2話「9500系9501F」
ウチが初めて2200系以外の地元の車両でカッコいい!と思った電車の話。
「むむ!?」
ウチの名前は平野結奈。各務原に住む中学1年生。生粋の電車オタク!
「プレス見た時から思ってたけど、やっぱカッコいいな!」
休みの日、家でTwitterを見てたら何やら名鉄の新型車両"9500系"の甲種を捉えてるツイを見つけた。は?カッコよくね?ウチ、今まで2200系にしか興味なかったんだけど、初めて地元で2200系以外の電車に興味沸いたぞ?これはヤバい!見たいぞ!
「いつから運用開始…?」
こういう時のウチを侮ってはいけない。すぐにスマホで9500系について調べ出した。
「んー…、設備投資計画には大したこと書いてないなぁ…。」
名鉄が3月に出した2019年度設備投資計画のプレスを見る。でも4連4本を造るって書いてあるだけで、明確な運用開始時期とかは書いてないなぁ…。一番嫌なパターン。そうだよなぁ。去年増備されたとはいえ、3300系は2004年の設計だし。だいたい15年の差?があれば変わるよなぁ。そうするといろんな試験やりそうな気はするし。とりあえず待ちだなぁ。ウチはそう考えて追加情報を待つことにした。
2か月後、9月中旬になって面白いプレスが出て来た。どうやら11月の第一土曜日に9500系を舞木で展示するらしい?参加費は3200円。フリー切符と同じ値段。え?これは…行くしかないんじゃね?そう思ってプレスをスクロールする。
「え!?今日から募集開始で、抽選なの!?」
プレスを見た頃には既に募集開始されてる!?早急に申し込まなくては!とりあえずHPから必要な情報を入力した。さあ、当たってくれ…。
そこから1か月。すっごいそわそわしてた気がする。とにかく、新車が入るのは何度かあったけど、正真正銘の新型車両は初めてで、地元の車両は2200系にしか興味のなかったウチを燃え上がらせるほどカッコいい車両だったから、早く間近で見たいって思ってたんよね。10月も下旬に差し掛かるころ、多分その日もそわそわしながら家に帰ったと思う。
「ただいまー。」
「おかえりー。結奈、アンタ宛に郵便来てたわよー。」
「んー。」
帰ってきたらウチ宛てに郵便が来てるって、母さんが台所からウチを呼んだ。なんだろ?
「はい。」
「ありがとー。」
ウチはその郵便を見た瞬間、態度には示さなかったけど、内心めっっっちゃ喜んだ。心当たりのある郵便はひとつしかない。
「いよっし!にぃ~…よっし!!」
2階の自分の部屋に戻り、鞄をそこら辺に投げ捨てて、ガッツポーズで思い切り喜んだ。なぜならそれは「9500系デビュー記念撮影会」の"購入証"だったからだ。当選したんだよ。あの撮影会に。もう嬉しくて嬉しくてたまらなかった。こんなに嬉しいのはめちゃくちゃ久しぶりな気がした。購入証が届いた週末には乗車券と撮影会参加券を犬山で買ってきた。とにもかくにも嬉しさが何より買った。3200円って、決して安くはないけど、この値段であの超カッコいい車両をデビュー前に至近距離から見れるって考えたら、この出費は痛くなかった。ありがとう名鉄…。ウチをこんなに楽しませてくれて。というか1日フリー切符すら専用デザインなの、憎いわぁ…。こんなカッコいい車輛が存在してていいんですか!?
そこから2週間。いよいよ撮影会当日。ウチは午後の部で申し込んだので朝はいつも撮影に出るくらいの時間に家を出て、途中撮影しながら本宿駅に来た。受付を済ませ、1番線に上がってくるとやってきた団臨は5704F。どうやらコイツも今日見てくる9500系に置き換わるらしい。そうか、あまりにも興味なさ過ぎてコイツも引退ってのすっかり忘れてたよ。何年か後に後悔しそうだけど、適当に撮っとくか…。でもこの古臭いクロスだもんなぁ…。2200系乗り慣れちゃうとどうも無駄に柔らかいし、長時間乗ってると疲れそう。
(お。1704Fだ。)
舞木に着いて、まず目に留まったのは1704Fの特別車。どうやら1700系も近々引退らしくて。もう1704Fは離脱して、一般車と切り離されてた。前パンカッコいいんだけどなぁ。あんまり撮ってないから撮っておかないと、絶対に後悔しそう。
(お。奥には9502F居るじゃん。いやぁ、これだけでもカッコいいけどなぁ…。)
奥の方にはウチがそわそわしてた頃に甲種された9502Fが。すごい。新車だからピカピカだよ…。まぁ言うて撮影会に充当されてる9501Fもピカピカなんだろうが。
(おやおや。これが噂の"いもむし"かぁ。これも現代に通ずるデザインだよなぁ。嫌な古さじゃない。)
舞木検査場の最奥、保存車両が並んでいるところには、名鉄の歴史の中でも由緒ある車両がいくつか置かれている。いもむしこと3400系はその一つ。
(すげぇなぁ。ここにも9500のサボついてる。2002年引退の車両なのに、17年後に新型車両のサボ付けるなんて想像付いたかな…。)
色んな事を考えながら安物コンデジで写真を撮ってく。一眼レフなんて高いモノは買えないので、これで我慢してる。腕が試されるよホント。
(コイツが5500系って言うのか…。んー。保存の仕方がちょっともったいないよなぁ…。)
少し左を向くとそこには5500系。これは1959年とかだったかな?当時、無料で乗れる列車としては珍しく冷房車っていう珍車というか、まあまあすごい車両だったんだけど、生首保存…。んー、もう少しなんかなかったのかなって思っちゃうところあるよね。
(てかここにも9500のサボ付いてんのか。60年も差があるのにすごいな。)
5500系にもありがとう5700系/5300系、9500系デビューのサボが付いてる。なかなかすごい組み合わせだよなこれも。
(おぉ…これがかの有名な8800系パノラマDX…!カッケぇなぁ!)
