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第二十九話 「絆」

第二十九話 「絆」


ファリクサーが消えた。

輝が消えた。

粒子となって。空気と共に混ざって行く粒子。

そして静寂が残った。

ただ。

咲の。

悲痛な。

声。

「あ……あ……」

フェクサー――いや、咲から一筋の光が漏れていた。

それは、とても儚く消えてしまいそうだが、芯が強く。

揺らがない光だ。

「フッハッハハッハッハハハ!やったぞ!消えたぞ!我の――我の!」

ヴァルセメリキウスの高笑いが響く。

声が、悲痛とも愉快とも取れる声だった。

……

ここは……何処だ?

この感じは……悲しみ?誰かの悲しみがフィアーズ・コードを通じて流れてくる。

これは、咲の悲しみじゃない。今までに見たことが無い悲しみだ。

誰だ?アレは……。

50mを超える機械と人間が話している。50mの機械はヴァルセメリキウスに似ていた。そして……もう一方の人間は…俺と同じフィアーズ・コードを感じる。

あれが……もしかしてヴァルセメリキウスが言っていた、俺の祖先……?

そしてこの光景は……そうか。二千年前のヴァルセメリキウスの記憶なんだな。

「なんだ、お前は」

「おいおい、拾ってやったのにその言い方はないだろ……まぁいいや。お前、ここで一緒に暮らす気はないか?」

様々な光景が浮かんでは消えていく。

まるでシャボン玉のように。

「おお、お前か。どうだ?これは」

「最高だ!皆凄く喜んでいたぞ」

「それはよかった」

俺が見た、ヴァルセメリキウスとは変わっていて、ヴァルセメリキウスからも――を感じられた。

ただの機械じゃない……。

突然、その光景は襲ってきた。

「なんだ?お前。いい加減にしろよ」

「我は……我は……」

あの人間は……そう。人間の悪の部分が表層にでてる。フィアーズ・コードによって、人間は負の感情を抑制している。

フィアーズ・コードが機能していない。俺には、そう見える。

「我わあぁぁぁぁぁ!」

突如。

ヴァルセメリキウスが暴れだしたかと思うと、もう一方の人間はファリクサーを呼び。

戦いを開始していた。ファリクサーは負の感情に支配され、黒く変色していた。

乗り手によって姿まで変えるのか……ファリクサーは。

ヴァルセメリキウスを圧倒的なまでの力で叩きのめしたファリクサーは一度離脱しようとしたのか、飛翔した。

でも、何かに「狙撃」された。そのままバランスを崩して着地。

地面に大きな音を響かせてファリクサーは注意深く撤退していった。

狙撃……?なんだ?何かに似ている……あれは――か!アイツがすべての元凶……?

