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君の知らない僕のダークサイド〜救ってくれるもの  作者: 水波瀬 凪
第一章 〜救ってくれるもの【出会い編】

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【優芽】オーシャンビューよりもサンセットよりもたこ焼き食べたかった

「海がきれいだね」


と、つい先日つきあい始めた彼氏、拓海(たくみ)さんが言った。


目の前に広がるオーシャンビューっていうらしいけど、風がぴゅーぴゅー吹いてんだよ、


おーしゃんぴゅーだ!


でも海はまあまあきれい。


「そうですね」


話を合わせたけど、それよりお腹すいたって思ってた。


「もう少ししたら綺麗なサンセットが見えるんだよ」


サンセット待ち?


って思うと、さらにお腹がすいてくる。


拓海さんは婚活市場でいうところの、ハイスペイケメンエリートらしい。


わたしはイケメン好きだ。


脳内にはオリジナルのイケメン図鑑を持っている。


拓海さんの顔も整ってるから、その図鑑にいれてある。



でも話が全然面白くなかった。



拓海さんは、わたしが働いてるカフェの常連さん。


「あなたの笑顔をずっと近くでみていたい」


って告白されたのでつきあってみた。


すべてが演出みたいで、気持ち悪いくらい完璧なエスコート。


なんか、いい子にしてなきゃダメみたい。


わたしの知らない言葉つかうし、


「え、なんですって?」


いちいち聞かないとわからないし、たこ焼きとかでもいいのに、そんなのは拓海さんセレクトには絶対入ってない。


はっきり言って


「合わない」


と思った。


つきあってから拓海さんは、店の定休日以外、毎日ランチタイムにくるようになった。


そしてだんだん


「ちょっと笑顔ふりまきすぎじゃないか」


とか、ほかの常連さんと話してるだけで、話し過ぎだよとかいちいち言うようになっていった。


自分のいきつけの美容室を勝手に予約し、


「おまかせで」


って担当のひとに言ってるし、それまで一度も染めたことのない髪をミルクティー色にされたり、レイヤーをいれたらいいよって。


「いいね、すごくきれいだ」


その仕上がりに満足したのか、自分のセンスに酔ってんのか?


と思うようなセリフ言ってたけど、でもまあ、鏡の中のわたしは確かにあか抜けたような、きれいな姿になっていた。


美容室おすすめの高級シャンプーや、高級ヘアアイロンを買ってくれたけど、はっきり言って、うまく巻けないし余計にぐしゃぐしゃになった。



でもシャンプーはいいにおいで気に入った。


自分じゃ2度と買えない値段だった。


アイロンは面倒なので、ひとつにまとめてポニーテールにしてるけど、毛先にレイヤーが入ってるからか、わりとふわふわに見えて悪くなかった。



そんなある日、高校のときお世話になってた祖父母の家。


バスルームをリフォームしたいから、話を聞きにきてくれっておばあちゃんに頼まれた。


店が休みの水曜日、わたしは話を聞きに行くんだけど、地元で懇意にしてる工務店のあととり、小学校のときの同級生が来てた。


ハイスペと言えば、この人もハイスペなんじゃないかな?


作業着、わりとかっこいい。


イケメン図鑑にいれておこっと心の中でつぶやいた。


その同級生にバスルームの壁がタイルなのでって説明を受けてるとき


「あ、これ…」


一部分、タイルが欠けてるところがあるんだよね。


高校1年の夏休み、お兄ちゃんとその親友の遥希先輩が泊りにきたとき、バスルームでふざけて壊したんだ。


懐かしいなって思った。


うちの親、再婚だからお兄ちゃんはいきなりできた。


ひとつ年上のお兄ちゃんは、わたしを遥希先輩、あ、呼び慣れてるから、はるくんって言うんだけど、そのはるくんに紹介してくれた。


「俺の妹、手出すなよ」


って。


思春期真っただ中の多感な時期。


良く3人でちょっと悪いことしてたっけ。


ふざけて缶チューハイ飲んで、はるくんにチューってした。


「缶チューハイでチューだって!!」


めちゃふざけて笑ったっけ。


お兄ちゃんに手を出すなよって止められてたはるくんに、わたしのほうから手を出した。



あのとき、はるくん、ほかの女の子に告白されて、なんか悔しかったんだ。


わたしのはるくんなのに、ほかの子のものになる前にって、手をつけた。


ていうより、唇くっつけただけなんだけどさ


あのあと結局はるくんは女の子とつきあわなかった。


その場面をお兄ちゃんも見てたから、


「優芽がいいなら、遥希つきあえば?」


って言ってくれて、確かに両想い成立していたのに、その後はるくんとは離れ離れになってしまった。


「はるくん元気かな」


会いたいなって思った。



はるくんはわたしのイケメン図鑑第一号だった。


はるくんがいまも一番上に保存されてて、はるくんを上回る好きはまだいない。


歌がめちゃうまくって、キセキとか粉雪とかでも上手に歌ってくれてた。


カッコよかったなぁ…


拓海さんは正統派イケメン。


100人いれば100人イケメンですねってきっと言う。


はるくんは、ふとした表情とか、横顔とか、瞬間的雰囲気イケメンなんだ。


笑ったときにちらって見える歯とか、マイク持ってた指先とか、髪型もかっこよかったし、あとはね


「嘘がつけない目」


隠し事できないっていうか、隠せてないところ。


すっごく良かった。


いまどうなってるんだろ、昔と変わってるかな?


考えてたら本気で会いたくなった。


お兄ちゃんに言えば会えるかもしれない。


わたしは早速うちに帰ると、兄に連絡をとってみた。


読んでくださりありがとうございます

次の更新は夜22時を目標にしてます。


よろしくお願いします

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