ゴブリンは敵に入りますか?⑤
暗闇の中、焚き火のパチパチという音で目を覚ます。
炎の周り数メートル以外は完全なる黒
都会暮らしには全く縁のない光景だ
夜の森とはこんなに暗いものなのか
「はっ!?」
わざとらしく声を上げ、目覚める(アピールをする)
別にこんな事をする必要はない。
ただ不安に押しつぶされそうなシャルルに、かける言葉が思いつかなかったのだ
「高雄さん!生きていたんですか!?」
いや、この状態を生きてると表現していいのかはわかりませんが
「まぁなんともない。あの攻撃を出した後、意識を失っていたみたいだ。心配をかけてすまない」
さっきの強力な斬撃
シャルルを守りたいという俺の想いが起こしたのだろうか。
人の意志を喰らう魔剣だったか…俺の想いを喰らいあの斬撃を繰り出したのかもしれない。
「いえ、無事でよかった…!」
目に涙をためながら笑顔で微笑む
天使か
「そ、それよりこの状態は?」
「私も気絶しちゃって…目が覚めた時は日が暮れかけてたから火を起こして野宿することにしたんです」
小学生の頃キャンプの準備でやりましたから。と付け加える
最近の小学生はキャンプで野宿までやるのか。ゆとり教育に警鐘を鳴らした結果がこれだよ!
「高雄さんのおかげで助かりました!ありがとうございます!」
「シャルルが勇気を出して俺を振るってくれたからだ。俺一人じゃ動くことさえ出来ないよ」
またまたご謙遜を…みたいな顔をするが、謙遜でもなんでもないから困る。
「そうだ、焚き火の準備をしてる時に拾ったんですが…」
それはゴブリンが落としたカード。裏には遊○王カードの様な模様、表にはさっきのゴブリンの絵とアラビア文字の様な奇怪な文字でテキストが入っていた。
「これ…なんて書いてあるかわかります?」
読めない
そう答えるのは簡単だ
だがたった一行、ゴブリンの絵と共に刻まれている文書など決まっている
「ゴブリン、そう書いてあるみたいだね」
「わ、すごいです!流石高雄さん!」
それほどでもない
本当にな
「それで下に書いてあるのは…?」
うっ…
これまた遊○王よろしく、たらたらと長い文章が刻まれている。パワーやタフネスはないようだ。その位なら読めたのに…くそ
「わ、悪いけどあまり難しい文書は読めないんだ。」
「そうでしたか」
ゴブリンすらも推測なんだけどな
というかこの後いちいち聞かれても答えられないんだから最初から読めないと言っておくべきだった。まぁいいや
「恐らく討伐の証だろう。持って帰れということだよ、多分」
「なるほど…」
話している最中、シャルルは緊張と疲労のせいか、時折ウトウトしてはビクッとしている。
「疲れてるだろう?俺が見張ってるから寝んだらどう?」
「いえ…あの…」
恥かしがるシャルルを見てすぐ気づく
馬鹿か俺は、現代っ子があんな恐ろしい目にあった直後、安心して眠りにつけるはずがない
しかもたった一人なのだ。泣き出してもおかしくはないハズ
「す…すみませんっ!」
「いや俺こそ無神経だっ…」
いい終わる前に、固い岩に立てかけられた俺は柔らかい感触に包まれる。
俺の身体はシャルルの頬に、肩に、胸に、脚に押しつけられていた。
だからわかる。
ぎゅうっと俺を抱きしめるシャルルの身体がカタカタと震えていることに。
「すみません…不安で…怖くて…っ!」
「今にも後ろからさっきみたいなのが襲ってくるんじゃないかと思うとおかしくなってしまいそうなんです…!」
「お願いします。少しの間だけ、こうさせてください…」
震えるシャルルは俺を抱きかかえ、その震えら少しずつ薄くなり、いつしか静かに寝息をたて始める。
すやすやと安心しきった寝顔
無防備すぎる
いくらなんでも男を抱いて眠るなんて危なっかしすぎる
いや、剣ですけど
守りたい、その寝顔
「くそっ今度はこっちが寝れねぇよ…」