フェードアウトしていく光景。

それからは虐殺ともいえるべき光景。

人間を所構わず殺している機械達。

中には機械と機械で殺しあっているものもいる。

人間との共存を選ぶ機械もいたのか。だからケッキン達がこちら側についていたりしたのか。

そして人は宇宙に追い出されるように逃げ、地球に不時着……。

そこにアルクェル帝国の大群が押し寄せ、ファリクサー、フェクサー、フィクサー、フォクサーと戦闘を開始している。

これは……全部二千年前の光景なんだよな……。

ヴァルセメリキウスの記憶の中。

アイツは……ヴァルセメリキウスはまだ命を大切にしている。ただ、フィアーズ・コードが負の感情に流されてるだけだ……。

まだ。

救える。

きっと。

共存の道を選べるはずだ。

いつもこの世界にはヴァルセメリキウスの負の感情が、悲しみがあったのか……。

親友に裏切られたという感情。それがフィアーズ・コードを負の感情のベクトル変えたんだな……。

刹那。皆の声に導かれ、俺は――。

……

「?……あれ?」

「どうした。秋日」

「どうしたの?」

「どうしたの~ん?」

陽樹が疑問を頂くと共に。志乃、坂部 豊、比良乃 冬が声をかけた。

現在、地球全土の人間がシェルターに避難していて、シェルターの中は蒸し風呂に近い状態だった。

「何かが聞こえた。これは、きっとお姫様の声だ……」

「お姫様?熱くて何かに取りつかれたか?何、俺に任せろ。今から――」

「わっすごいねぇ~」

「陽樹変態だ」

「なんで!?いつも俺だけアウェーだ!」

「いつも?いつもこんな風に話してなかったよね?」

「そうだぞ、秋日。狂ったか」

「何、その、憐れむような目。違う断じて違う!そう。原河 咲の声が聞こえた」

「原河……咲?誰だ?」

「何言ってんだ志乃」

「いや、待て。本当に分からんのだ」

「何言って……あれ?俺も分からない。なんだ、誰だ……」

「私も何か思い出せないでいるの最近。ねぇ、私達っていつも何人いた?」

「妙な質問だな。俺。秋日。坂部。比良乃だろう」

志乃は、一学年違う先輩にも呼び捨てで対応する。

もう慣れているであろう、比良乃 冬は頭を抱え出した。

「私達を結んでいる誰か……それを忘れてる気がする!」

「先輩……それは私も……」

「アッー!」

「秋日どうした」

「輝と咲だよ!甲長 輝!」

「おお、思い出したぞ、でも――」

「なんで今まで思い出せなかったんだろう。あれ……今はこんなことをしてる場合じゃないと思う」

「そうだよ!いこう!」

比良乃 冬が立ちあがると同時に志乃、陽樹、坂部 豊も立ち上がる。

そして向かったのは、FDAの日々之 皐月の所へ。

この時。彼らから、一筋の光が、闇を照らす。

光が溢れていた。

……

「輝……ヴァルセメリキウス!」

なえかの殺気のこもった声が、あたりに反響する。

「ふん……どれだけ威勢のいい声を出そうとも、お前達は何もできない!」

「え……?動かない?フィクサー!」

「この大きな範囲にクシュリナ・ボックスを展開させた……?」

「そうだ。これが真のクシュリナ・ボックスの力だ!フッハッハハハ!我の復讐はフィアーズ族すべてを殺してこそ果される!」

「ヴァルセメリキウス……!」

「どうした?原河 咲。甲長 輝の仇を討ちたいのだろう。その絶望を抱えたまま……消えろ!」

「ううん……違う。あなたはフィアーズ・コードを持っている。そう、輝くんが言ってる」

「な……に……」

「悲しいことがあって、そのベクトルが向いているだけだって……ただそれだけだって言ってる」

「……我は――否!」

ヴァルセメリキウスは突如態度が変わったように声を絞り出した。

「我は、消す。憎い。フィアーズ族をぉぉぉぉぉぉ!」

「輝!咲!」

その言葉が発せられた直後。

太い。一筋の光が射した。それは、とても不思議な光景で、密閉されたこの空間ではありえないことである。


光は、次第に集束していき。紅の機械を創造していく。


咲の、輝を失っても、負の感情に支配されなかった心。フィアーズ・コード。その心が一筋の光を生み出し。

その光がさらに思い出すキッカケにつながり、そしてここに――。

「この光、地球の皆からの絆の光を感じる……とても、暖かい」

少し離れた場所に点在している、地球からは無数の光が、この場所に集束している。

その光景は、輝が今までに助けた人間。助けられた人間からのものだ。

地球の全員とまではいかないが。フィアーズ・コードを通じて、全員が知っていたこと。

それが今形となって、光になっている。


そして構成していく。時間が逆再生されるがごとく。


構成されていく肉体。機械。


