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仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第二章 王国死闘編
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第35話 化物 後編

 アリイエ王家に伝わる、この大陸の人類の成り立ち。

 元々王国は、エルフの女王と人間の英雄が結ばれて出来た国家らしい。


 エルフは基本的にどの種族よりも長命で、高潔な性格でプライドが高く物をよく知っており、自然を愛するために文化的だが、文明と人間を嫌い、長命なため世捨て人的な性格が多いという。


 お高く気取りやがって、俺が男を見せて、女を口説きに行かなきゃな。


 特徴は、耳が長くて尖り、身長がやや高く白い肌に奇麗な髪して、色とりどりの瞳をしている美形揃いで、手先が器用だから弓や小型剣に長けて、風魔法や精霊魔法のエキスパートが多いようで、元々騎士団も、人間の英雄が、エルフの女王を守護するために生まれた、高潔な精神のもと設立されたという話らしい。


 だから、たまに貴族ではレオーネやこの姫みたいな、マブい女が生まれてくるようだ。


 イケメンで生まれてくる確率も、皇国と比べて多い。

 しかしエルフの女王と結婚した人間は、ブサイクな野郎だったらしい。

 そして、まれにこの国の男は、公爵みたいなブサイクに生まれるという話だ。

 あと平均寿命が、他の国よりも少し高い。


 一方、皇国はドワーフの英雄と、人間の美女が結ばれて出来た国家。


 ドワーフは、力が強くて短気で乱暴だが、筋道が通れば素直な連中らしく、金属加工技術がずば抜けてるが、これを活かす文化がないようで、絶えず同族間や亜人同士で、喧嘩ばっかりしてる奴らだそうだ。


 特徴は、パーマがかった黒い髪に胴長短足、そして褐色か黒い肌の髭面で、禿げたやつらも多く、ブサイクばっかりで、大斧や大剣の使い手や、精霊魔法と炎魔法の使い手が多数いるとのこと。


 女はブスだが、心優しく情が厚い、内面的に素晴らしい女が多いという。

 この姫さんと、中身と外見をチェンジしてほしいぜ。

 男は舎弟か、子分にして、鉄砲玉に使えそうなやつらだな。


 そして皇国は、ブサイクな男が多いが力が強くて男気があり、美女が多いらしい。

 こりゃあいずれ、いい男の俺が、男は舎弟にして女はコマしに行くべきだな。

 

 ホビットは、亜人の中で一番短命だが知能が高く、文化文明レベルもこの世界では高い方で、精霊魔法は得意ではないが、土魔法と水魔法で農業やったり商才がある奴らが多く、人間側の商人ギルドとも付き合いがある、話のわかる奴らなようだ。


 特徴は人間と酷似しているが、成人しても小学校くらいの小柄で、男女ともに可愛らしく、まさしく小人と言った感じだそうで、道具作りもうまく、人類側にモンスターの素材活用を教えたのも、こいつらだって話だ。


 俺はロリコンの趣味はねえから、男連中は便利そうで興味ある。


 それと、ホビットと人間が結ばれた国家がかつてあったという。


 人間とホビットのこの組み合わせは、ホビットより背が高いが短命だそうだ。

 そして、神と精霊に愛されたような、人格的にも優れた天才が生まれやすいが、争いを嫌う性格が災いして、戦国時代に陥った、仁義なき世界の影響で滅んだという。


 もったいない話だな、文化と文明がある奴らが滅びるなんて。

 生き残った女でもいれば、俺が面倒を見てやったのによ。


 という事で、事情が分かれば話が早い。

 その亜人連中で、使えそうなやつらはみんな、俺の舎弟か子分になってもらう。

 そして亜人地域で、任侠道を広めてやろう。

 俺が救済する世界だから、この世界はみんな俺の縄張り(シマ)よ。

 文句は言わせねえ。


 亜人同士で喧嘩中らしいが、俺が間に入って仲裁してやる。

 こちとら、手打ちや仲裁、相談事を解決してきた事なんて、ごまんとあるんだ。

 文句がある野郎はぶちのめす。

 単純な話だ。


「亜人連中の事は、よくわかった。だが期間が1か月なのは、少し短い気がするが、なんとかなんねえのかい? 姫さんよお」

 

