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仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第二章 王国死闘編
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第30話 街道のケジメ

 俺は異端審問官共と手分けして、日が落ちる前に辺り一帯を捜索し始める。


 そして、夕闇に差し掛かる俺達がみたのは、ボロ雑巾みてえに半殺しにされて、地面に転がってるニコと、クソの役にも立たねえで、お座りしてやがった犬っころだった。


 俺とレオーネはニコに駆け寄ると、回復魔法をかけてやり、異端審問官に周囲一帯を警戒させた。


「おい人間、お前がボサっとしておるからヤミーお嬢様がさらわれた! おい、聞いてるか人間」


 俺は兄貴面した犬っころの話は聞いてるが、一切返事をしねえで、ニコに事情を聞く。


「どうしやがった!? 何が起きやがったんだ」


 意識を取り戻したニコが、俺を見て大泣きする。


「親分! オイラまた女の子守れなかった!」


 馬鹿野郎、泣きたいのはこっちの方よ、生きてて良かったが、どうしてこんな事に。

 まさか、もしかすると村を襲った奴らがまだ近くにいやがるのか?

 逃がさねえ、絶対ぶっ殺してやる。


「そうだ、そこの小童が雑魚だから、お嬢様が連れて行かれたのだ!」


 そして兄貴面するこの犬には、いい加減うんざりして来たぜ。


 どうやら、ニコの話によれば、この犬っころは鼻が効くらしく、ヤミーのアイデアで、村を襲った連中を探し出すために警察犬みてーに嗅ぎ回ったらしい。


 そこで、騎士団らしき一団と、商人ギルドの一員らしい、ネズミのような野郎を発見したようだ。


 ニコがナイフ持って、衝動的に野郎らに襲いかかったが、逆に返り討ちにされた。


 そして、ワン公も飛び掛かったが、ニコとワン公を守るために、ヤミーがこう言ったという。


「ニコは我の弟のようなものじゃ! こやつを殺すなら我が身代わりになる! 犬も我の命令でおとなしくする。爺や、そこでお座りじゃ!」


 こうして、あいつは誘拐されちまったようだ。


「おい、人間! 聞いてるのか私の話を!」


 クソ犬がヘタ打ちやがって、あとでどっちが上かわからせてやる。


「すまねえ、レオーネは見習いのニコの面倒見て、馬車まで行っててくれねえか?」


 レオーネはうなずき、ニコを両手で抱えると、馬車まで移動した。


 そして俺は、自分達の面子が潰されて、怒りでやる気満々の異端審問官達に命令を下した。


「異端審問官に告ぐ、下手人は赤十字騎士団とネズミのような商人だ。まだ遠くに行ってねえみてえだから、感覚強化魔法で探し出してくれ!」


「了解しました! おい、日が完全に落ちる前に探し出すぞ!」


 俺が異端審問官達に頭を下げると、奴らは身体強化魔法で、その場から散った。


 そして、その場に残されたのは、一人と一匹の状態となる。

 そして俺は、クソ犬に思いっきり睨み付けた。


「やっとこっちを向いたと思ったら、なんだその目は? 貴様私に向かって……」


 俺はワン公を、死なない程度にケツを蹴飛ばす。

 動物を痛めつける趣味は全くないが、この野郎勘違いしやがって。


「テメー、いい加減にしておけよクソ犬が。親分の家臣で、ヤミーの見知った顔だから、顔を立ててやったのに、役立たずが」


 俺は吐き捨てるように言う。

 すると、犬は俺に飛び掛かってくる。


「い、言わせておけば人間め! わ、私は、お嬢様の命令を遵守したのだ! あのままでは小童はお嬢様もろとも殺された! それに神界法をお嬢様が犯したのは貴様が!」


「テメーも、下手打ってるじゃねえかこの野郎! テメーそれでも家臣か馬鹿野郎! 相手の喉笛掻き切って、一人か二人ぶっ殺す気合い見せろボケ!」


 俺は犬と取っ組み合いになる。

 飛び掛かって来たこのワン公を放り投げる。

 犬はくるりと空中で反転し、四つ足で地面に立って、俺に唸り声を上げた。


「あいつが、無責任でいい加減に育っちまったのは、テメーのせいだ馬鹿野郎! あいつはこっち来て変わった! よく笑うようになったし、人様を守れるくらいに立派に! 何が兄貴だ馬鹿野郎が、帰れコラ!」


