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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女と邪神?

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ハクの新しい必殺技

 身体の大半を失ったフチムニナが急上昇していく。それを追うようにして、私も急上昇していく。フチムニナが雲の中に入ったのと同時に、私の身体を夜が包み込んできた。


「お母さん?」


 そのまま引っ張られる感覚を受けて、最終的にニュクスさんの腕の中にすっぽりと収まっていた。


「見て……」


 ニュクスさんを見上げていたら、空を見るように促される。空を見るとフチムニナが、空にある雲をどんどん吸収して大きくなっていた。その速度はかなり早い。あのままだと、フチムニナの中に突っ込んでいた可能性がある。ニュクスさんが止めてくれて助かったかもしれない。


「あのままだと、この星を覆っちゃうんじゃ……」

「ふむ。それをさせなければ良いのじゃな」


 いつの間にか隣にいたアマテラスさんが空に手を翳す。すると、フチムニナが吸収していない雲が一気に消え去っていった。さすがは太陽神。雲の存在を消すのはお手の物だった。


「ありがとうございます」

「うむ。じゃが、身体を大きくなってしまったようじゃな。何か策はあるのかのう?」

「さっきと同じく全属性複合の攻撃を当てて身体を削るしか……後は……雲だから……乾燥?」

「ふむ。なら、妾はこのまま照らし続けるとするかのう」

「お願いします。お母さんは、アスタロト達と下への影響を最小限に抑えて下さい」

「分かったわ……」


 ここからまた空間を歪める一撃を放つ。その時に起きる衝撃をアスタロト達に打ち消して貰っていたけど、アスタロト達も大分消耗していた。だから、ニュクスさんにもお願いしておく。

 再び赫夜刀に全属性を集約していく。そこにニュクスさんとアマテラスさんも力を注いでくれる。

 フチムニナの身体は既に最初の倍はある。それだけ巨大になっているという事は、それだけ地上への影響も大きくなっている可能性がある。ワンスアポンの住人が心配だ。

 フチムニナは、自分の身体から雨を降り注がせる。その雨に嫌な予感がした。


「攻撃です! アマテラスさん!」

「うむ!」


 アマテラスさんが光り輝き、降り注ぐ雨が蒸発する。あの攻撃はフチムニナの身体やその一部という判定ではないみたいなので、私の支配を受ける。雨を受け止めて、それを蒸発させる。

 私とアマテラスさんの処理で、攻撃となる雨は地上に落ちる事はない。でも、雨は常に降り注いで来る。このままだと私達が攻撃に移る事が出来ない。なら、やるべき事は一つだけだ。


「【召喚・フラム】【召喚・レイン】」


 二人を召喚して、雨の対処を頼む。


「二人とも、あの雨を止めて」

『蒸発させれば良いんだな』

『分かった』


 二人にはアマテラスさんの傍に居て貰う。アマテラスさんの傍が一番安全な場所だからだ。

 これで私が自由に動ける。ここで初めて【大アルカナ】を発動する。私が引いたアルカナカードは太陽の正位置。効果は、攻撃力の大幅上昇と攻撃に太陽の力を付与するというもの。この状況には打って付けのバフだ。

 問題はあのフチムニナの下から移動しないといけない事だ。レインが雨を防いでくれているとはいえ、結構な範囲に広がっている。


「大きく迂回……いや、突っ切ろう」

「危険だと思うがのう。レインの力でも限度があるじゃろう」

「隙間を縫います。多少のダメージは覚悟の上で行きます。最短で倒す事が一番ですから」

「ふむ。仕方ないのう」


 アマテラスさんはそう言って、私の背中を押す。すると、私の背中から温かく心地良い力が全身に広がっていく。


「妾の力を込めたのじゃ。少しの水なら蒸発出来るじゃろう。ハクの力も合わせて、これなら問題ないじゃろう」

「ありがとうございます」


 準備は整った私は、一気に上昇してフチムニナを目指す。レインが道を広げてくれるのである程度は安全に飛べる。でも、さすがに出始めに近づけば、レインも追いつけない。

 私も雨を操作しながら、道を作り、それでも追いつけない雨に関しては、アマテラスさんの力と私の力で瞬時に蒸発させる。私に近づけば近づく程温度が高くなるので、本当にギリギリの蒸発になる。

 少しでも攻撃が緩めば、もっと一気に近づける。そう思った時、フチムニナの身体に唐突に穴が空いた。いや、空いたのではなく、私以外の攻撃を避けたみたい。その攻撃はフチムニナの上から放たれる光線だった。その攻撃の主は、私も知っている存在だった。


「ノマド。ありがとう」


 基本的に傍観するノマドが協力してくれた。その事に感謝して、私は雨が消えた場所を通り、フチムニナに接近する。ノマドが光線を注ぎ続ける事で、フチムニナの形は戻らない。

 それにノマドの属性攻撃なら、私は当たってもダメージにはならない。フチムニナに一気に近づき、赫夜刀を振るう。空間が歪み、フチムニナが吸い込まれる。私はその歪みを維持しつつ、再び全属性を赫夜刀に集める。【大アルカナ】の効果で太陽の力が付与されているので、その力も合わせた形になる。

 フチムニナは再び身体を切り離して生き延びようとするので、その方角の空間を割る。フチムニナには、大したダメージにならないものだけど、パッと見て空間の歪みにも思える。システムだけの存在なら、通用しないだろうけど、高度なAIを積んでいるこのゲームならではの反応で、一瞬の躊躇いが生じる。

 その躊躇いの間に逃げた方向に移動した私は、再び全属性を複合させた一撃を放つ。空間の歪みは最初の一撃よりも小さい。でも、歪みは歪みを呼び寄せて、巨大な歪みとなる。


『クイアアアアアアアアアアアアア!!』


 ここで初めてフチムニナの悲鳴が聞こえる。黒板を引っ掻く音を強く更に高音にしたような劈く声だ。


『貴様……貴様ごときにぃ……!!』


 フチムニナの初めての言葉は、それだけで終わった。空間の歪みによって、フチムニナの存在はどこかの彼方に消え去ったからだ。


『ユニーククエスト『遙か尊き白の彼方』を開始します』


 純色の白のクエストが開始した。力を吸収する事は出来なかったけど、クエストは始まったから良いかな。地上への被害は、皆が全力で防いでくれている。

 そして、ここからが一苦労の時間。歪んだ空間を綺麗に整えていく。ちょっと大きくし過ぎたから、自然に元に戻らない気がするし、色々と影響が強くなりそうだから、私が誘導して綺麗にしないといけない。私がやったことだし、これは仕方ない。頑張ろう。

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