頼りない困った弟子達
「へぇー、これがあの遺跡で見つけた〈アーティファクト〉ですか」
リリルはマロン達が持ってきた機械人形の頭を眺めていた。
「なるほど、これは見たことがありませんね」
少しだけ感心しているリリル。フィーネはそんなリリルを見てちょっとだけ複雑な気持ちだった。
「頑張ってはいるみたいですね。しかし、これだけではランクアップは期待できませんね」
「あ、あの」
「なんでしょうか?」
「先ほどから言っているランクって、一体?」
「ああ、そうですね。えーと、まずは私達の仕事について説明しましょう」
フィーネの疑問に、リリルは優しく説明する。
リリル達ががやっている仕事に関してだ。
「私達の仕事。これは簡単に説明すると、かつて繁栄したラフランカ帝国の機器や技術を発見し、発掘するというものです。いわゆる探検家みたいなことをしています。悪い言い方をすると墓場泥棒でしょうね」
「探検家、ですか?」
「ええ、そうです。まあ、この仕事は人々に尊敬と蔑み、その他もろもろの意味を込められてこんな呼び名もあります。それは〈トレジャーハンター〉というものです」
トレジャーハンター。それは遺跡を呼ばれる廃墟に潜り込み、人々に役立つ代物を掘り出してくる人達の総称だ。
多くの人達はトレジャーハンターのことを好意的に見ている。だが、考古学者といった歴史に関わる者達からは、あまりいい顔をされない。
他にも、遺跡を大切に守る原住民からも敵視されている。
「トレジャーハンターの中には、素行が悪い輩もいます。もちろん、細心の注意は払っていますがそれでも失敗もあります。ですが、私達には私達なりの信念を持っています」
「ハァ……」
「っと、話がずれてしまいましたね。本筋に戻りましょう」
リリルはそう笑って誤魔化して、あるものを取り出した。それは一枚の写真つきカードだ。
そこにはリリルの名前と生年月日、不思議な星のマークが四つ記されていた。
「これがトレジャーハンターのライセンスです。ボックス協会という組織がありまして、そこから発行されている代物です。ランクは星の数で決まり、最大五つまでという規定です。つまり最大値に近ければ近いほど、実績があり経験が豊かなトレジャーハンターという証になります」
「へぇー、じゃあリリルさんって、とってもすごい人なんですね」
「たいしたことありません。ちょっとしたトラブルがなければ、星五つになっているかもしれませんが」
疲れたように息を吐き、頬に手を添えるリリル。その言葉と仕草を見たフィーネは、誤魔化すように笑った。
「まあ、ランクはちょっとした発見ですぐに二つ星にはなるものですが――」
リリルはどこか遠い目をしていた。
なぜかわからないが、フィーネはそんなリリルを大きな見て苦労を感じ取ってしまう。
「マロン達は、未だに星一つのままなんですよ。全く、困った弟子です」
どう声をかければいいかわからない。言葉に困ってしまうフィーネは、もう一度誤魔化すように笑う。
しかし、そんなフィーネの両手をリリルは握った。
「それよりもフィーネさん! あなたはラフランカの人間なんですか!?」
「え?」
「だって、遺跡の中にあった変な箱の中で眠っていたのでしょ? もしそれが本当なら、マロン達のランクアップはとんでもないことになります!」
「え、えー?」
妙な期待をされているフィーネ。何をどう答えればいいのかわからない。
「さあ、白状してください!」
「あ、あの、その……」
「さあ、さあさあさあ!」
目を輝かせてフィーネの言葉を待つリリル。それにどうしよう、とフィーネは困った。
そんな時だった。大きな爆音とともにマロン達が入ってきたのは。
「おわっ」
「ギャー!」
入口をぶっ壊し、悲鳴を上げるマロン達。二人の傍にはたくさんの小さな虫が飛んでおり、懸命に追い払っている様子だった。
「何をしているんですか? あなた達は……」
いいところで邪魔が入ってしまった。さらに面倒臭いトラブルも持ち込んでくる。
リリルは頭を抱えながら、マロン達の元へと向かっていった。
「ふぅー」
しかし、フィーネはどこか安心していた。助かったとも感じていた。
なぜならフィーネは、目覚める前のことをあまり覚えていなかったのだから。
リリルの悩みの種は消えない。
マロン達はちゃんと独り立ちできるだろうか?