 俺はようやく、この犬に腹の底をぶつける。


「帰れんのだ! 閻魔大王様が枕元に立ち、貴様と行動せよと命令を受けた」


 なるほど、親分はこいつが無断でこっち来た問題を把握してて、俺にコイツを考え直させるために、ここに残すって事か。


「それに、わ、わかっておった! ヤミー様があれほど楽しげにしておったのを見て、わ、私が間違っていた事など。き、貴様を見る目が、大王様と同じくらい信頼されて……ウ、ウオオオオオオン」


 悲しげな遠吠えを犬が上げた。

 さっさと本音で言えばよかったんだよ。

 あんたも、そして俺もな。


「ようやく、お互いに腹の底がわかったところで、どうするよ? ここで喧嘩してる暇も惜しい」


 俺が言うと、犬は全速力で走り出す。

 はええなこいつ、犬だから俺が全速力で走るよりも早い。


 ならば俺も身体強化と風魔法で!

 俺はなんとか犬に追いつく。


「私の嗅覚はケルベロス公に次ぐ、冥界でも二番目。金物着た奴らは、馬の残り香と残存魔力からかなり遠くに離れてるが、ネズミのような男は、まだこの街道沿いに留まっておる」


「どれくらいの距離だ?」


「あと10分で到着する!」


 10分だと!?

 俺の心臓と肺がもたねえよ!

 ちくしょう、空でも飛べりゃもっと早く!


 いや、待てよ? 

 確かアスモデウスの奴が。

 俺は走り幅跳びみてーにジャンプして、全身に風を受ける感じで魔力を集中させる。


「捕まれぇぇぇぇ犬っころ!」


 俺は全速力で空を飛び、犬を抱き抱えて空を飛び上がる。

 ちくしょう、魔力消費とコントロールがかなり難しい。


 あれを超スピードでこなしてた、あのアマ、化け物だやっぱり。


 ヘリとかみてーに頭傾ければ!

 空中を落ちるように俺は加速した。

 うおおおおおおおおおお。

 こええええええええ。

 顔の皮が波打つぞ、これええええええ。


 クソが、俺絶叫マシーン系ダメなんだよ。

 舎弟や子分とか女と遊園地に行った時とか、絶対乗らなかったからな。


 だがそんな事言ってられねえ。

 気合だ気合!


「なんだ貴様、飛べるならさっさと言え!」


「今思いついたんだよ馬鹿野郎! あとどれくらいだ?」


「あれだ!」


 犬が、見つめる方向に人影がうっすら見えた。

 だが魔力が切れる寸前!


「おい、あんたも空飛べんのかい?」


「無茶言うな! 今の私に魔力はない!」


「ふーん、あっそう」


 じゃあ無理やり飛んでもらおうか。

 俺は空中でピッチングポーズをとる。


「な、貴様何を!」


「極悪組代表、投手マサヨシ! ピッチャー第一球、オラァァァァ!」


 俺は神霊魔法の身体強化で、思いっきり犬をネズミ野郎の頭に目掛けて投げつけた。


「ワオォォォォォン! ぬああ貴様ぁぁぁ!」


 ミサイルのように、犬がかっ飛んでいく。

 飛行機雲を描きながら。


 そして俺は、落下速度を風魔法で軽減し、地面に降り立ち、ダッシュで走る。


 さすがに魔力が空っけつだから、魔力回復の聖水を、マラソンの給水みてーに飲みながらな。


 そして、俺の前方でネズミ野郎の頭に犬がかじりついて、ブンブンと首を振る。


「おうし、ワンコロの野郎、うまく行ったぜ!」


 そしてネズミ野郎は、地面に倒れた。

 頭からは結構な勢いで出血してる。


「貴様! 殺す気か私を」


 なんだ、元気そうじゃねえか。

 俺は駆け寄って来たワン公の頭を撫でる。

 その時、ワン公がドンと俺の顔面目掛けてジャンプし、体当たりする。


「痛えな犬っころ! な!?」


 犬が首から出血し、地面に落ちてピクピクと痙攣しだした。

 まさかこの犬、俺を庇って?


「この犬がぁぁぁ、畜生の分際でぇぇ」


 商人の顔が見る見るうちに、完全に毛が生えたネズミ顔になる。

 そして野郎の指の爪が、人間ではありえないくらい伸びきって、鉤爪になっている。


 こいつ人間じゃねえ!


