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吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ  作者: 月輪林檎
東方の守護者の吸血少女

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ドロシーさんの研究室

 階段を降りていて、一つ気付いた事があった。


「そういえば、ドロシーさんの時間制限は大丈夫ですか?」


 【降霊術】の時間制限がそろそろ来るのではと思ったのだ。


『ん? ああ、【降霊術】のね。大丈夫よ。一度波長を合わせてくれたら、後はこっちからでも波長を合せられるから』

「えぇ……ドロシーさんって何者……?」

『魔法を極めようとしていた愚かな人間よ。ああ、一応神には至ったか』

『其奴は、本当の天才だ。貴様の力になるだろうな。我の祝福も授けた程だ』

『……そうなんですね。オーディンさんが認めたって事は、本当の天才なんですね』

『貴様の常識には当てはまらない人物だ。他の者が貴様を見る時と同じ気持ちを味わっておけ』


 そう言って、オーディンさんの念話が切れた。オーディンさんがここまで言う程の人物という事で、ドロシーさんから得られるものは大きそう。まぁ、魔法という点がどうかなって感じちゃうけど。

 そうして着いた研究室は、理科室のような実験器具が置かれた場所だった。


『ここは魔法薬の研究室ね。あまり適当に触れないようにしなさい。下手すると爆発するわよ』

「ああ、なるほど」

『あら、驚かないのね』

「恋人が同じような事をして何度も爆発しているので」

『そうなの。まぁ、分かっているなら良いわ。ここは私が使ってるだけだから、あまり気にしなくて良いわ。本命はこっちよ』


 何か重要な事を言った気がしたけど、ドロシーさんはそのまま奥に行くので、急いで付いていく。その先にあったのは、魔法陣が刻まれている部屋だった。一瞬、邪聖教の魔法陣かと思ったけど、魔法陣の形が違う。


「この魔法陣は……?」

『試練の魔法陣よ。この魔法陣に立てば、自分と同等の力を持つ影と戦えるわ。基礎的な実力を付けたいなら打って付けね。そっちじゃなくて、こっちよ』


 そう言ってドロシーさんが指を指したのは、そこにあった本棚だった。


『禁術の本よ。上の図書館には置けないような本ね。危ないものの中でも特に危ないものはここに置いてあるわ。それと、そっちにあるのは私の研究ノートね。魔法と魔法薬に関する研究が書かれているわ。暇な時にでも読んでみると良いわね。それじゃあ、次に行くわよ』

「まだあるんですか!?」

『まぁ、色々なものに手を出していたから。こっちの魔法薬の研究室から降りるわよ』


 また下の階に降りると、今度は不思議な場所に来た釜のようなものと魔法陣が刻まれたテーブルが置いてある。


『ここは合成と錬金術ね。ここもあまり用はないと思うわ。その奥は鍛冶場に繋がっているわ。そっちの階段から、さらに地下に降りるわよ』

「あ、はい」


 さらに下に降りると、今度は別の魔法陣が刻まれた場所に着いた。そして、その魔法陣には見覚えがあった。それこそ、邪聖教が使っている魔法陣だったからだ。ただ、細部がちょっと違う気がする。


「これって……」

『悪魔召喚の魔法陣ね。まぁ、未完成で不細工も良いところだけれど。それは気にしないで良いわよ。使っても成功はしないから』

「ドロシーさんって、邪聖教と関わりがあるんですか?」


 これは訊かざるを得なかった。この次第によっては、ドロシーさんとは縁を切るかもしれない。


『何それ?』

「天聖教から離反して悪魔を崇拝するクソ集団です」

『……うん。あなたが嫌っているという事はよく分かったわ。昔、悪魔召喚に関して訊きに来たのがいたわね。あるかもしれないけど、確実な方法はないって言ったけど』

「もしかしたら、邪聖教かもしれないですね。この悪魔召喚の魔法陣とよく似た魔法陣を使って悪魔を召喚しようとしていました。実際、もう少しまで来ていましたけど、生贄が足りなくて邪聖教が悪魔を召喚するまでには至りませんでした。私は、その魔法陣を利用して悪魔になりましたけど……」

