自分の証明
1行ずつ改行したほうが見やすいのかなっと悩み中
他の作者さんはそれが多めなんですよね~
ご意見募集!
僕は、なんで一人なんだろう。
なんで親がいないんだろう。
何も分からない。
寂しいとか悲しいとか、そういう感情すらよく分からない。
そんなことを感じる暇もなく、無理やり働かされ続けてきた人生だった。
ゼルムおじさんの話してくれる外の世界は楽しくて、わくわくした。
想像するだけで胸が躍った。
だけどそれは、どこか非現実的なものだった。
外に出られるなんて、この先一生起こらないことだと思っていた。
坑道での生活は辛く苦しい。
戻りたいとは思わない。
それでも考えてしまう。
僕はこの先、どうすればいいのか。
考えないように、考えないようにと思うたびに、頭の中を色々なことが駆け巡る。
隣を見ると、フリージアが安心しきった寝顔を見せていた。
僕はこの子を故郷へ帰すと約束した。
その使命があるからこそ、今の僕は心を保てているとも言える。
それが終わったら――
そこから先は、何もない。
僕はゆっくり立ち上がり、音を立てないようにテントを出た。
外はまだ暗い。
空にはたくさんの星が煌めいている。
それを綺麗だと思えるほどの余裕は、今の僕にはなかった。
広場の中央では焚火が燃え続けていて、その横で金色の髪が風に揺れていた。
レオだ。
テントは隙間なく張られていて、焚火の横を通らなければ外には出られない。
誰にも見られたくなかった。
でも、僕は何も言わずにレオの横を通り過ぎる。
「おい、どこに行くつもりだ?」
「トイレ」
適当な理由で誤魔化そうとしたのに、なぜかレオは立ち上がって僕の後ろについてきた。
「なに?そんな趣味はないんだけど。ひとりでできる」
「お前に意地悪しようと思ってな」
にやにや笑いながらついてくるレオを、僕は無視することにした。
ここで反論して騒ぎになったら、皆の迷惑になるだけだ。
ザッ、ザッ、と草を踏む音が二人分、小さく耳に届く。
一人になりたかったのに、余計なものがついてきた。
そう思いながら歩いていると、やがて切り立った崖へ辿り着いた。
僕は静かに、膝を抱えるように芝生の上へ腰を下ろす。
レオも近くにあった腰の高さほどの岩に腰掛けた。
「崖に突き落としたりしねぇから安心しろよ」
「そう言われると、逆に落とされそうだからやめて」
しばらく静寂が場を包む。
「お前はこれからどうするんだ?」
びくりと肩が震えた。
「話は聞いてるんじゃないの? フリージアをおじさんと一緒に故郷へ帰しに行くって」
後ろからため息が聞こえた。
「そうじゃねぇ。それが終わった後の話をしてんだ」
まるで僕の心を読んでいるみたいに、悩んでいることをそのまま聞いてくる。
「僕は皆に嫌われてるもんね?」
自嘲するように笑う。
「そういうのに敏感なんだよ。レオも僕のこと嫌いだもんね?」
言葉がどんどん軽くなる。
軽くしないと、潰れそうだった。
「レオが決めていいよ? 僕がどうするか。まぁ多少は世話になったしね。レオに僕の人生を決めさせてあげるよ!」
答えの出ていない僕は、ごまかすように大袈裟にうそぶき、笑顔でレオを振り返った。
だけど、そこにあったのは笑えない顔だった。
怒っているような、悲しんでいるような、そんな表情。
その顔を見続けることができず、僕は視線を地面へ落とした。
「それはただの逃げだろうが!!」
静かなのに、強い。
その言葉は衝撃となって僕を打った。
半分は冗談だった。
でももう半分は、本気でそれでもいいと思っていたからだ。
目が動揺で揺れる。
「奴隷としてしか生き方を知らねぇってのは、俺も、皆も知ってる!」
レオの声が続く。
「だからって、お前は一生奴隷なのか?違うだろ!?」
胸が詰まる。
「お頭がいつも言ってたよ。あいつを自由にしてやりてぇなって」
地面に水滴が落ちた。
涙だと気づくのに少し時間がかかった。
「その思いを、お前は裏切ろうとしてるんだぞ!?」
レオには全部分かっていた。
僕の弱さも、甘えも、逃げも。
そして今、レオの口から聞かされるゼルムおじさんの思い。
もちろんそれは僕だけに向けたものじゃない。
レオや他の盗賊たちも含まれているんだろう。
それでも、その中に僕もいた。
そのことが何より嬉しくて――
同時に、自分の行き先を他人に決めさせようとした自分が、ひどく惨めだった。
「ぼ、僕は……」
後ろでレオが立ち上がる気配がした。
「俺に何かを言う必要なんてねぇ。お頭にもな」
レオの声は、もうさっきまでの強さとは違っていた。
「それはお前自身が、てめぇに語り続けるもんだろ」
レオの足音が遠ざかっていく。
けれど、ふいにそれが止まった。
何かを言うか迷うような、そんな短い静寂。
そして――
「……ガルム」
低い声。
「お前がエルフの嬢ちゃんを送り届けた後、俺たちはここの隠れ家にはいない」
心臓が嫌な音を立てる。
「嬢ちゃんを届けた後は、お頭が……お前をどうするか決める」
達者でな。
そんな言葉を最後に、レオの足音は本当に遠ざかっていった。
僕は一人、その場でうずくまる。
いろんな感情が胸の中を駆け巡る。
悲しいのか、怖いのか、悔しいのか、自分でも分からない。
ただ涙だけが止まらなかった。
しばらくの間、僕はそこで泣き続けた。
最後のレオの言葉が持つ、本当の意味を――
僕はまだ知らないままで。
セリフには。を付けなくていいと他の方の作品を見て気づく(笑)
まだまだ知らないことだらけで勉強になりますね~。