そこに現れたのは人型のボディーをした。18m台のロボット。紅の装甲を纏った機体。

唯一、オリジナルのブラックボックスを積んでいる機体。

ファリクサー。

それが、再び登場した。光を纏いながら。

「輝……くん?それに――」

「輝……」

ファリクサーに纏わりついている、光が拡散する。

「咲、なえか――」

「輝!咲!聞こえてるのかー!」

ファリクサー、フィクサー、フェクサーに届く声とモニターに映される人。その声は、皆の良く知っている声で、絆の繋がりをちゃんと感じられる声だった。

「陽樹、志乃、冬、豊……それに、皆……」

「あれ?なえか!?」

「え……みん……な?」

「生きて――」

いきなり陽樹が画面外に飛んでいく。

「なえかちゃん!生きてたんだねー!それより、輝くん、皆輝くんのことを思い出したんだよー!」

冬が画面に登場し、言った途端。モニターに人が目いっぱい映される。

人間、人間、人間、人間、人間。人がひしめいている光景だった。

「俺のことを……」

「輝、涙涙」

「あ、ああ。まさか、本当に思いだしてくれるなんて思わなくて……な」

「よかったね、輝くん」

「輝!」

陽樹が再び顔を出した。

「なえかのこととか、言いたいことはたくさんある!だけれどな!輝!勝て――」

モニターの中にいる全員が、まるで知っていたかのように口を開く。

「「「「「帰ってくる戦いなんだろ!」」」」」

「……」

「ふふ、輝くん。返事しないと!」

「輝!返事返事!早く!」

「ああ……これは帰ってくる戦いだ!いくぞ!皆!」

モニターから「おぉぉぉ!」と言う声や、様々な声が聞こえる。

それは、絆の力が起した……。

咲の強い心が導いた、絆の力。

ファリクサー、フェクサー、フィクサー、フォクサーが光に包まれる。

それは暖かく。

とても心強い光だ。

「これが絆の力?ありえない。ありえない。ありえない。否否否否否否あぁぁぁぁぁぁ!」

「この戦いには……いつもお前の悲しみが溢れていた。その悲しみと一緒にお前を――しているモノを共に断ち切る!」

「ああぁぁぁぁぁぁあああ!フィアーズ族ゥゥゥゥッゥウ!」

「咲!なえか!分かるな!いっくぞおぉぉぉ!」

「うん!輝くん!なえかさん!いくよ!」

「輝、咲……!」

三人が叫ぶ。

皆の絆が導いた奇跡。

その力が今ここに具現化する。

その名は――。

「「「絆の力が導く力!超至宝合体!」」」

フィクサー、フェクサー、ファリクサーが光に覆われる。

フィクサーとフェクサーの足、腕、頭部が粒子となり、胴体に粒子が纏わりつき、その粒子が胴体を中心として下半身となる部分を構成。

ファリクサーに、フィクサーとフェクサーの残る粒子が形となり、合体する。

そして、フィクサー、フェクサー、ファリクサーが光の中で合体。

究極の絆。

それを体現する!ロボット!

光を破ってでてきたのは、全長約50mはある、スーパーロボット。

下半身にフィクサーとフェクサーが左、右と分かれて合体。そして上半身にはファリクサーが合体している。

だが、その面影はもうない。個々の面影はほとんどなく。

一つの新たなロボットとして、創造される。

「「「絆の力。その力を体現する!アルティメットヴァリアァァス!」」」

「この力は!っ絆の力が甲長 輝とファリクサーを再構成……甲長 輝の存在の力をフィアーズ・コードで分けてもらったというのか……!?」

「そうだ!そのことが解るなら。お前はフィアーズ・コードで俺達と繋がっている!皆も分かる!ヴァルセメリキウスの苦しみが!」

「……分かるぞ。甲長 輝。これがお前たちが幾度となく諦めなかった絆の力だな……」

「京朗さん。いきましょう!」

「ふっ……分かった。いくぞ!」

「なんだ、お前たちはなんだなんだぁぁぁぁ!何故我の悲しみが解る!?お前たちはお前たちは!」

「もう言ってることがめちゃくちゃ……」

「仕方が無いんだ……これは。これ以上、苦しませない為にもやらないといけない。俺達は」

「分かってるよ、輝」

アルティメットヴァリアスが、右拳をヴァルセメリキウスに当てる。だが、近づいた途端。アルティメットヴァリアスの出力が低下する。

「そんなことをしても無駄だぁぁぁ!」

「無駄じゃない!」

その隙に、フォクサーがガラ空きの背後を取り、拳を浴びせる。

拳を受けた衝撃で、内部にある、クシュリナ・ボックスが機能を停止する。

「ぐっ!フィアァァァズゾクゥゥゥゥ!」

「お前の憎しみを今ここで断ち切る!ヴァルセメリキウスゥゥゥゥ!」

アルティメットヴァリアスが、右の拳。続いて、左回転蹴りを浴びせ、ヴァルセメリキウスをふっ飛ばす!

