ガルム君の7日目(動乱)②
「で?用件は本当にそれだけなの?」
睡眠を邪魔したアストレアを睨むが当の本人はいつも通り過ぎてムカつく。
「お仕置きをしようと思ってね」
「え?本当にそれだけなの?!」
僕の声に応えず部屋を出ていく。
この怒りは何処に持っていけばいいんだ、
「目が覚めちまったな」
僕はそのまま外に出るために1階へ向かう。
明かりがついてるからアストレアは起きて本でも読んでるのだろう。
てかあいつ…
案の定本を読んでいたアストレアを見つけ足を止める。
「また寝ると思ったけど起きて来たのね」
本から目を離して僕を見る瞳をまっすぐに見つめる。
「なぁ、僕この家から出ていこうか?」
僕の発言が予想外だったのか目を僅かに上げ首を傾げる。
「自分のしてきた事への反省かしら?」
首を振りそれを否定して少し考える。
ランタンの弱い光が目に反射して感情が揺れてるようにも見えた。
「怒らないから言ってみなさい」
なんか母親みたいな事言われてるなと内心笑う。
「僕が同じ家にいるから警戒して眠ってないんじゃないか?」
「そう言う事ね、元々睡眠が浅いのよ、ガルムがどうこうって話じゃない」
「本当に?」
本を閉じ、僕の目の前にまでやってくる少女を見下ろす。
アストレアの右手が僕の顔にゆっくりと近づき反射的に目を閉じる。
おでこ付近に暖かく柔らかい感触に目を開ける。
「何してんの?」
おでこに触れた手を見る、
アストレアは何も言わない。
ただ、じっと見てくる。
嫌じゃないけどなんなんだ?
アストレアの視線が一瞬外れ、すぐ戻る。
「ガルム」
「ん?」
「あなたは優しい……優しすぎるのよ」
「は?何を今更――」
僕が笑いかけようとするがアストレアの顔を見て表情が固まる。
先ほど僕がしていた”心配”と”悲痛”の表情をアストレアがしていたから。
「え?」
その表情に驚き声が出る。
その表情は下を向きまた顔を合わせる時にはいつもの表情に戻っていた。
「昨日の朝あたしが言ったこと覚えてる?」
「覚えてるよ、王国を滅ぼそうって話だろ?」
「あれね――」
「決めたよ」
「え?」
アストレアの目が揺れる。
ほんの一瞬、言葉を失ったように。
それを見て僕もアストレアの頭に手を置く。
「やろうぜ。王国を滅ぼすっていう――お前の願いをさ」
「なんで」
「直感…かな?」




