鼠大隊(仮称)
本日二度目の更新になりました。
注意:鼠が苦手な人は注意して下さい。
~78~
その頃、再興されたロシア帝国では……旧露連邦軍の残党及び抵抗運動を根絶すべく、宇宙人側の各方面部隊は――最後の掃討作戦に取り掛かっていた。
そんなロシア帝国内の沿海地方の某所……。
宇宙人達のある偵察部隊が遊撃隊の秘密基地を発見した。
「あれが沿海地方で最後に残った遊撃隊か……」
「情報によれば、あそこの女性部隊は最後の一兵になっても戦う気らしいぞ!」
偵察部隊から報告を受けたある旅団の司令部では……。
「――という訳で少数部隊で奇襲しても割に合うか……」と参謀が旅団長に発言。
これに旅団長は「大丈夫!」と自信満々に返して――
「今こそ超々多民族国家の自国の力を見せる時だ!」と発言!
そして旅団のある大隊に、敵の秘密基地を襲撃するように命令が下った!
その大隊は、地球でいう鼠が、そのまま大きくなったような宇宙人達で構成された部隊であった。その平均身長――約百七十糎。
ちなみに彼らの大隊長は語尾に「ちゅー」と発言する部族の出身。
そして数時間後、敵の秘密基地を襲撃するべき絶好のタイミングで――
「降伏するっちゅーっ!」と大隊長の勧告と共に、大隊が秘密基地を急襲!
そんな襲撃された秘密基地の一室は、女性部隊の居住区らしく――
「ぎゃああああっ、巨大鼠!」と彼女達のほぼ全員が恐慌状態に陥った!
最早、この時の彼女達の頭には抗戦や降伏を考える余裕がなかった。
~79~
「へっ、ビビりやがって……」
「所詮はお嬢さん達だな……」
「俺達がやあああってやるぜーっ!」
恐慌状態に陥った秘密基地の区画に、援軍としてやって来た遊撃隊の男子諸君。指揮官も一緒のようだが……。
「待てっ、鼠とは戦えない……。降伏するんだ……」
「――!!」
指揮官の思いもよらない命令に、驚愕する遊撃隊の全員。
どうやら指揮官は鼠愛好家のようだ……。
こんな指揮官に女性部隊の全員が一丸となって蜂起!
「この塵屑野郎がああああっ!!」とある女性兵士の罵倒と共に、指揮官を急襲!
指揮官は「ぐぼぇっ!! ぎゃああああっ!!」と悲鳴を上げながらボコボコにされた……。
こうして戦闘能力を喪失した遊撃隊は、宇宙人達の降伏勧告に従って降伏。
宇宙人達は遊撃隊の全員が降伏したことに驚いた。
先の鼠の大隊に戦意を吹き飛ばされた女性部隊はともかく、全男性も降伏していたのだ。
これに不思議に思った将校が「何でお前達まで……」と彼らに尋ねた。
そして遊撃隊のある幹部が自身らの総意として――
「今までの戦いの日々が馬鹿らしくなっちゃって……」と述べてみせた……。
~80~
ウラジオストクに在る収容所。
そこは沿海地方中の、宇宙人やロシア帝国に対する「反乱分子」と認定された人々が囚われている施設。降伏した遊撃隊等はそこの檻の中へ……。
そんな施設のある檻では「何で男女混合なのよ!」という女性の声が響く。
声の主は先程の鼠大隊によって降伏に追い込まれた遊撃隊の女性兵士A。
先の言葉通り、彼女がいる檻の中には数人の男性達と女性達が一緒に放り込まれている。
そんな彼女に向かって、その一室を担当する将校は――
「こっちだって少ない収容スペースやりくりしてんだよ! 贅沢言うな!」と一蹴。
しかし彼女は「ふざけるな! 何かあったらどうすんだ!」と猛抗議!
これに乗じて彼女の女性戦友達全員も「そうだ! そうだ!」と猛抗議!
すると将校からは「確かに心配だな……」と独り言のように返した。
ちなみにこの時の彼女の男性戦友達全員は檻の中の一隅に無言で固まっている。
「だったら、別にしろよ!」と抗議を続ける彼女。
しかし「俺が心配してるのはね……」と言い始めた将校は次の一言で締めくくった。
「何かが起こるほど――自分が魅力的だ! と思ってる……お前らの頭の中!」
彼女達が魅力的かどうかは、皆様のご想像にお任せする。
次回予定:鼠の恐怖は終わらない……!?




