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本殿から繋がる神域の境内ではない、人間が境内と呼ぶ場所は結構広い。祭りの旗を立てる石の台に隠れていたのだが頭にいつきが降り立った。
「わーかさーま見っけ!」
しまった!いつきとはちやが鬼の時は上から探される事を考えに入れておくべきだった。
「そろそろ暗くなってきたので終わりにしません?」
祭りの終わった夕暮れ、さっきまでここに溢れていた人達は下の公民館で宴会中だ。あかねがいるので今年は宴会に混じる事は禁止され、延々とかくれんぼを続けていたのだが、確かに薄暗くなってきたしこれから真っ暗になるのにそうかからないだろう。
「そうじゃな、戻るか」
神社の木に他の者の場所を尋ね、全員を見つけたのちそろって本殿をくぐった。
「では、我らはこれで」
「長く付き合わせて悪かったね」
父の労いの言葉に頭を下げて散って行く神使達。祭りも終わりで瞬く間だった。祖父も封じられている山へと戻り、いつもと変わらないはずなのにいやに寂しく感じられた。
一緒に見送った母の裾をぎゅうと掴むと頭を撫でられた。
「またすぐに会えますよ」
「うん」
そうだ、近いうちに出雲へ行くんだもの、とても賑やかで楽しいはずだ。少し嬉しくなってきた。
「あのな、去年さく叔母様から頂いた種が芽吹いたから、今年は坊が種を渡そうと思うんじゃ。どんな種が良いか母様も一緒に考えてくださらんか?」
「なら、明日は共に山を歩きましょうか」
「うん!」
「おや、父は除け者か?この山を一等詳しいというのに」
母とのやりとりを見ていた父が口を挟んできた。しかし、父には頼めないのだ。
「父様が関わったと知ったらさく叔母様の機嫌が悪くなるからダメじゃ。それに明日は善博達と祭り後の打ち合わせでお忙しいのじゃろ?」
母の妹のさく叔母は父にだけ何故かあたりがきつい。坊達には優しいのに不思議な事だ。
従兄弟達に会えるのも楽しみだ、また昔語りを聞かせてもらおう。
目付役はおそらくいつきだからこっそり抜け出して外を見に行けるかもしれない。
未だ訪れない先の事を思い坊の胸は高鳴った。




