389:SF センサーライト
カテゴリ:SF 1100文字
やあ、オカルト話は大好きだけど実際に体験するのは勘弁だ。な、くまだよー!
みんな、センサーライトって知ってる?
そうそう、赤外線を使って物体がそれを遮断するとライトが付くって仕掛けの奴さ!
コンビニや小売店舗などで入口をくぐるとチャイムが鳴るってやつも原理は同じさ!
まあ、そんなセンサーライトが関係した少し不思議なお話を読んでくれるかい?
これは、ともだちのともだちからきいたはなしなんだけど……
くまさんが除雪作業をしているときのお話。
あまり知らない事柄かとおもうけれど、除雪作業はツーマンで行うのが鉄則なのさ。
まあぶっちゃけると法令っぽい?
そんなわけで、除雪車に二人乗りするか(ツーシート)除雪車の後ろを追いかける付き添い車(回転灯付き)になるわけだ。
くまさんは後者なパターンで、その日は付き添い車の軽トラに乗っていたんだ。
ここまではいいかな?
それは公舎の第二駐車場でおこったのさ。
除雪車が第二駐車場を除雪し終えて正面駐車場に向かった。
くまさんは第二駐車場で除雪後の確認(路面の破損がないかなど)を終えて車内で待機することになった。
正面駐車場は狭く、除雪の邪魔になるので終わるまで第二で待機することになっているからだ。
まあそんなわけでくまさんは公舎が陰になってはいるが、深夜でもあるので除雪車のヘッドライト等の明かりを遠目に眺めていたんだ。
位置的にはこんな感じだね。
第二 ーーーー 公舎(裏) ーーーーーーーー 正面
くまさんの視界には公舎の裏側の一本道の通路が見える。
その遥か先で除雪車のライトがちらちらとうごいているんだが……。
ぼーっと眺めていると、くまさんからおよそ50メートル先の通用口のセンサーライトが点灯した。
深夜と言うか4時である。
通用口のある道は一本道であるから、誰か人が通れば正面を向いているくまさんにはわかるはずである。
もちろん、にゃーんなヌコ様が走り抜けたとか、狸とか貂とか狐とか鹿とか猿とか熊とかが疾走したとしても何かが動いた影くらいは認識できる。
だって、ずっと正面をみていたのだから。
軽トラのヘッドライトは正面を、通用口もちゃんと照らしていたのだから。
誰も、何も通過していないはずなのに、なぜセンサーライトが反応する?
くまさんは生唾を飲み込みながら、点灯した通用口を凝視する。
きっと日直の職員が通用口から出てくるに違いない、と。
くまさんがそう願いながら通用口を凝視すること数分、センサーライトは何事もなく消えた。
もちろん、通用口の扉は開かれない。
一体、センサーライトは何に反応したのだろうか?
くまさんはそっと、ラジオの電源を入れた。
べ、べつにこわくなったからなんかじゃないんだからね!
実話。
オチなどない。




