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ガルム君の7日目(動乱)③
◇ ◇ ◇
あたしの頭に置かれた手の温もり。
初めてあたしの頭に置かれたその手を払いのける。
「戻る事はでき――」
「分かってる、僕の覚悟を疑うなよ」
笑顔を見せる少年を見て杖を握る力が強くなる。
分かってない。
何を失うのかも、何を背負うのかも。
「なら決まりだ、あたしはそれに向けて動く、
教えることを教えたら、あたしは王国に向かう、その間この村は頼んだぞ?」
「戻ってくるんだよな?」
「当り前だ、もうすでにあたしたちは共犯みたいなものだ、一緒に地獄へ行こう」
ガルムに向けて手を差し出す。
迷うことなく伸びる手を見てあたしの手が下がり、止める。
握られた手を見て、自分の弱い感情に見切りをつける。
「外に行くんじゃないの?さっさと行ってきなさい」
目を見開き驚くガルムから手を離す。
「よく分かったね?体鍛えに行ってくる!」
「ええ」
外へ駆け出し部屋の中は静寂で満たされる。
ずっと止まっていたあたしの静寂がようやく動き出す、
嬉しい…はずだ…。
この先は、動乱になる。
止まっていた時が、動き出す。
「ガルム…お前に守りたい者が増えた時、
お前は世の不条理に殺されることになる」
◇ ◇ ◇




