3/3
Ira
紅。
全てがただ、紅。
私は悪い夢を見た。
私が殺され、私を大切にしてくれた人が狂って行く夢を。
禁忌に手を染め、神に逆らう夢を。
呪わしい夢だ。
私は血生臭い石畳から身を剥がす。
誰もいない。誰も。誰も。
ただ私という存在と、一つの最悪の予感だけを胸に、私は外に出た。
どこにも誰もいない。
そこは異界のようだった。
予感は確信へと至り、私の心を苛む。
ただ、血の匂いだけが鼻を突く。
「もう、会えないんだね…xxx」
叫びも涙も夜闇に吸い込まれて行く。
月だけが、美しく輝いている。




