10話「2000系2002F」
良いカメラ持ってるんだし、やっぱ色んなもの撮ってみないとね。
春。それはダイヤ改正も終わり、新ダイヤにもある程度慣れた頃の事だ。そういや言い忘れてたけど、ウチはこの春、高校2年生になった。俗にいう"SJK"ってやつだね。4月のとある土曜日。ウチは変わらずカメラを持ってぶらぶらと名鉄を乗りつぶしていた。
「ぶぇっくしょい!!ずず…。」
一応ウチも花粉症持ちなんよね…。でもマスク嫌いだから、マスクは着けないっていうね。よっぽど辛くなったら常備薬飲もうかな…。アレ眠くなるから嫌なんだけどな…。
(しかし良い晴れだ。こんな日はマジで撮り鉄するに限る。)
名古屋方面の準急で犬山線を上りながら外を見る。今日はいい天気。先週土浦までE531系撮りに行ったときは雨だったくせに…。赤電の15両撮影会っていうから行ってみたらまさかの雨。被写体は雨でもカッコいいんだけど、持ってった合羽は撥水性能が終わってて、帰りの電車に乗る頃には羽織っていった薄手のウインドブレーカーがびっしょり。あ、これ着てると風邪ひくなって思ったから、寒かったけど1枚脱いだよ。上は下着と柄物のシャツ2枚。しかも濡れてんの。んで、この日の帰りはもうどうしても座りたくてグリーン券買ったんだけど、帰りの電は送風効いてたんよね…。マージで寒かった。カタカタ震えながら帰ってたよ。と、先週の話はさておき、今週はそんなのとは程遠い。なんなら小春日和通り越して、初夏みたいな暖かさ。今日は撮るぞー!
名古屋に着いてから、今日はどこに行くかを考える。週末に一人でぶらぶらする分にはノープランで十分だ。
(そういえば地味に2000系って乗ったことないんだよな。幸い先週のために持ってた現金がまだある…。よし。)
2000系ミュースカイ。2200系、9500系の次に好きな名鉄車かな。中2の頃一瞬だけ"エヴァμ"なるアニメコラボの2000系が走ったし、好きな被写体だから撮ってはいるんだけど、乗るのは初めて。
(行き先…。そうか。コイツ、一応空港特急なんだよな…。)
2000系は2005年の中部国際空港開港に合わせて運用開始した名鉄の空港特急。成田で言うところのNEX・スカイライナー、関空で言うところのはるか・ラピートみたいなもんかな。
(せっかく空港特急なんだから…中部国際空港、行っちゃうか!)
名鉄名古屋のμチケット券売機で種別が"ミュースカイ"のμチケットを買う。ちょっとワクワクしてきた。昔エヴァμ含め2000系を撮るために豊田本町でエキセンしたことはあるけど、その時は外からあの速さを感じてた。でも今日は違う。名鉄の本気、2000系の最高速を車内から感じようじゃないか。
(お。名古屋始発なんだ。いいねぇ。カッコいい。)
名鉄名古屋の3番線で待つこと数十分。ここは待つ分にはいろんな車両が来るので退屈しない。ちょっとボーっと見てるだけで、30分は一瞬で過ぎる。やってきた2002Fに乗り込む。
(2200系と同じような感じだなぁ…。でも枕カバーが違うのか。ちゃんとμスカイって書いてあるわ。)
座席は同じ。そりゃそうか。2200系は車体構造毎2000系を流用してんだから。でも枕カバーが違うだけで結構雰囲気変わるんだね。
(んー。そうすると座り心地も一緒か。)
自分の座席に座り、座り心地を確かめる。まぁ、こんなもんだよな。2204F乗り回したときに、特別車も散々乗ったのでなんとなくわかる。同じなんだなって。
(さぁ。2200系との違いを見せてくれよ…!)