「このアッシを、誰だと心得る人間め! アッシは魔王軍……」


 言い終わる前に、俺は木刀で、野郎の頭をかち割る。

 ネズミ野郎はその場に白目を向いて倒れ、俺は何発か木刀で追い討ちを加えて、完全に昏倒させた。


 こいつ雑魚だ。


「ふん、人間め……油断し過ぎた。しかし……礼を言う。ようやく大王様の忠実な配下としての仕事が、出来たぞ……」


 重症だが、なんとか無事みたいだ。

 俺はすぐに駆け寄って、両手で回復魔法を出血箇所に当てた。

 ようやっとこの犬、じゃねえ、狛魔犬兄貴は、兄貴らしい事を俺にしてくれたな。


 俺は最初の兄貴分を思い出す。

 色々と面倒見がいい兄貴だった。

 だがある日、チンピラとの喧嘩で、俺を庇って刺される。

 兄貴は病院の輸血で肝臓やられ、傷の後遺症が元で足を洗っちまった。


 なんの因果か、俺はあっちの世界で助けられなかった兄貴分を、こっちで治療している。


 全く俺も業が深い事だ。


 さて、ヤミーをさらい、兄貴を刺した、このネズミ野郎どうするかな。


 確かこいつ、オークデーモンの豚野郎が言ってた、人間に化けて物資調達してるって言う、クズ野郎の、獣騎軍補給隊の二等兵のラットデーモンだっけか?


 まさか、商人に化けて活動しやがってるとはなあ、まあいいや。


 こいつから色々と情報を吐いてもらおうか。

 アスモデウスの奴に、後で協定違反だって言われねえように、きっちり後始末つけてよ。


 あ、その前に。


「なあ、兄貴よう。冥界魔法で、相手の通信魔法妨害するのってねえ?」 


「人間め、物を知らんな。沈黙(ジップ)で魔法そのものを妨害できる。 相手の体力と精神力が弱れば弱るほど、かかりやすくなり、効果が長時間続く」


 なんだよ、結構便利なものがあるじゃねえか。

 お口にチャックってか。

 冥界魔法は魔力消費が無くていい。


「お、さすが兄貴だわ。じゃあ、このネズミに沈黙(ジップ)っと」


 俺はメモ帳とペンを取り出し、異端審問官達に、この街道に馬車で来ることを命じる言伝を書く。

 応援を呼んどかねえとなあ。


「兄貴、このメモ持ってちょっと、ニコや審問官共のところに戻ってくれねえ?」


「何だ貴様? 私を小間使い扱いしおって」


「いやいや、違う違う、適材適所さ。俺はこいつに口割らすため、ちょっとヨゴレ仕事するから、兄貴はこれ持って行ってくれ。ヨゴレ仕事は弟分の仕事だし。あと、ヤミーも最初そうだったが、そろそろ名前で呼んでくれ。俺の名前は、マサヨシって言うんだ」


 俺が説明すると、兄貴はメモを口に咥える。


「わかった、マサヨシよ」


 そして来たルートを、兄貴は真っすぐ戻って行った。 

 俺はため息を吐いて、両指をバキバキっと鳴らす。

 さて、ケジメ(R15)の時間だネズミ野郎が。


 まずは、こいつを動けなくしたいなあ。

 ホントは、穴掘って頭だけ出して埋めちまうのがいいんだが。


 お?

 そういや、豚野郎の土魔法で便利な奴があったわ。


魔界の鎖(デモンチェイン) 」


 俺は地面から金属の黒の鎖を出して、ネズミ野郎を街道の真ん中に、仰向けに拘束する。 

 後はっと。


「おらぁ、ネズミ野郎ぉ! 起きろゴラァ!」


 俺はつま先でネズミ野郎の脇腹を、思いっきり蹴り飛ばす。


「ちゅちゅ! き、貴様は!」


 俺はネズミ野郎の顔面を蹴り飛ばす。

 そして木刀を持って、ヤキ入れを開始した。

 体を中心に、滅多打ちにする。


「おら、ネズミ野郎ぉ! 兄貴刺して、俺の連れさらいやがってこの野郎! テメーが関わってる商人連中全員名前、吐けやおらぁ!」


 ネズミ野郎は、ケツに木刀が刺さりながら、俺の気迫に恐怖し、商人ギルドの連中の特徴と名前をペラペラ喋り出す。


 ていうか、魔王軍総司令本部は隣りの大陸に移ったのに、何やってんだこの馬鹿?


 あれか?

 アスモデウスの招集命令とか来てんのに、シカトして欲かいて、人間相手の小遣い稼ぎに、勤しんでやがったのか?


 まじで獣騎軍の野郎ら、ダメな奴ばっかだぜ。

 アスモデウスの奴、悪魔にしては人が良さそうだから、魔王軍の馬鹿とアホの厄介者全部引き受けたんじゃねえのか?


