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朝の支度をしながら私の頭には何度も昨日の情景が思い出され顔が熱くなるのを繰り返していた。シルヴィア達の世界を寝室のドレッサーを介して雄真と覗き見て、来週の約束の確認をしていると向こうの世界を映し出していた鏡は突然普通の鏡に戻ってしまった。鏡から漏れていた光が収まり急に暗さを増す寝室で慌てて明かりを点けようとしたら床に置かれた仕事カバンにつまづいた。転びそうになったところを、咄嗟に雄真が支えてくれて怪我はしなかったが、体制を持ち直しても雄真の手は離れなくて、、。
心臓が耳の中にあるんじゃないかってくらい煩くてどうしていいか分からなくなっていたら、シルヴィアの世界の女神・朔が現れて雄真を追い出したのだった。鏡の力を鎮めに来たようだが、あのまま朔が来てなかったらと思うと再び心臓が煩くなる。
『一月前、トラックが突っ込み園児の川村晴翔ちゃんが犠牲になったこちらの保育園は、事故で破損したところの修繕を終え今日から園児の登園を再開します。先程から園児が保護者に連れられ続々と登園を開始しました。その多くが花を片手に持ち、設置された献花台に手向けていく様子が確認できます』
立て掛けられたタブレットからそんな音声が聞こえてきた。幼い命が失われた痛ましいニュースの続報は流石にそれまでの私の熱も下げていった。罰則も厳しくなって久しいというのに、今だに無くならない飲酒運転による事故。身勝手な行いにいつも憤りを覚える。
飲酒運転をした者に憤っていると現場中継から全国の天気予報へと画面が切り替わった。部屋にテレビを設置していないためいつもタブレットで二十四時間ニュースを配信している動画サイトを朝は流している。天気予報の日本地図上には最近では雪マークも出るようになっていて、この辺の初雪ももう間も無くだろうかと考える。そう思うと来週の外出が少し不安になって来た。山道を走る予定だが雄真の車はタイヤ交換がちゃんと済んでいるのか。
念の為確認してみるかとスマホを手に取ると新着のメッセージが届いていた。送信元はまさに雄真で返信で確認出来て丁度いいと思いながらメッセージを表示させる。
『おはよう。昨日はどうも。ところで今夜仕事帰りにうちの店に寄れないか?』
私の顔は再び赤みを取り戻す。昨日の今日で会う約束なんてどういうつもりなのか。