その直後、アルティメットヴァリアスが光に包まれる。

すると、不死鳥が現れた。

フェニックスノヴァ。

「我、不滅の剣となりて、汝らの助けとならん!」

「咲!なえか!京朗さん!」

「スパイラユルニコーン!ガトリングバイパー!」

「ドラゴンブリザード!」

「ドリルウィンドウレオ!」

「「「「フェニックスノヴァ!」」」」

「「「「ウェポンコネクトォォォォ!」」」」

アルティメットヴァリアスとフォクサーから、それぞれのウェポンボックスが登場し、一つに融合していく。

スパイラルユニコーン。ドラゴンブリザード。ドリルウィンドウレオ。ガトリングバイパー。フェニックスノヴァ。

そして生まれた一筋の光を放つ剣。

絆の剣。

絆の剣をアルティメットヴァリアスが持つ。

それと同時に、フォクサーが、派手に飛ばされていた、ヴァルセメリキウスをアルティメットヴァリアスに蹴り返す。

「これが!俺達の絆の力だァァァ!フィアァァズ・ソードォォォォ!」

アルティメットヴァリアスが派手に、大地を蹴りあげる。

地面にあった、コンクリートがめくれ、素の大地が現れる。

音速とも呼べる域へ達した、アルティメットヴァリアスはフィアーズ・ソードをすれ違いざまに振る!