 俺はアレクシアに対して、交渉事に移行する。

 この女、化物じみた頭脳を持ってやがるから、勝算のねえ無茶振りはしねえ筈だ。

 そして俺は顔には出さないが、ひそかに思っている事がある。

 この姫野郎、亜人地域を俺に支配させ、俺の妻になる事で、手に入れようとしているのではないかという事だ。


 そうはいかねえよ。

 ここは俺の直轄地にしてやる。

 なぜなら、この亜人地域はこの世界で俺が最初に手に入れる、縄張り(シマ)だからな。


「それなら心配はいりません、マサヨシ様。移動手段はすでに私が確立してますし、そのための用意は全て済ませてあります。魔王軍も、ここは精霊の直轄地なので手は出しにくい筈」


 やっぱ、こいつ俺の心とか読んでねえか?

 怖いんだけどこいつ。

 おふくろか?

 俺の母ちゃんかこいつは。


「了解した。じゃあ、休息をとった後、朝には移動手段が確立され次第、俺はここを立つ」


「はい、旅のご無事をお祈りしています。私も、情報収集や勇者様のためになる事は、できるだけしたいので、水晶玉の連絡先を教えてください。それと毎日は難しいかもしれませんが、定期的にお声が聞けると私も安心します」


 いや、俺はお前の声聞いても、安心できねえけどな。

 まあいいや、こいつの協力がねえと立ち行かなくなる。


「よし、じゃあ移動手段と亜人たちとの交渉事で必要なブツ、渡してもらおう」


 そして、ふと目線を感じた先を見ると、ヤミーと兄貴が俺をじっと見てる。

 心配すんなって、俺はこいつが嫌いだし利用してるだけだから。


 そして、アレクシアは上空に向けてピストルを発射した。

 魔法弾は炎魔法で、上空に合図を送る閃光弾のような感じがする。


 すると、王家の紋章付きの、二十人は乗れそうな大型の気球が下りてくる。

 なるほど、アレクシアはこれで王都から移動してきたのか。

 旅に必要な物資も積んでいるようだ。

 運転手が、姫様に敬礼した後、すぐにこちらを離れる。

 

 あと、気球を使えば移動中に鳥のモンスター以外や、天候しか脅威はなくなる。

 しかも、移動時間が大幅に短縮できる。 

 共和国の技術で作った奴だな。


「それと勇者様、私のピストルもお使いください。これは魔力と魔法系統に応じて魔法弾を発射できる優れものです。共和国の技術をもとに、王国で改良して量産中の最新兵器です」


 姫様は、俺にピストルを手渡した。

 まあ、実は(チャカ)も欲しかったし、ありがたく頂戴させてもらおう。

 ていうか、全部この姫様の絵図に乗せられてる気がするんだが?

 前もって準備してきたとしか思えねえよコレ。

 そう考えると、うすら寒い思いをするな。

 やはり化物だコイツ。


 だがこいつも、女だからな、気の利くセリフくれえは言っておこう。


「ありがたく頂戴する。こいつを王女様だと思って大事に使わせてもらうぜ」


 俺がベタな口説き文句を言うと、この姫さん顔だけじゃなく耳まで真っ赤になりやがった。


 俺に惚れているってのは確かなようだ。

 嬉しくもなんともねえけど。


「それとレオーネ、あなたはマサヨシ様の御傍付きを命じます。これまで通り、勇者様を献身的に尽くすことを許しますが、勇者様は私が正妻になりますので、身の程をわきまえた行動に期待いたします」


「は! ありがたき幸せ!」


 レオーネの政略結婚の件は無くなったが、身の程をわきまえろとか、俺が考えてた、レオーネとあんな事やこんな事、出来なくなっちまうじゃねえか馬鹿野郎。


 余計なこと言いやがって姫野郎が、ぶち殺すぞ。


「マサヨシ様、最後にあなた様がおっしゃってた赤十字騎士団のケジメ、とやらがまだ済んでおりません。私が、一切合切を終わらして見せましょう、街道にお越しあそばせ」


 えぇ……今からやんの?

