エピローグ
「シャルル、ご苦労だったな」
ゴリラがゴブリン討伐の労をねぎらう。
「しかしこのカード…ギガンテスではないか……よく倒せたものだ。実はお前、俺より強いのではないか?」
がはは、と豪快に笑うゴリラ。
あはは、と軽快に笑うシャルル。
どうして差がついたのか、慢心、環境の違い
「エルンストとルーザーは、お前が神官騎士団の副団長になるのが嫌で邪魔をしていたらしい。自分達の座を脅かされたくなかったのだと……あの二人の事は高く評価していたのだがな。」
俺は妹だからと、特別扱いをするつもりはなかったんだがな、と付け加え、やれやれ、と首を振るゴリアテ。
異世界から人を呼び出すような実力派召喚師だ。普通に実力で蹴落とされる事を危惧したのだろう。
「さて、ご苦労であったな。戻ってよく休むがいい」
そういって俺たちの前から去るゴリアテは
本当に世話になった
小声でそう付け加えると、にっこり笑ってシャルルは答える。
「はいっ!」
ーー数日後ーー
ここはもう使われなくなった古びた礼拝堂、入れ替わりのため今使われている教会から離れているシャルル(本物)が潜んでいる場所である。
合図である鐘を二回鳴らし、しばらく経つと、白いフードを被った人物があらわれた。
目深く被ったフードをとるとそこにはシャルルと同じ顔があった。
シャルルは軽くシャルルにお辞儀をし、沙良さん、お疲れ様でした。と伝える。
上品な物腰である。シャルルの「演技」とは少々印象が違うかもしれない。
そうだ。
俺を持っている方、こっちのシャルルは鷲宮 沙良、日本人なんだ。
もうシャルル(本物)の任務は終わったから沙良は日本に戻るんだな……
俺、どうなっちゃうんだろ。
本物のシャルルは戦いとかしないらしいし、そうなるとゴリラの物になるのだろうか?それとも売り飛ばされる?
……どっちも嫌だ
「本当にありがとうございました。沙良さんのお陰で私も神官騎士として、兄の力になる事が出来ます」
うやうやしく頭を下げるシャルルに、お礼なんて……と言いながら手をぱたぱたさせながる沙良。
「なんでも一つ、沙良さんの欲しい物を差し上げる約束でしたね。何でもおっしゃって下さい」
いろんな魔具を用意したのですよ、といい、シャルルは大量のガラクタにしか見えない物体をどさどさと取り出す。
「一週間全く眠らなくても平気でいられる薬、飲むとどんな傷も瞬く間に塞がり、どんな疲労も吹き飛ぶ丸薬、あぁ一瞬にしてどんな場所にでもワープ出来る靴もあります!原理は……」
嬉々としてガラクタについて語るその目には軽く狂気を孕んでいる。
そういえば、そういう演技をしていたね。
見事に原作通りと感心するがどこもおかしくない
一緒に過ごしたのは少しだけど、沙良はきっといい役者になる。
これらの道具に頼ればそれはより確実だ。
「ありがとうございます、シャルルさん。では私は……」
―― 三週間後
鷲宮沙良は日本に戻り、役者になる為の修行を続けることになった。
別れの際、泣きながらぶんぶんと手をぶんぶんと振ってくれたことが、今も網膜に焼き付いている。
網膜ないけど
そして現在の俺はというと……
ぶん!ぶん!
風切音を唸らせるゴリラの剣=俺
ばさり、と藁で出来た練習用の案山子が真っ二つになる。
「ぬぅ……お主本気を出さぬか。あの時見せた力はこの程度ではなかったぞ」
「馬鹿言うな、あれはめちゃくちゃ疲れるんだぞ。こんな練習で使えるか!」
「しかし常に全力を出しておかねば、いざというときに力を発揮できぬぞ」
「練習で力を使い果たしていざというときに力を発揮できぬ可能性もある」
俺の見事な反論を がはは、と笑い飛ばすゴリラ
ちくしょう、これだから単細胞は
「それに、きちんとお主の手入れをしておかねば沙良殿に申し訳がたたぬだろう?」
ざぁ……と風が吹き、香水の匂いが香る
御清堂 俺でも知ってる、日本の有名な香水メーカーのものだ。
白いマントに白銀の軽鎧、眉上で揃えた前髪を揺らしながら燦然とした面持ちで
『彼女』はあらわれた。
「お久しぶりです。ゴリアテさん、高雄さん」
鷲宮沙良
彼女があの時手にしたものは『俺』であった。
この短い冒険で一番頼りになったから……そう俺を握りしめながら答えた彼女に
俺はこう言わざるを得なかった。
「いや、日本は銃刀法違反の法律があるから、俺を持って帰っても没収されちゃうよ」
照れ隠しでな。言わせんな恥ずかしい
そうして沙良は、生活の合間、時間を作って会いに来てくれたのである。
「ゴリアテさん、ありがとうございました!」
「なぁに、いいって事さ、事情を知ってるのは俺だけだしな!」
がはは、と笑い俺を沙良に返す
「今度はどれくらいいられるんだ?」
「一週間くらいです!夏休みになりましたので!」
もうあっちは夏なのか、この体になって暑さも寒さも感じない。
ただ時だけが過ぎてゆく。
きっとこのまま朽ちてゆくのだろう。
「今回はアルデバランの神殿まで足を延ばしましょう!」
「いきなり大丈夫か?久しぶりだし近くで慣らした方がいいかもしれないぞ」
「道中で慣らしながら行きましょう、出来るだけ一緒にいたいですし!」
俺と沙良は何もかもが違いすぎる
きっとすぐに一緒にいられなくなるだろう。
「……そうだな」
出来るだけ一緒にいたい
その思いは俺も同じだ。
だから力を振り絞り、今回の冒険も存分に楽しもうじゃないか!
「しゅっぱ~つ!!」
沙良の元気のよい声が草原に響いた
とりあえず完結ということで、読んでくれた方ありがとうございました。
まともに小説を完成させたのは初めてですが、勉強になりました。
また書かせていただくことがあれば、よろしくお願いします
謙虚なサークル