 そして、拒魔犬兄貴がこっちに戻ってくる。


「到着まで、あと15分後だ。終わったのか? マサヨシよ」


「おう、兄貴。こいつらのネットワークや貴族野郎の情報一通り、全部吐かしたぜ」


「ちゅちゅ、貴様は? もしやその名前、勇者! チュチュチュチュウウウ」


 気が付くのが遅えんだよ馬鹿野郎。

 もうテメーは、カタにはまっちまってんだよクソ野郎が。


 それで、なんか通信魔法っぽいものを、発動したようだが、辺り一面シーンとする。

 1分過ぎ、2分過ぎ、野郎は顔面蒼白となり汗が噴き出す。

 俺はため息吐いて、木刀を持って、野郎の体を滅多打ちにした。


 そしてあっという間に10分以上経過する。


「チュウウウウ! なぜ、暗号通信魔法が? アスモデウス閣下ぁお助け!」


 さすがに、雑魚でも悪魔野郎だけあって、なかなかタフだな。

 人間だったらもう、意識不明の重体なのに。

 それと、アスモデウスに通信しても通じねえよボケ!


 その時、兄貴が身震いしてソワソワし始める。


「すまん、そのマサヨシ。さっき走ってこっち戻ってきたら、急に体が冷えだして」


「ああ、兄貴もか。実は俺も一仕事終えたんで、その、小便してえですわ」


 俺はネズミ野郎を見やる。

 ちょうどいいや、テメーには俺達の兄弟愛を深めるため、役立ってくれ。


「でも近くに、私が用を足す、ちょうど良い柱とかなくてどうしようかと」


「ああ、兄貴。あそこに間抜けヅラした柱みてーなのがあるんで、俺とご一緒にどうですかい?」


 兄貴は、ラットデーモンをじろりと見やる。

 すると兄貴は片足をあげ、ラットデーモンの顔に小便をかけ始めた。

 俺も審問官服のズボンを降ろし、ラットデーモンの体に小便をかける。


 兄弟で連れションってのはいいもんだぜ。


「うわ、ばっちいい、臭い、汚い! 傷にしみて痛ぁい、お、お前ら悪魔だ!」


 悪魔はテメーだろうが馬鹿野郎。

 もうそのセリフには、飽きちまったよクズ野郎が。


 俺は舌打ちしながら、ズボンをあげると、街道に落ちてる棒きれを二つに折り、両手で野郎の両方の穴にぶっ刺す。


 そして思いっきり、棒に蹴りを撃ち込んだ。


「ぎゃあああああああああああああ」


 ネズミ野郎が鼻血を出しながら悲鳴を上げる。


「何だとこの野郎、兄貴の小便が汚えとは、どういうことだ馬鹿野郎! ご褒美だろうがネズミ野郎がよお、コラァ!」


 すると、兄貴がしっぽを振って俺を見る。

 少しは信頼関係が結べたようだった。 

 そして、異端審問官やレオーネ達を乗せた馬車が近づく。


「ああそれと兄貴、こいつが吐いた商人連中の居場所、確か商業都市にある、コルレオーネ商会って言ったが、今夜中にでも、商社が閉業する前に、俺が奇襲(カチコミ)に行くんで」


「うむ、任せる。それと、ヤミー様にもしもの事があったら、お前には死んでもらうぞ?」


「そのケジメの件、当たり前でしょうが。俺は親分に約束したし、あいつは絶対に死なせやしないし、傷一つつけさせない」


 俺と兄貴が街道から一歩離れたところで、星々が瞬き始めた地平線を眺めながら話してると、徐々に馬車がこちら方向に近づいてくる。


「ちゅちゅ、お、お前らアッシをどうする気……」


 どうするもこうするもねえよ、ネズミ野郎。

 もう会う事はねえだろう、達者でな。

 俺は土魔法で作った砂利を、ネズミ野郎の上半身辺りにサッと撒く。


「じゃあな、ネズミ野郎」

「ワン!」


 俺と兄貴は、馬車の車列が来る、反対方向の街道先を50メートルほど歩いて移動する。

 ちょうどよく、ケジメはこの馬車達がつけてくれるだろう。


「ちょっと待て! 馬車、馬車がこっちに向かって、この非道チュ……」


 がががががががが

 バキバキバキバキ

 ドドドドドドドドドド


 ネズミ野郎の魂と体は消滅した。

 さて、じゃあケジメ祭りと行こうか。

間違えて完結済みにしてしまいました。

申し訳ございません。

え?

謝罪はいらねえから、指と金置いてけって?

すいません、すいません、勘弁してください!

ヘタ打ってすいませんでした!

_○/|_ 土下座

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