某ドラマとオランダ
五月スランプから復帰したい……。疲れているだけか、精神が……!?
~70~
突然だが、再興直後の大日本帝国で放送されたテレビドラマの一シーンを紹介しよう。
ちなみにそのシーンは“大日本帝国放送協会”によって初放送された。
「ナンデ、アノ時(宇宙人達の地球侵攻時)、日本戦ハナカッタノ!?」とアメリカから日本へ嫁いできた女性が、日本人男性の夫に責めるように訊くと――
「仕方ないじゃろ。日本はあの時の憲法で戦争を放棄しとったんじゃ。
おかしいと思うかもしれんけど、あの時の日本には“軍隊”さえいなかったんじゃ」
「ナンデ、戦エルヨウニ憲法改正シヨウトシナカッタノ!?」と先と同じように彼女が夫に問うと、彼は「これは儂の推測じゃが……」と前置きした上で――
「戦えるようになったら、また空襲されたり、原爆を落とされると思ったかもしれん。
それで日本は改憲に慎重になったんじゃろう……」
女性は「アメリカノセイカヨ……!?」と絶望するだけであった……。
~71~
再興直後の大日本帝国で放送された某テレビドラマのもう一シーンを紹介しよう。
ちなみにその話の題名は――「Why Japanese People!?」
「ソモソモ!! 何デ、ソンナ戦エナイ憲法ニシタノ!?」とアメリカから日本へ嫁いできた女性が、日本人男性の夫に責めるように訊くと――
「GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が認めたからじゃ」
「ソモソモ!! 何デ “サムライ”イナイノ!?」という彼女の問いには――
「これは儂の極端な見解じゃが……。黒船が来たからじゃろなぁ……」
女性は「全部、アメリカノセイカヨ……!?」と絶望するだけであった……。
~72~
観光する自由時間さえ与えられず、オランダへ飛ぶ腹切くん一行。
オランダ到着後、抵抗運動の最後の残党が爆弾を投げつけ、一部民衆が卵等を投げつけて一矢報いようとするが、返り討ちにされて失敗。
ある者は腹切くんの手によって直接抹殺されたり、別の者は宇宙人達によって抹殺。
最悪の者は、一族(無関係者や若い女性を除く)と共に、魂と命、さらに存在した記録まで抹消された。墓を消されるのは当然。本人が記録されているあらゆる媒体も加工された。
これらの抵抗が決定的となったのか……。禅譲の話が来たら一度はそれを断るはずの腹切くんも、オランダに関しては最初に話が来た時点で引き受けた。
そして禅譲当日はオランダ海軍の海軍元帥の礼装で、禅譲に望んだのであった……。
ちなみに万歳くんも同国の海軍元帥の礼装で、オランダの摂政に就任した。
~72~
その頃、ドイツのとある宇宙人達の司令部で一人のドイツ兵が取り調べを受けていた。
その取り調べを担当しているのは総督の副官の一人であるギーガー大佐で――
「実に劇的な経歴だ。我が軍の攻撃によって崩壊状態に陥った旧連邦軍(ドイツ軍)の隙を突いて、堂々と陸軍の『大尉』と経歴詐称!
そして一兵卒でありながら敗残兵達を統率し、架空の軍事部隊や機関をでっち上げる。
結果――有罪の者達とは言え、二百を超える同胞達の虐殺を指揮!
これでは現代に蘇った――“ヴィリー・ヘロルト”と言われても反論は出来ないな……。
何か反論があれば聞く耳はあるよ。ヴィルヘルム・ハーロルト兵長」と相手に話しかける。
「……」
一方、話しかけられた相手は沈黙を保ち続けている……。
「本題に入ろう。我々は日本語の通訳を必要としている。君は話せるんだろ?」
「ハイ……。少シハ……」と戸惑いながらもギーガーに答えるハーロルト。
「どうだね。大尉とは言わない。本物の『少佐』として生きてみたいか?」
このギーガーの質問に「へっ……!?」と揺らぐハーロルト。もう陥落の一歩手前。
「もう君の祖国はないんだ。今、我が軍の将校になっても売国奴の誹りは受けんよ!」というギーガーの言でハーロルトは陥落。翌日より宇宙人達の“少佐”に!
ちなみに、このような勧誘は地球各地で行われている……。
次回予告:以下、腹切くんのスケジュール。
一度ドイツに戻って皇帝のお仕事!
それからポーランドにも行くらしい……。




