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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女は救いの手を差し伸べる

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リリィルーナの帰還

 リリィルーナを連れて、地上へと戻る。私をニュクスさんが、リリィルーナをアマテラスさんが抱き抱えて、大気圏を突入する。

 私はともかくリリィルーナが熱に耐性があるか分からないので、この形になっている。

 そうして落ちているとノマドが私達を受け止めた。


「ミズチ……」


 リリィルーナがノマドを見て驚いたような表情をしていた。


『本当にリリィルーナを連れてくるとはな』

「リリィルーナが私の事を信じてくれたからね。でも、ノマドはどうしてここに?」

『落ちてくるのが分かったからな。汝の領域まで運んでやろうと思っただけだ』

「そっか。ありがとう」


 私と会話をした後、リリィルーナとノマドが会話を始める。ノマドがリリィルーナに絞って念話をしているからか、私には聞こえない。でも、リリィルーナがお礼と謝罪の言葉を言っていたから、宇宙に上げてくれたお礼とかを伝えているのだと思う。

 二人の会話が終わったところで、私はノマドに確認したいことがあったので、話し掛けた。


「ねぇ、ノマド。リリィルーナがいた城に邪神とかって現れなかった?」

『邪神……先程宇宙で争っていたものか。確かに似たような気配を感じる事はあったかもしれんが、姿までは目撃していない』

「そっか」


 姿は目撃していないとしても気配はあったという事は、やっぱりリリィルーナを襲った惨劇の原因が邪神にある可能性がある。

 てっきり、神になっている私限定のイベントかと思っていたけど、実際のところはこの星でのイベントに深く関係しているような気がする。


『む……』

「どうしたの?」


 ノマドが何かに気付いたみたい。私はラートリーさんの祝福で空から見下ろす。

 すると、ほとんど何もなくなっている城の跡のような場所に黒い靄が渦巻いていた。


「邪神……じゃない。あれの気配はない。何あれ……?」

「お父様……」


 リリィルーナが身体を抱くようにしながら呟く。リリィルーナには、まだ父親への恐怖心がある。だから、ひとまず落ち着かせるために抱き寄せた。


「ノマド。あれって、本当に皇帝?」

『分からん。だが、悪意が籠もった何かが渦巻いている。恐らくは残留思念か』

「残留思念……なら、今の内に消し飛ばそう。お母さんとアマテラスさんは、リリィルーナの護衛をお願いします」

「何を……するの……?」


 ニュクスさんは、じっと私を見て訊く。私がこれ以上無茶をしないようにという事だと思う。


「【反転熱線】であの場所を消し飛ばすだけです。本格的に幽霊として出て来るのなら、【万能吸収】で吸収します。最悪の場合は、アストライアーさんの祝福を使えば、善悪の判決で消す事も出来ると思いますし、危険な事はないと思います」

「…………分かったわ……危ないと……思ったなら……戻りなさい……」

「はい!」


 ニュクスさんとアマテラスさんに頭を撫でられて送り出される。リリィルーナは、ニュクスさんにしっかりと預けた。これで安心して対処出来る。【反転熱線】のチャージを始めながら、【熾天使翼】を広げてノマドから降りる。


『こちらは更に高く上がる。遠慮無しにやると良い』

「ありがとう!!」


 ノマドも乗っている皆の安全を考えて、もう少し高く行ってくれるらしい。なので遠慮なくフルチャージで【反転熱線】を放つ。【反転熱線】は、黒い靄に衝突する前に弾かれている。なので、【反転熱線】を集束させて、威力を一点集中させていく。少しだけ押し込む事が出来ているけど、やっぱり靄を突破出来ない。

 皇帝の姿も出てこない。そこに私は血液兵を送り込む。血液兵の中で光と闇を融合させていく。ここで祝福を利用して安定化させれば、アイテムを手に入れる事が出来るけど、敢えて不安定なままにして反転物質を生み出す。

 そうして靄の中で爆発を引き起こして靄を消し去ろうとしたけど、靄が消滅する事がないどころか、靄にかき消されていた。

 その後に次々に祝福の技を撃ち込んでいったけど、靄が消えるという事はなかった。


「爆発でも消し去れないのは予想外だなぁ……」


 私の遠距離攻撃手段ではどうしようもない事が分かったので、上空に上がっていき、ノマドの元に戻ろうとすると、唐突に身体に力が付与させれてノマドの元まで高速移動させられた。


「おぉ……」


 犯人はある程度分かっているので、抵抗せずにいると、ニュクスさんが優しく受け止めてくれる。そのままニュクスさんに抱っこされる形になった。


「あの靄は何をしても破壊出来ないっぽいです。一応、シヴァさんの破壊の祝福でも無理でしたし、反転物質でも無理でした」

「そう……」


 ニュクスさんはそう言って、私の頭を撫でると夜を凝縮した砲撃を靄に向かって放った。神様の攻撃であるそれすらも靄には通用しなかった。イベント発生までは無敵状態みたい。


「ふむ。これではどうしようもないのう」

「ひとまず放置しか出来なさそうですね。ノマド、あれに何かがあったら、私達のところに来て教えてくれる?」

『了承した』


 こればかりは人間同士の醜い争いとかではないから、ノマドもある程度介入してくれるみたい。いや、このくらいの情報共有なら介入にも入らない感じかな。


「リリィルーナは大丈夫?」


 恐らく皇帝の残留思念であるあれを見てリリィルーナは大丈夫かと思ったので、確認しておいた。


「うん。守ってくれるでしょ?」

「勿論。取り敢えず、様子見でいきます。私達の領域に影響が及ぶようなら、どうにかするという事にしましょう。ここは開拓領域からもかなり離れた場所にありますから」


 マップを確認すると、あの靄のある場所と私達の開拓領域は、何百キロも離れている。いや、下手すると千キロ以上あるかもしれない。

 恐らくはリリィルーナを攻略したもしくは十の存在の攻略数が一定数に達した結果生じたものだと思う。だから、このまま十の存在のクエストを攻略していけば、あの靄の正体も分かると思う。

 皇帝の残留思念で確定となったら、このダウンロードコンテンツのラスボスになるのかな。

 それまでは、何もしようがないので、リリィルーナを開拓領域に迎えて、開拓や探索を進める事にする。ひとまずは急ぎでやる事もなくなったし、前と同じ通りに開拓をしながら、血液兵を使った探索をする感じになるかな。

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