神宮前から本領発揮した2000系が中部国際空港に着くのには30分もかからない。マジで速かった。2200系にはない車体傾斜装置の挙動もよくわかったし、名鉄がここに"本気"を出してるのがよーくわかった。
(15年ぶりくらい…かな。)
ウチは小さい頃に一度、お父さんに連れられて中部国際空港駅には来ている。記憶があいまいなところも多いけど、ここで2000系や2200系見て喜んでたのは覚えてる。
(あの当時居なかった車両は居るし、時代は変わるなぁ。)
当時は居なかった9500系。相変わらずカッコいいなぁ…。2200系の次に惚れ惚れしちゃう。
(んー。今日は時間あるってか、無計画なんだよなぁ。)
左腕に付けた腕時計を見る。
(11:30前かぁ。今日はどっちかって言うと、ダラとか準急でのんびり行きたい気分だよな…。)
今から特急に乗って常滑駅に戻る。そこからダラを捕まえても良さそうだな。
(ショバ探すがてら、ダラ捕ますか。)
2000系を堪能したら、中部国際空港には興味がないので戻ることにした。こういう時に乗り放題切符は便利なんだよな。TOICAとか使ってるとこういう時は必ず一回改札を出ないといけないんだけど、乗り放題切符はそういうわけではない。改札内に居る時点で検札は終わってるので、このまま折り返しができちゃうのだ。
(フリー切符様々だぜ…。3400円はちょっと値が張るけども…。)
名鉄の一日乗り放題切符は3400円。ちょっとお高いんだよね。JR東海の青空フリーパスは2620円で豊橋から米原、中央線や関西本線、高山本線まで全部乗り放題になるので、それを考えると…。
(んー。やっぱ割高だよなぁ…。)
そんなことを考えながら待合室に入ってく。ここの待合室、座ってなんか飲みながら電車見れるから良いね。待合室の自販機でブラック缶コーヒーを買って、一番端っこの椅子に座る。
(普段飲まないけど、たまに飲むときはこれに限る…。)
ウチは普段、綾鷹か炭酸を好んで飲む。たまーにこういう時、コーヒーを飲むと決まってブラックを飲む。渋くて美味いんだよな。味の好みが渋いってのはよーく知ってるよ。前にクラスメートと回転寿司に行ったとき、アジとかしめ鯖とか青魚系ばっか食ってたらビックリされたもんな。アジは生姜醤油で食べると美味いし、しめ鯖はあの独特の臭みが美味い。逆にサーモンはあんま好きじゃないんだよな。イカかサーモン選べって言われたら、イカを選ぶくらいにはサーモンは食べようと思わない。焼き鮭は好きなんだけどねぇ。
(お。きたきた。)
どうでもいいこと考えてたら乗車電が来た。コーヒー飲み切って、缶を捨てたら常滑に向かおうかね。
常滑からダラを捕まえて、名古屋方面に戻ってる時、少し気になる駅を見つけた。
(ん。大野町か…。ちょっと降りてみよう。)
ダラの良いところはちょっと気になった、気になる駅に気軽に降りれるところ。特にショバになりそうって訳じゃないけど、一応急行停車駅になってる大野町、ここはどういう駅なのか?降りてみることにした。
(2面2線の対向式ホームか。んー、常滑方面は面縦撮れそうな構図だけど…光線ダメだな。)
駅に降りると撮れそうな構図が無いか探してしまう。これはもう本能みたいなもんかもなぁ。
(いいや。せっかく降りたし、街中歩いてみようかな。)
気が向いたら降りた駅の近辺、街中を歩くことも多い。今日は大野町駅周辺を歩いてみるか。
(エルザ…喫茶店か?)
駅前に喫茶店があった。んー。ノスタルジックな雰囲気だなぁ。
(お。公園がある。)
駅前の通りを南側に歩いていくと公園があった。そういえばさっき常滑駅のコンビニで飯買ってきたんだよな…。
(…。ここで食うか。)
ん?ここ公園ってか広場なのか。大して広くねぇけどな…。すぐそこにベンチっぽいのがあったのでリュックをおろしてさっき買ってきたサンドイッチを出す。
(手を汚さんでも済むのが良いんよな。)
乗り鉄もするときの昼はだいたい立ち食いそばか、コンビニのサンドイッチか菓子パンになる。今日はサンドイッチを買ってきた。なんでサンドイッチかって?ゴミが小さくなる。手を汚さなくても食える。ただそれだけ。
(ん。花壇だ。あれは…?何の花だ?)
サンドイッチを食べながら周りを見回すと花壇を見つけた。小さくて可愛らしい花が咲いてた。
「んーむ。」
サンドイッチを口の中に放り込み、カメラを片手に花壇に近づいてみる。
(なるほど…。良い被写体になりそうだな…。)
一眼レフを持ってそろそろ1年。あちこちで電車はたくさん撮ってきたが、それ以外の写真はあまり、というか全く撮っていない。せっかく一眼持ってるんだから、色々撮ってみるべきだよな…。
(んー。)
花なんて撮ったことないからどういう設定にしたらいいかよくわからん。勘でそれっぽく撮ってみる。
(どれどれ…。)
花壇の花をスナップ風に写真にしてみる。快急さんはiPhoneでエモいポートレート撮るんだよなぁ。あの人はいつもお金を理由に一眼買うの渋るけど、絶対に良い機材もったら化ける逸材だよなぁ。ウチなんてまだまだなのに。
(うーん。被写体にピントは合ってて、背景も上手くボケてて。まぁ素人にしては及第点か?)
ぶっちゃけ撮ったことない写真の評価なんてしようがない。でも、うまく撮れたような気はする。電車撮ってるうちに腕が磨かれてきたのかな?よくわからんけど。
(さて、食い終わったらショバ探しの旅に戻ろうかねぇ。)
図らずも電車以外の写真を撮った。今後も機会があれば挑戦してみようかな。
結局この後は豊田本町で撮って、そのままダラでのんびり帰ってきた。
(豊田本町で撮ったの何年ぶりだ?機材違うのもそうだけど、だいぶ腕を上げた気がする。)
スマホに入ってた中学時代に撮ったエヴァμと、今日撮った2000系を比べる。当時の写真はコンデジかつ、あまり撮り鉄をバリバリやってなかった時代のだから、はっきり言ってゴミ写真なんだけど、今日撮ったのはこれに比べたらかなり進化してると思う。1年でこうも成長するもんなんだなぁ。今度暇があったら、地元でも花のポートレートやってみようかな。快急さんがスナップとかポートレートにハマる理由がなんとなくわかった。せっかく一眼持ってるならいろんなモン撮らないとね…!そう思った高2の春だった。
2023/4/22 平野結奈