 俺も疲れたし、王宮とやらでやってくれよ。

 いやだよ、ガキ共いるし、そんなもん見たくねえし。

 まあしょうがねえ、俺が言いだしたことだ。

 ケツは最後までもってやる。


「ヤミーや、兄貴はニコとレオーネ連れて、 指定の宿屋に戻っててくれ。俺は最後にやることがある」


 多分、こいつらが見たら義憤でこの姫に手を出しかねないような、キツイけじめだろう。


 先に宿で休んでてくれ。


「マサヨシ、すぐ来るんじゃぞ! それと白毒蛾、マサヨシに何を吹き込んだか知らぬが、我は神。お主の考えている事は見通せるものと知れ」


「ワン!」


 よかった、じゃあ先に行っててくれ。

 俺はこいつの性根を見極める。


「その前に、信賞必罰は世の常です。異端審問官の皆様、勇者様と私の前に!」


 アレクシアが言うと、今回の公爵の件や、俺の旅に同行していた、異端審問官達100名以上が俺達を取り囲み、一斉に片膝立てて跪いた。


「勇者様とあなた方のおかげで、我が国の大貴族の非道が暴かれました。勇者様はこれから新しい地域に旅立ちますが、デヴレヴィ・アリイエ王国の王女として、今回の貴族の一連の非道、大変申し訳なく思います。そして、教会司祭として、感謝御礼を申し上げるとともに、今回の恩賞は勲章と、充分な金一封をもってあなた方と、そのご家族に報い入れたいと申し上げます。我が国のため、まことにありがとうございました!」


 アレクシアは、集まった異端審問官達に、両手でスカートの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げて、腰を曲げて頭を深々と下げる最上級のおじぎをする。


「王女殿下……勇者様、万歳!」

「万歳!」


 異端審問官達が、涙を流しながら俺達に賞賛を贈る。

 こいつらも、元は平民で貴族達に虐げられ、貴族に復讐するために、あえてこの世界の連中から嫌われる、ヨゴレ仕事に志願した連中だったが、教会の現状も貴族たちと癒着し、思うような成果は上げられず、こいつらの心はすさんでいた。


 しかし、俺と共に、貴族連中をどつき回したことや、今回の件で王国貴族の親玉の王族から頭を下げられ、大貴族摘発という偉業を成し遂げたことを称賛され、奴らの心がある意味で救われた瞬間であった。


 この王女、サイコパスかと思ったが、なかなかいい塩梅の落としどころを考えてくれたな。

 

「勇者様からも、彼らに一言をお願いします」


 アレクシアが、期待を込めた顔でこちらを見つめて言った。

 しょうがねえな、じゃあ俺からは。


「異端審問官諸君、君たちの多大なる功績により、今回悪しき大貴族はこのマサヨシの手によって断罪された。だが、この王国ではまだまだ貴族による横暴で、苦しんでいる人々もいるのは事実。よって、異端審問官達には、更なる働きと教会への貢献を期待する。なお、この勇者マサヨシについては、新たなる地に旅立つ予定であるので、君たちの努力と血と汗と涙がこもった、異端審問官服を手に、旅立ちたい。異端審問官に栄光あれ」 


 俺が木刀を天高く掲げると、大歓声が沸き起こった。

 そして、こぞって奴らは審問官服の上着を脱ぎ、俺に寄こしてくる。

 そう、おめーらの気持ちは無下にしねえ。

 今度の亜人国家で、俺の舎弟になる奴らには、おめーたちの異端審問官服をイジった、悪一文字の羽織を与える予定だからな。


 最後まで俺の役に立ってくれてありがとうよ。

 あと、マヌケなサツ呼ばわりして悪かったな。


 俺も少し、目頭にくるものを感じた。

 しかし、王女はけろっとした顔をこちらに向ける。


「それでは、赤十字騎士団への仕置きですね、街道にどうぞ」 


 俺はアレクシアに付き従って、街道に出ると、赤十字騎士団総勢1000人超が、鎧脱いで全裸で腹ばいになって街道に横たわっていた。


 ええと、なにこれ、なに?