『ん? 悪魔を召喚したわけじゃないの?』

「冥界の炎を使って、悪魔を召喚した……とは思います。そこで変なものを飲まされて悪魔になりました」


 私がそう言うと、ドロシーさんはノートとペンを浮かせて、メモを取っていた。ポルターガイストってやつかな。


『召喚したって事は悪魔を見たのよね?』

「実際に見えたのは、目みたいなものだけです。複数見えました」

『複数? 目の数が多いって事?』

「いえ、悪魔が複数いるという感じでした」

『複数の悪魔の召喚? いや、そもそも悪魔の召喚という認識自体が間違っていそうね。正確に言えば、悪魔達のいる世界と一部の空間だけ同化させる感じかしら。それなら、複数の悪魔が来る事も納得出来るわ。なるほど……だから、あの魔法陣なのね。そもそも根本を間違えていた。それなら……いや……駄目ね。どういう方法を使っても生贄が必要になる。やっぱり悪魔召喚は無理ね』


 ドロシーさんは、生贄無しで悪魔を召喚する方法を探っていたらしい。そこまで聞けば、ドロシーさんが邪聖教との繋がりがないという事が分かる。


『それにしても、その邪聖教っていうのは、見境が無いわね。生贄が必要なら用意すれば良いだなんて、野蛮だしセンスがないわ。こういうのは自分一人で完結出来るようにしないと』

「良かったです。ドロシーさんが邪聖教じゃなくて」

『邪聖教だったどうしたの?』

「アストライアーさんの祝福を使って、善悪の判断をした後に消滅してもらうつもりでした」

『あなたも祝福を貰っているの?』

「はい。二十三の祝福を貰っています」

『に……そう……』


 さすがにドロシーさんも引いていた。私も改めて数えてみてヤバいなと思った。でも、貰えるものは貰うという風に考える事にしたので、これからも祝福を貰う事はやめない。まぁ、いきなり授けられると驚くけど。


『あなたが規格外という事は分かったわ。でも、祝福に甘えすぎては駄目よ。祝福を上手く使えるようにしないとね。まぁ、それを鍛える方法はここにはないけれど、選択肢を増やす事は出来るわ。最後の研究室は、これよ』


 ドロシーさんに付いていくと、そこには一脚の椅子が置かれていた。


「これは……精神を鍛える場所ですか?」

『いや、そんな場所じゃないわよ。いや、ある意味では鍛えられるかもしれないか。まぁ、そこに座りなさい。あなたには、一旦地獄を見てもらうわ』

「えっ!? 閻魔様とかがいるところですか!?」

『いや、本物の地獄じゃないわよ』

「ああ……」


 ちょっと期待してしまったけど、普通に不快な思いをするだけみたい。まぁ、吸血で慣れているから良いけど。特に尻込みする事もなく座ったら、ドロシーさんも驚いていた。


『普通は怖がるものだけれどね。それじゃあ、始めるわよ。頭を弄られるような感覚がするけれど、問題は無いから我慢して頂戴』

「はい」


 すると、本当に頭に何かが入ってくるかのような感覚がした。無理矢理情報を入れられているかのような感じだ。吸血や【未来視】の頭痛などに比べたら、遙かにマシだ。一分程すると、その感覚も抜けていく。


『これで良し』

「これって、何か変わったんですか?」

『魔法への理解力が上がったわ。基礎知識を刻みつけるための椅子よ。ずっと使っていなかったけど、正常に作動して良かったわ』

「これ……正常に作動しなかったら、どうなるんですか?」

『頭が破裂するか廃人になるかかしらね』

「地獄を見るって、そういう事だったんですか!?」

『いや、普通はさっきの感覚が地獄のように感じるものよ? それに、私は十中八九成功すると思っていたから』

「なる……ほど……?」


 頭が良くて良い人だと思っていたけど、若干ズレている人でもあるみたい。アク姉みたいなものかな。

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