62 私って天才!
今日から3日間購入者全員プレゼントの日だ。
1週間が早すぎる気がする。
先週同様に2000イエン毎に商品のプレゼントとマウスウォッシュかパックのプレゼントもする。
2000イエン毎のプレゼントは、生理用品15個、ベビー用おむつ15個、除菌ウェットティッシュ、携帯トイレ、ボディウエットタオル3本と前回と同じ物にプラスして、以前景品に入れていたハンドタオルと新しく無限シリーズでゲットした爪磨きセットとヘアゴム3本とヘアゴム1mの3種類を追加する事にした。
ハンドタオルは全然売れ行きが良くないので宣伝の為に再び追加だ。
新しく追加する3つの商品は新商品として販売もする。
どれも300イエンでの販売だ。
この新商品は美容系の棚に置き、他の美容商品と一緒に宣伝&説明をして販売しようと思う。
担当はソフィアさんとフローラさんが良いかな。
準備や配置を決めていざオープンだ。
今日も大盛況で外も並んでいる。ありがたい。
オープンし、少し経つと何やら入口で揉めているような声が聞こえる。
何だろう? と確認をしに行くと、綺麗なドレスの様なワンピースを着ている14,5才ぐらいの若い女性が入口担当のマイケル君と揉めていた。
「いらっしゃいませ。何かございましたか?」
「昨日販売をしたという噂のジュエリーを私自ら買いに来てあげたわ! さっさと案内しなさい」
じゅ、ジュエリー?
…はっ! まさかキラキラブレスレットの事か!?
「昨日販売したブレスレット、腕輪の事でしょうか? 既に売り切れてしまったので、現在在庫がありません。次回販売は早くて月曜日となる予定です」
「何を言っているのか分からないわ。買ってあげるって言っているのよ? 準備しなさい」
「ですから、在庫が無いので売ることは出来ないって言っているんです」
「?? 無いなら作れば良いでしょう。早くしなさい」
「で、ですから、作って販売するので早くて月曜日となります」
「? 今作れば良いでしょう? 急ぎなさい」
…え、ええええええーーー!
ヤバい人が来た!
これはまさか、日本に居た頃に漫画で読んだことのある貴族が無理言ってくるみたいな展開か!?
ま、まじかよ!
なんかちょっと感動なんだけど!
「ちょっと! 聞いているの!?」
…そんな事を考えている場合じゃなかった。
「材料だけならありますが、見ての通り混んでいて忙しいので作る時間がありません。材料だけで良ければお売りしますよ」
「なぜ私が自分で作らないといけないのよ!」
「自分で作るのも楽しいと思いますよ? 作るのが嫌なら月曜日以降買いにいらしてください」
文句を言いつつ少し悩まれたが結局買う事にした様だ。
「ではこの入場列に並んでお待ち下さい」
もちろんぎゃーぎゃーとなんで私が並ばないといけないのかとか言われたが、並ばないなら売らないと伝え、なんとか並んでもらい販売する事となった。
ビーズは1袋3000イエンで販売する事にし、店に置くことにした。
貴族かなんだかは知らないがうちは特別扱いをするつもりはない。
嫌なら買わなければいい話だ。
そのワガママ娘おっと、綺麗なワンピースを着たお客様はピンクとオレンジの2つを購入し、購入者全員プレゼントはタオルハンカチを3つと、パックを選びルンルンで帰っていった。
平和なお店でのプチハプニングを乗り越え、忙しいながらも通常通りの仕事に戻る。
今日はソフィアさんとフローラさんにはハンドクリームやパックを含めた美容系の説明を主にしてもらっているが、既に販売している化粧水や乳液などもしっかり説明してくれているようで、それらの売れ行きは未だかつてないほど好調だ。
新商品のヘアゴムも思っていたよりも売れている。
使っている感想も含め話しているので説得力があるのだろう。
美容系は全部同じ棚にまとめてあるので、これは何、これはどんな感じ? の質問に対してスムーズにご案内出来ている様に見える。
今後も2人には化粧品関係をお願いしたいと思う。
エリーズショップの美容部員みたいな感じだな。
なんとなくで割り振っていたが、みんなが得意なジャンルがあるかもしれないし、見極めたり個別面談とかしても良いかもしれない。
私は得意なジャンル…無いかも…。
店長としていろいろやるしか無いかな。
「エリナさん、またさっきの方がいらして、エリナさんを呼んでいるんですけど…」
「え! あのビーズのブレスレットの子だよね…?」
「そうです。対応をお願い出来ますか?」
なんだろう?
さっき帰ってから3時間ぐらい経って、また来たみたいだ。
はあー。重い腰を上げ対応しに外へ。
「お待たせしました。何かありましたか?」
「見て! これ私が作ったのよ! 素晴らしいでしょう?」
腕に着けたブレスレットを嬉々として見せられる。
え?
まさか、見せる為に来たのか?
「わ、わあー! キレイに出来ていますネー!」
「そうでしょう? すぐに作れた私って天才! と思って、素晴らしい作品を見せてあげようと思いわざわざ来たのよ!」
まじかよ! 本当に見せる為に来たのかよ!
と、とりあえず…
「わあー! 天才ですネー! 凄くお似合いですヨー!」
「そうでしょう。貴方も素敵な作品を見られて良かったわね。それじゃあ私は忙しいので帰るわ。また来るわね!」
いやいやいや、つっこみ多すぎて…それにまた来るのか?
面倒だが、日々のスパイス? になるかもしれない。
最早1周回って面白いみたいな感じ?
ブレスレットを見せびらかして、自分を褒めに褒めて帰っていくのを唖然としながら眺める。