「勇者様、私も異端審問官達の熱い思いを承りました。つきましては、異端審問官達の馬車によって、これから王都への帰還の旅路につきたいと思う所存でございます、それではごきげんよう」


 アレクシアは異端審問官の馬車に乗り込むと、気球の運転手が馬車を運転して、王都へ続く街道上の、赤十字騎士団の騎士たちを轢きながら帰還した。


「ぎゃああああああああ」

「お助、うぇろぼ」

「みぎゃああああああ」

「うぎゃああああああああ」

「ひ、ひどあああああああああ」


 馬車が進むたびに、騎士たちの嗚咽と悲鳴が響き渡る。

 ああ、やっぱりこいつサイコパスだ。

 人を人と思ってねえ。

 だが歩くたびに花が咲くって噂は、本当だったな。

 血の花だけど。

 

 そして、俺の目の前で土下座してる小汚い男が一人いた。

 今回の公爵の件でけじめに、使てやったコルレオーニだった。


「なんだてめー、お前はもう用済みだ。帰れ馬鹿野郎」


 俺はコルレオーニに吐き捨てるように言った。

 もう、こいつに利用価値はねえ。


「帰れませぬ。私の、商人ギルドでの名声は地に落ち、商社は全て焼け落ち、従業員は私を見限りました。それに勇者様の突入前に、公爵めが神様への危害を口にして、急いで伝えに行こうとしましたが、間に合わず途方にくれました。私は、下手を打ちましたんで、殺してください」


 ああ、そういえばこいつは下手打ったらぶっ殺すって言ってたっけ。

 めんどくせえな、この野郎。


「あっそ、もういいわ。あとはテメーで何とかしろや」


 俺は、仲間がいる宿屋に帰ろうとした。

 こんな野郎、殺す価値もねえ。


「しかしこのコルレオーニ、今までの商人のプライドがございます。商人は信用と神の加護が第一、勇者様へのお役に立って見せます」


 チッ、めんどくせえ。

 テメーの信用なんか知るか馬鹿野郎。

 それに、神なら宿屋で歯ぎしりしてとっくに寝てるだろうぜ。


「あっそ、で? テメーなんか俺に役に立つのか?」


「商才と算段は他の商人に負けまんし、どうかあたしを役に立たせてください。こんな惨めなまま、死ぬのは嫌です、ア、アタシは無価値のまま一生を送りたくない!」


 コルレオーニはそれだけ言うと、泣き崩れた。

 本来なら、こんな小汚い三十路過ぎの野郎はいらねえが、そういえば経理の仕事や財産管理、やるのが面倒なんだよなあ。


 俺インテリだけど、経済ヤクザみたいに数字に強いわけじゃねえし。


「わかった、じゃあテメーは俺の丁稚(パシリ)だ。あと俺の下で働くなら、小汚え格好じゃなくてビシッとした服装して、体洗って、ぼさぼさの髪は全部丸刈りな。あと、そのナマズみたいなヒゲを切ってこい」


「ははあ!」


 こうして俺はコルレオーニを旅のメンバーに加えた。

 そしてこいつが、幾度も俺の窮地を助けてくれるとは、この時点の俺は夢にも思わなかったのだった。

コルレオーニはマサヨシを見ている。


仲間にしますか?


⇨ はい

  いいえ


マサヨシはコルレオーニを仲間にした。

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