ヴァルセメリキウスは失速。地面に派手に激突する。

アルティメットヴァリアスも失速するが、綺麗に着地する。

どちらも倒れることなく、そこに時間が止まったように硬直する。

「なぜ……我を完璧に壊そうと思わなかった」

「お前からはフィアーズ・コードを感じられた。それも、ただ逆のベクトルに向いているだけの存在だ。それを……消すことはできない」

「甘い……!だが……我は――」

「ダメですねぇ……まったく」

重い声が聞こえた。

その声と共に、何かが飛んできた。

「ッ!?」

「「きゃああああ」」

アルティメットヴァリアスの下半身部分が狙撃により、打たれる。

派手に飛ばされたアルティメットヴァリアスは、空中分解。

ファリクサー、フェクサー、フィクサーは地面に衝突する。

それと同時に、空から、ファクロトアス、ケッキンが、壁を突き破って、落下。

どちらもボロボロになっており、もう壊れる寸前という所だ。

「ファクロトアス!ケッキン!……出てこい!レクイエム!」

「おや……?私の存在に気づいていましたか」

「……京朗さん、咲となえか、ファクロトアス、ケッキンを頼みます」

「分かった」

「輝、くん。私はまだ……」

「輝、私もだ……よっ!」

「ダメだ。皆早く行け!」

輝の大声。それが響く。

フェクサーもフィクサーも既に大破寸前の状況だった。あのたった一撃で。

足手まといとは言わないものの、今、この状況で一番動ける機械はファリクサーのみだった。

「……分かったよ、輝くん。でも、帰ってくる戦いなんだよ!?」

「分かってる、当然。帰る!」

フェクサー、フィクサー、フォクサー、ファクロトアス、ケッキンが撤退。

ファクロトアスはフォクサーに肩を貸してもらいながら。

ケッキンはフィクサーに肩を貸してもらいながら撤退した。

「さて……よくもやってくれましたね、甲長 輝」

レクイエムの憎しみのこもった声。レクイエムが駆っている機体はフェクサーもどきだが。今までのモノと比べ物にならないほど、異彩な力を発揮していた。

「レクイエム。すべてはお前がやったことだったんだな」

「そうですねぇ、二千年前からやっと形になった計画が台無しですよ!この人間風情が!」

「レクイエム……?」

「ああ、ヴァルセメリキウスまだ生きていましたか、今となってはあなたも不要だ」

「ヴァルセメリキウス。気づかなかったか?お前のフィアーズ・コードに何かを施していることに」

「甲長……輝。そうか、レクエイム。貴様か……貴様が我のすべてを!」

「ふん。ゲームの駒はゲームの駒らしくしていろ」

「レクエイム。すべてはお前がやったことなんだな?俺の祖先の暴走。そして、ヴァルセメリキウスの暴走のすべて。根底には確かにヴァルセメリキウスの悲しみがあった。でも、お前はそれを利用していた」

「さすがですねぇ、そこまで気づきましたか。そうです、私がすべてやりましたよ、二千年前ヴァルセメリキウスが親友と言われる人物を消しかけたのも私だ。ヴァルセメリキウスの機械を乗っ取ろうとしていたのに、あと一歩で二千年かけた計画が完成したというのにぃぃぃ!」

