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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
吸血少女は救いの手を差し伸べる

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星外生命体の終点

 ミズチの体内の中にどんどんと血液兵を送り込んで、星外生命体達を倒していく。種類が多い上にその数もかなり多い。


「どれだけ体内に飼ってたんだろう?」


 多すぎて、これを気にならないなんて、嘘だろうと思ってしまう。私がミズチだったらムカムカしてしかたないと思うし。


「特に支障がないから放っておいたと言ってもぉ、限度があるわよねぇ。実際何も問題がないとなればそうなるのかしらねぇ」

「常在菌とかみたいなものなのかな。というか、そもそもミズチは何を食べて生きていたんだろう?」

「ずっと空を飛んでいたという事はぁ、何も食べないで生きていけるだけの力があるという事よねぇ」

「あるいは、本来食べ物は要らないとかね」

「口と消化器官があるのにぃ?」

「食べる事で栄養を取る手段もあるって事。基本は光合成みたいな感じで光を浴びる事が食事と同等のエネルギーを得られる条件とかなんじゃないかな」

『その通りだ』


 唐突にミズチの声が頭に響いてきた。どうやら身体の中での会話を聞いていたみたいだ。ここでの会話が出来るのなら、星外生命体を退治しながらミズチに関する情報を得られるかもしれない。


「だから、空から降りてこなかったの?」

『必要性がない。所詮、我はこの星の部外者だ。この星の中で起こった事に干渉する資格はないだろう。リリィルーナは、この星の外に救いを求めた。であれば、我が手を出すのも問題ないだろう』


 ここら辺は、ある程度情報と考察通りかな。内部のゴタゴタには触れないが、そこから抜け出したいと思うのなら手を貸すという感じらしい。それによって中のゴタゴタに対する影響はあまりないからかな。敵対戦力への亡命とかだったら、話は変わってくるかもしれないけど、今のリリィルーナは、第三者の立場になっているからその限りではない。


「中にいる寄生生物は、ミズチの星から来たの?」

『近いが異なる。こやつらのいた星では、我のような巨大な生物が跋扈している星だった。そこで生き残るには、他の生物に寄生するしかなかったという訳だ。我が、その星に立ち寄った際に内部に巣食われた。内部には、この寄生生物達の母体とも呼べる存在がいる。最後はそいつを倒して貰う。母体であり終着点でもある』


 多分、最後の星外生命体オメガの事かな。アルファから始まってオメガが最後になる。普通母体ならアルファではと思ってしまうけど、ミズチの話を聞く限り、他の星外生命体達の最終進化が母体となる事らしいから、終着点でオメガという事なのだと思う。


「分かった。それよりミズチの身体は大丈夫? 大分派手に戦っている事もあると思うんだけど」

『問題ない。さして使っていないものだ。傷付いたとしても大きな障害にはならない。次に使う事には治っているだろう』

「そういうもの?」

『汝らとは身体の造りが異なる。汝らの常識で語る事は出来ないだろう』

「なるほどね」


 私達が寄生虫にやられた後に、普通に生活出来るようになっているのと同じような感覚なのかな。それにしては規模が大きすぎる気がするけど、私達の常識では計り知れない事と言われてしまえば納得せざるを得ない。


「取り敢えず、その母体を探すね」

『頼んだ』


 最後の星外生命体オメガを探して、血液兵達を総動員させていく。


「この巨体だと内蔵も長いわねぇ」

「尻尾の長さがどのくらいかによるけど、見た通りの長さではないだろうね。吸収のための小腸はうねうねしてるから」

「私達がいるのはぁ?」

「胃。まぁ、血液兵達がやってくれるから、私達はここに待機で良いよ。ここでの戦闘もあって、血液兵達が大きく成長してるから問題ないと思うし」


 私は【感覚共有】で血液兵達の視界を切り替えていきながら星外生命体オメガを探していく。アスタロトが抱っこしてくれているから、私も安心して視界を切り替える事が出来る。


「う~ん……あっ、いた」


 腸の奥の方に百足のような身体をした星外生命体オメガがいた。腸壁に螺旋状となって張り付いている。奥に詰まっている感じだから分かりにくかったけど、こちらに気付いて向かって来ると、その長さがよく分かった。


