

 兄貴、そこそこ有名人、いや有名犬なのか?


「10数える前にうせろ。10秒後、私の地獄の炎陽(ヘルコロナ)で焼き尽くす! いかに貴様が日に8回は命を失っても平気とはいえ、私の最強技は何度も貴様を殺しつくす!」


 兄貴が言うと、エイムは青い顔をしてたじろいだ。

 やべえ、兄貴のはったりすげえ。

 ヤクザだった俺が見惚れるくらい、鮮やかにはったり決めやがった。


「新人君、悪いが僕は引くから、あとは任せたにゃ」


 エイムは、4つ足で地面に立つと、尻尾巻くようにして退散した。


「ああ、先輩酷いブヒ! こうなったらヤケよ、勇者一行を俺がぶっ殺して、この国のエルフのかわいこちゃん、全員俺の女にするブヒイイイイイイイイイイ!」


 豚野郎がその場にいる、ドワーフやエルフ、そして俺の仲間に対し、手当たり次第に化物銃と大砲をぶっ放しまくり、次々と負傷者が発生し、バタバタ倒れる。


 メリアちゃんを庇うようにして、ニコが銃弾を浴びてメリアちゃんが泣き叫び、エルフ王も腹を撃ち抜かれて重傷を負い、ドワーフやエルフ達も次々と戦闘不能になる。


「てめえ、よくもやりやがったな!」


 俺は懐から出したピストルで、豚野郎の頭めがけて何発もぶっ放すが、豚野郎は足に付けたローラーを作動して、高速移動をする。


「ぶひひ、そんなもの当たらないぶひ!」


「何だとこの野郎! 豚野郎のくせになめやがって!」


 あの豚、格段に強くなってやがる。

 だいたい、全身機械化とかふざけんな、ちくしょうが。

 世界観が全然ちげえよ馬鹿野郎。

 すると、豚野郎のローラーに銃弾がぶち込まれ、豚野郎が勢いよくすっ飛んで大木に頭をぶつける。


 滅茶苦茶うめえ射撃だが誰だ?

 すると、上空からひらりと雪の妖精みたいなのが現れた。

 いや、雪の妖精じゃねえよ。

 あれは白い、化物だ!


「ごきげんよう、マサヨシ様。このうす汚い悪魔、私が消してごらんにいれましょう」


 ピストルを両手に持ち、二丁拳銃にしたアレクシアが王女が現れた。

 そして、アレクシアはまるでダンスを踊るようにくるくる回転しながら、銃弾を豚野郎目がけて連続で撃ち込みまくる。


「ぶひ! かわい子ちゃんが増えたブヒね? 俺の女にするブヒ!」


 オークデーモンは、頭に何発も銃弾を食らっても、全然怯まず、左手の大砲を放り投げると、今度は背中から、炎が噴き出る筒のような獲物を取り出す。


「照準器スタンバイ、ファイヤアアアアアア!」


 オークデーモンが叫ぶと、巨大な炎の渦が噴射され、俺とアレクシアを攻撃してくる。


「まあ、醜い豚さんですわ、そんなもの当たるわけがないでしょう」


 アレクシアは舞を踊るように、ひらりひらりとかわすが、俺が焼け死ぬって!

 この姫、戦闘能力も化け物過ぎる。

 

 アレクシアは、神霊魔法の身体強化で、一気にオークデーモンまで間合いを詰めると、バレエシューズのような靴なのに、オークデーモンに素早い右の回し蹴りを放ち、滅茶苦茶重たい筈のオークデーモンの体が泉まで吹っ飛んだ。


「その重たい体ですと、水面まで浮かんでこれますか?」


「ぶ、ぶひ? き、貴様も悪魔ブヒよおおおおお!」


 アレクシアがにこりと笑うと、泉に落ちそうになった豚野郎は、両足から炎と風を噴射して体を浮かせる。

 

 俺はため息を吐いて、右手に水を、左手に風をイメージする。


「沈め、豚野郎。水切り(カッター)


 俺は豚野郎の機械で出来た右足を、魔法で斬り飛ばすと、豚野郎は空中できりもみ回転しながら、泉に落っこちた。

 

 そして、俺とアレクシアは手分けして、負傷者に対して回復魔法を使って救助する。

 ニコの野郎も、レオーネも、エルフ王も何とか無事みたいで、様子を見ていたガルフとカランシアは、喧嘩を止めて俺達のもとに駆け付ける。


 もはや、俺達とドワーフ、そしてエルフが喧嘩する理由はなくなっていた。


 これで、喧嘩も終わるかのように見えた時だった。

 予想以上に森を焼く火の勢いが強い。

 消火不能になり、赤ヘル被ったエルフの騎士団も消火活動を断念してこちらに退避してくる。

 幸いにして、凶悪なモンスターの集団はほとんど退治できたようだった。


「あら? 少し火の勢いが強いですわ。燃やしすぎました。マサヨシ様、上空に王国の大型飛行船がございますので、それで退避しましょう」


 放火犯のアレクシアが言った時、トワの泉の水がどんどん湧き出てきて、水柱が上がる。


「ぶひいいいいいい、なんで俺ばっかりこんな目にいいいいいい」


 そしてオークデーモンが、勢いよくどこかに吹っ飛ばされていった。


 泉の中央には、ニコやメリアちゃんくらいの大きさの、羽が生えたガキがいる。

 まさかあいつが……。 


 その時、一枚のビラが、泉のガキに舞い降りた。

 ビラの内容を見たガキは、怒りというより、すさまじい悲しみのオーラを体から出す。


「やべえ、姫さん! みんなを避難させろ! 急げ、早く!」


 俺が叫んだ瞬間、泉のほとりに立つガキの青い瞳が、妖しく光り輝き、水色の髪が一気に逆立ち、泉は水柱を上げた。


「イフリート……どうして、どうしてみんなあたしから離れていくの? ああ、森が、アタシの王国が燃えて……もう、こんな所いらない、みんな、みんな消えてしまえばいいいいいいいい!」


 憤怒の精霊王フューリーは、それはそれは、大層お怒りだった……。

復活したオークデーモン。

せっかく補給部隊から特殊部隊に入ることが出来たのに、エルフや女性キャラに、ムフフな事して


「クッ、殺せ」


とかいうセリフも吐かせることもできず、残念でした。

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