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六年の月日

 木漏れ日が眩しい。


  俺は死んだ筈なのに、光を感じている。

  実際は木漏れ日ではない筈だが、光の中に感じる温かさがそう錯覚させる。


  (あぁこれが天からの使者というやつか⋯⋯)


  俺は直感的にそう感じた。


  俺はその使者を見るべく、目を開いた。

 

  漫画等に出てくるロリ可愛い女の子なのか、はたまた巨乳の美人さんなのか⋯⋯俺は使者について、色々と妄想した。


  「あら、起きたのね深夜」


  だが、そこに居たのは見慣れた自分の母親の姿だった。


  (はー?使者が母親だと⋯⋯いや、そもそもここは俺の家だ⋯⋯)


  俺はあまりにも見慣れた光景に驚きを隠せなかった。


  自分は爆発に巻き込まれて死んだ筈だ。

  爆発が不発に終わったという線は考えられない。

  俺にはしっかりと爆発音が聞こえた。


  (凛耶が何かをしたのか?⋯⋯)


  その可能性はありえそうだが、あの距離で何か出来るとは到底思えなかった。


  (母親なら何か知ってるのかな?)


  俺はどんなに考えても分かりそうになかったので、母親に聞く事にした。


  「俺ってどうなったの?」


  だいぶ抽象的な言葉になってしまったが、母親なら大丈夫だろう。


  「まずね、隔離空間アイソレーションの中に深夜は六年も入っていたの」


  ⋯⋯俺は驚きで言葉が出なかった。


  六年の間も隔離空間の中に入っていたのだ。

  俺が凛耶と対戦した時は、四歳だったのだ。それが今では十歳だ。


  なぜ六年も隔離空間内居たのかは分からないが、凛耶が何かをした事ぐらいは分かった。


  「まぁ⋯⋯事情はアイツから聞いたから良いけど、出てきた時は殺しそうになっちゃったよ」


  おぉ⋯⋯俺が何も言わないでいると、母親が物騒な発言をしていた。


  「あと、怪我とかは一切してないから大丈夫だよ」


  どうやら俺は五体満足であの爆発を乗り切ったようだ。

 

  凛耶がどんな魔法を使ったかは知らないが、今度会ったらお礼をしておこう。


  「それとね⋯⋯小学校の事何だけど」


  母親は続けて学校の話をしてきた。


  「小学校?」


  俺は今の日本の学校の事を知らないので、詳しく聞きたかった。

 

  「小学校は、六歳から行く所なんだけど⋯⋯深夜は隔離空間内で六歳を過ぎちゃったから、小学校に行けないの⋯⋯」


( 俺は所謂、特別支援学校みたいな所に行く事になるのか⋯⋯それにしても六歳を過ぎたら小学校に行けなくなるのか?)


  俺は母親の言葉に疑問を持ったが、前世と今では違うと思い聞かない事にした。


  「それでね、行く学校は国立の中学校何だけどね⋯⋯」


  なるほどね⋯⋯国立の中学校か


  (は?いやいや、俺は小学校も行ってないよ?それに国立の中学校?)


  俺は母親の唐突な発言にとても驚いた。


  まず、俺は魔法の論理について全くと言っていい程知らない。

  多少凛耶に教わったが、それは俺が疑問に思った事を凛耶に聞き、それについて凛耶が答えるという教わり方だ。

  つまり、凛耶本人からは全く論理については教えてもらってないのだ。


  俺の知っている小学校では、足し算や掛け算のような日常的に絶対使う事をやった。

  魔法にもその様な物はおそらくある筈だ。

  それを全く知らないで中学校に行くには、少し⋯⋯いや、かなりリスクが高い。


  「何でそんなに不安そうな顔してるの?」


  俺の不安の感情は、表情に出ていたようだ。


  「大丈夫だよ⋯⋯アイツ曰く深夜の技術と知識は、有名国立高校でも通用するって言ってたから」


  (本当か?)


  技術については分からないが、知識は全く自信が無かった。


  (まぁ⋯⋯凛耶の事を信じてみるか)


  俺は半信半疑だが、信じて見る事にした。


  「中学校に行くのは分かったけど、俺は何もしなくていいの?」


  そう、母親は国立の中学校と言ったのだ。

  当然入試をやらなくてはならない筈だ。


  「あーそれならよく遊んでた女の子⋯⋯まりんちゃんが居たでしょ?あの子と同じ私立中学校に行かせる事にしたから、まりんちゃんに勉強を教えてもらいな」


  なるほど、まりんが居たか。


  だが、俺は隔離空間内で六年も過ごしている。

 

  まりんが俺の事を覚えているか不安になってきた。


  「まりんは俺の事を覚えているかな?」


  俺はそんな事を聞いても無駄だと分かりつつも、母親に聞いた。

 

  不安に駆られるとついつい人は、無駄だと知っていても聞きたくなってしまうものだ。


  「それは大丈夫だよ!この間も深夜はまだ帰ってこないのって聞いてきたし⋯⋯あっ深夜は海外に留学した事にしておいたから、何とか誤魔化しなさいよ」


  どうやら俺の心配は杞憂に終わったようだ。

  まりんはしっかりと俺の事を覚えていてくれたようだ。


  「それで、いつから勉強を始めるの?」

  「一週間前くらいでいいんじゃない?」


  なんと⋯⋯俺の母親は受験を甘く見ているようだ。

  前世の俺は高校の受験に、一年のスパンで勉強をしたというのに⋯⋯。


  「それに、私は勉強しなくても中学校何て主席で合格したし」


  ここで驚愕の事実を知った。


  俺の母親はかなりの有力者だったのだ。


  今の日本では学力の他にも、魔法の技術力も試験に関係してくるだろう。


  それをノー勉でクリアする事など、相当な実力を保持していないと出来ない筈だ。

  それも主席で合格しているのだ。


  「だから、それまで気長に待ってなさい」

  「⋯⋯分かった」

 

  何だかんだ思いつつも、俺は母親の言う通りに、受験一週間前まで気長に待つ事にした。

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