「めっちゃ長……何十メートルもありそう。殻に覆われているのは変わらないけど、これくらいなら大丈夫そうかな」


 オメガの強さがどのくらいか分からないけど、数百体はいる血液兵達を一斉に掛からせたらオメガもひとたまりもなかった。何体か持っていかれたけど、どんどんとHPを減らしていき、そのままポリゴンとなって消えた。手に入れたスキルは、全部私が持っているものだから、あまり意味はなかったかな。


「これで終わりかな。アスタロト、口の方に戻って」

「はぁい」


 アスタロトに抱えられたまま、ミズチの口に戻っていく。その間にも残党が残っていないかを血液兵達の視界から確認していく。多分、全部倒したと思うけど、確証がないから、血液兵達は残しておく。どうせ、形をなくせばただの血になるだけだし。私の血だから猛毒だろうけど。

 そうしてミズチの口から外に出る。アスタロトの飛行スピードでミズチと並走出来るか心配だったけど、急に身体が別の力で支えられたのを感じた。


「何があったの?」


 視界を共有している関係で目を閉じている私は、アスタロトに現状を聞く。アスタロトから焦りは感じないから、そこまで心配する必要はないと思うけど。


「変な力が私達を覆っているわぁ」

『我が支えている。この方が会話をしやすいだろう』

「ありがとう」


 この力でリリィルーナも支えてあげたのだなと分かる。私達がちゃんと約束を守ったから、ミズチも私達を信用してくれるようになったという事だと思う。

 取り敢えず、私も目を開けた方が良いと判断して、【感覚共有】を切った。私はアスタロトに抱かれた状態で、ミズチの横を並走している形になっている。でも、私達が飛んでいるわけじゃなくて、身体を結界みたいなもので包まれているような形だった。


『汝らの誠意は分かった。リリィルーナへの想いも本当の事なのだろう。彼女を穢す事をしないと誓えるな?』

「うん。無理強いはしない。でも、全力で誘いはするよ。あの子の居場所を作ってあげられると思うから」

『理解した。では、一つ汝らの願いを叶えよう』

「え? いや、リリィルーナの元に行くのを許可してくれるだけで良いんだけど」

『彼女を救う事は、我の願いでもある。汝個人の願いを叶えよう』

「そんな力があるの?」

『持てる限りの力を尽くしてな』


 急にそう言われても、特に願いがない。基本的に自分の奇跡で叶えられるものが多いだろうし、そもそも神様達がいるから大抵の事は達成出来る。その中で、私がミズチに頼みたい事と言われても困ってしまう。


「う~ん……う~ん……じゃあ、友達になって」

『ん?』


 ミズチは理解出来なかったのか、困惑したような声を出していた。


「私とリリィルーナの友達になって。それが私の願い」

「主人らしいわねぇ」


 アスタロトはそう言いながら私の頭を撫でてくる。

 ミズチの方は相変わらず困惑している感じがする。


『ふむ……取り敢えずは理解した。良いだろう。たった今より我と汝、我とリリィルーナを友と認める。自己紹介がまだだったな。我はノマドと言う。汝の言うようなミズチという呼び方でも構わない』

「あっ、そうなの? まぁ、そうだよね。ミズチって呼び方はこの星の人達が付けた名前だから。そっか。じゃあ、これからノマドって呼ぶね。よろしく」

『うむ』


 この返事を受けたのと同時に目の前にウィンドウが出て来る。


『ユニーククエスト『天よ 河よ 願いを乗せて泳げ』をクリアしました。報酬として百億Gと白銀天河の魂片を獲得』

『白銀天河の魂片を吸収し、スキル【白銀天河との繋がり】を獲得』


────────────────────


【白銀天河との繋がり】:白銀天河のミズチと魂で繋がる。白銀天河のミズチの居場所を認識しやすくなり、プレイヤーに対してモンスターの表示が出なくなる。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 どうやらメイリーンと同じような状態になったらしい。メイリーンは開拓領域にいるから安心だけどノマドは、ここを泳ぎ続けるだろうから、ちょっと心配ではある。まぁ、こんな場所まで来られるプレイヤーは少ないだろうけど。


「それじゃあ、私達は行くね。また来るね」

『うむ』


 ノマドが私達を放す。同時にアスタロトが落下するので、私も同じく落下していく事になった。そのまま地上に帰る予定なので、これで問題ない。

 ノマドに手を振りながら、私は地上へと帰還する。これで三体目の十の存在を攻略した。コンテンツを独占している状態になっているのは申し訳ないけど、リリィルーナも私が攻略して何とか倒さずに迎え入れる。

 これは私の中での決定事項みたいなものだった。

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