そこからもう少し左を向くと8800系パノラマDXのカットモデル。こっちはちゃんと展望席分はあるよ。てかここのヘッドマークにも9500系デビュー付いてんだね。これこそパノラマDXのヘッドマーク見たかったけどなぁ。
(…コイツも、120km/h対応できれば、一部特別車化改造して、1030系と同時期くらいまで本線走ったんかなぁ。)
名鉄は昔から奇妙な改造車を造ることが多いのでついついこういう妄想をしてしまう。8800系が一部特別車化した世界線、ちょっと見てみたかったなぁ。でもモ8800とサ8850が埋まってて、残り使えるのは8900と8950だから4形式は作れんよなぁ。とか変なことを考えながらさらに奥に行く。
(わぁ…。7000系パノラマカーだよ…。久しぶり、のはずなんだけどあんまり覚えてないんだよなぁ。)
舞木のさらに奥には名鉄が世界に誇っても良い名車、7000系パノラマカーがかなりの保存状態で豪華に2両も保存されている。モ7001側はあんまり馴染みがないかな。登場時のFenixエンブレムが付いた仕様。モ7002側はうっすらと見たことがある気がする。なにせコイツが引退したのはウチが3歳とかの時。お父さんが何度か、パノラマカー引退しちゃうからって見に行かせてくれた覚えがあるけど、ごめんなさいお父さん。貴方の娘はあんまりその時のことを覚えてません…。
(今回ホント気合入ってんなぁ。ここにも9500系か。)
パノラマカーの逆さ富士にも9500系デビューの系統板が掲出されてる。ホント気合入ってんなぁって思う。
(お。こっちを回ってくのか。)
保存車両の見学もそこそこに、本題の"ヤツ"を見に行く。工場の外周を回って…。
「うわー…!す、すげぇ…。」
思わず声が漏れて顔がニヤついてしまう。そこには夕日に照らされたモ9601。行き先は急行 名古屋。テールライトが点いてるけど…。
(カッケぇー…。生きててよかったぁ…!)
こんなカッコいい車輛が存在してていいんですか!?何度でも言いたくなるくらいにカッコいい。
(ここらで1枚…。)
保存車両もテキトーに撮ったけど、これはちょっと気合い入れて撮る。そのうち本線で見れるってわかっててもこの高揚感には勝てない。
(お。車内も見学できるのか。)
どうやら車内も見学できるっぽい。さっそく車内にお邪魔してみる。
(わぁ…。新車の匂い…。)
9501Fはまだ落成してから3か月。新車の匂いがすごいし、なんならモケットも3300系とは変わってる。ますます営業運転開始が楽しみすぎる。
(運転台は3300系と変わらんか。しかしカッコいいなぁ…!)
車内の見学もそこそこに、せっかくなのでク9501側も撮ってみる。
(眩しいくらいに明るくカッコいいヘッドライト…。これは激V間違いなしでしょ!?)
正直、ウチは名鉄の被写体でVなのは2200系と2000系だけだと思ってた。けどこれを見た瞬間、その考えが覆った。
(普通にカッコよすぎんか…!?名鉄通勤車でここまで心躍ってるのって多分生まれて初めてじゃないか?これはあと10年は楽しめるぞ…。)
楽しい時間は過ぎるのが早い。撮影時間はあっという間に過ぎ、再び5704Fで本宿に戻される。帰りの電車は…準急 一宮行きの3513F、ちょうどこの間更新されて出てきたやつだね。
(内装更新車ってこんな感じなんだなぁ。)
3500系も年々機器更新が進み、方向幕はフルカラーLEDに、内装も一部は替えられてるらしい。正直方向幕の方が好きなので、幕車は見かけたら撮っとかないとなぁ。
(…ふぅ。)
ロングシートの海側に座り、先ほどまで居た舞木検査場を車窓に見る。既にさっきまで見学してた9501Fは電源が落ちてた。
(これから楽しみが増えるぞ…!)
今後数年の楽しみを噛みしめながらウチは帰路についた。
2019/11/2 平野結奈




