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Ira

紅。

全てがただ、紅。


私は悪い夢を見た。

私が殺され、私を大切にしてくれた人が狂って行く夢を。

禁忌に手を染め、神に逆らう夢を。



呪わしい夢だ。

私は血生臭い石畳から身を剥がす。


誰もいない。誰も。誰も。

ただ私という存在と、一つの最悪の予感だけを胸に、私は外に出た。


どこにも誰もいない。

そこは異界のようだった。

予感は確信へと至り、私の心を苛む。


ただ、血の匂いだけが鼻を突く。


「もう、会えないんだね…xxx」

叫びも涙も夜闇に吸い込まれて行く。



月だけが、美しく輝いている。

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