「お前からは……フィアーズ・コードを感じない。ただ、負の感情を背負った機械だ。お前は!ゲームのような感覚でこんなことをしていたのは許せない!」

「許してもらう必要などない!私がやりたいことをしただけだ!」

「ヴァルセメリキウス。撤退しろ……コイツは俺が……いや、俺達が倒す!」

「……」

ヴァルセメリキウスはのそのそと撤退していった。

「お前は……お前を今ここで倒すそして、皆の所へ帰る!」

「計画を台無しにした罪。その身をもって味わえええええ!」

ファリクサーはインフェルノソードで斬りつける。

フェクサーもどきは避ける反動を利用し、回転蹴り。続いて、上にのしかかる。

「くっ……」

「威勢がいいのは口だけのようですね、苦しむ余裕すら与えない!死ィィィィねェェ!」

フェクサーもどきが、持っていた、剣を手に取り、振り下ろした。

……

「……輝くん……」

「咲、私達にできることはもう……」

「……お前たちの言っていた、絆の力とはここで尽きるものなのか?」

「お兄ちゃん……?」

「……まだやれることがある。それが何なのか。分かるだろう」

「……やろう。咲」

「なえかさん……そうだね、私達にはまだできることがある……!」

そして呟く

「「「ウェポンコネクト。ドラゴンブリザード。ドリルウィンドウレオ。フェニックスノヴァ。機甲ファリクサー」

そう呟くと、フェクサー、フィクサー、フォクサーが発光し、次の瞬間。粒子のウェポンボックス達は飛んだ。

紅の――絆の象徴である、機甲ファリクサーへ。

……

「ぐっ……なんだ……!」

レクエイムの忌む感情を含んだ声。

フェクサーもどきが、剣を振り下ろすと同時に、無数の粒子が絡みつき、フェクサーもどきを吹き飛ばした。

「これは――そうか。ありがとう。咲、なえか、京朗さん。いくぞレクイエムゥゥゥ!アルテマボックス!ウェポンコネクト!」

すべてのウェポンボックスが、オリジナルのブラックボックスに集う時。新たに融合した、ウェポンボックスが誕生する。

アルテマボックス。

それはそう呼ばれていた。

「インフィニットフィアァァズソォォォドォォ!」

無限の絆が生み出した奇跡の剣。

「こんなものがあるはずがない!私の計画がこんな所で潰えるかあぁぁぁぁ!」

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」

ファリクサー、フェクサーもどき。どちらも飛翔ユニットを最大速力にし、剣の切っ先を機体正面に据える。

音速を超えるスピードを出す、ファリクサー。

フェクサーもどきのスピードも音速を超えるほどの速度を出している。

回りには、風が時間遅れで生まれ、消え、また生まれる。

そして――激突。

広い広場で爆発が起きた。

壁は完全に崩れて崩壊した。

……

「あの爆発は……!?」

「輝……」

「……待て、あれを見ろ」

フォクサーが指差す先。

そこには、腕、足を失っているものの。

紅の機体。

絆を象徴する機体。

ファリクサーが、飛翔していた。

「輝くん!」

「輝!」

フェクサーとフィクサーは、ファリクサーに駆け寄る。

ケッキンが落ちそうになるが、なんとか飛翔ユニットを稼働させる。

「ただいま。咲、なえか」

「おかえり、輝くん」

「おかえり、輝」

……

「1月1日元旦をお知らせ致します」

やかましいほどの、声が、周りに響いた。スピーカーを通じてなのだけど。

一か月前の戦いのあと、ヴァルセメリキウスは元の人格。

自分の人格。そして、フィアーズ・コードを取り戻し。地球との間に締結を結んでいた。

アルクェル帝国と地球――いや、人間と機械は共存の道を歩みだした。

「輝くん、あけましておめでとう」

「あけましておめでとう、咲」

「輝~、私は?」

「いや、分かってるって。ちゃんと一人ずつ挨拶しようとだな……」

「ごめんごめん。あけましておめでとう!輝」

「あけましておめでとう。なえか」

「我はここにいていいのか?」

「ヴァルセメリキウス、当然だ。俺達とは友達だろう?」

「友達。そうだな……。あけましておめでとう」

「あけましておめでとう。ヴァルセメリキウス」

ヴァルセメリキウスのした罪が消える訳ではないが、彼は、今までの罪を清算するかのように、活動をしている。

それでも、我の罪は消えないがな……と言っているけど。

友好関係を結んだ、地球とアルクェル帝国は、現在、一本のエレベーターで結ばれている。

アルクェル帝国は、地球と隣接し、重力が発生しない間を保っている。

アルクェル帝国は自然が豊かで、文明が発達していることもあり、様々な観光などが開始されている。

それと、地球にアルクェル帝国の機械がいる光景もほとんど珍しくなくなった。

そのままの状態では大きいので、人間サイズの機械にAIを移植したらしい。

少しの機械だけだけど。珍しい光景ではなくなってきている。

俺、咲、なえか、冬、豊、陽樹、志乃は、元の学校生活に戻り。

エスとエム、ケッキン、京朗さんは、地球と

アルクェル帝国のかけ橋となって、活動している。


「輝、俺にはなしかゴルァ」

「いや……陽樹そんなに怒るなよ。あけましておめでとう」

「おう!おめでとう」

「あーずっるーい!私も!」

「冬まで……。あけましておめでとう」

何回言わなきゃならないんだ。この生活が懐かしい。

そろそろ慣れてくるとはいえ、この幸せを忘れないようにしないとな……。

「あ、日の出だよ!輝くん」

「本当だな」

「綺麗だね」

「そうだな」

「なんでいっつもそんな感想ばっかりなのかなぁ、輝は!」

「いいだろ――」

「あ、ずっる~イ!」

「っと冬!?」

冬が後ろから抱きついてきた。それに続いてか、咲となえかも寄ってきた。

なんだ?これは!?

「朝っぱらからハーレムかよ!見せつけんなゴラ!」

「陽樹!?お前どうした!?」

「あー……ごめんね。今陽樹が、ハーレムを目指す!とか言ってる男の子のアニメ見てるみたいで……」

「豊!?ハーレム!?なんだ!寄ってくるな、陽樹!」

「ハッハ、モテモテだな、甲長」

「志乃もこっち寄ってくるな!」

「何を言っている。俺は秋日によっているだけだ」

「な、くるな!爆発するぞ!」

「何が爆発だ。怖くないぞ……」

「そうだぞ、秋日。観念しろ――」

「アッー!たす、助け、オタスケェェェェ!」

皆が笑っている。本当に皆が。

そして今いる場所。

約束の場所。

そこに、俺は行きたかった皆と来ていた。

京都で約束した場所。

本当に叶うとは思ってなかった。

きっと、俺達はこの先も何回も危機に遭遇するだろう。


でも、絆の力がある。

乗り越えられる。


きっと、俺達なら――絆で。


機甲ファリクサー オワリ


機甲ファリクサーFへ続く

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