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04 ー俺の知る無能少年。というか俺ー

あいつのことばかり話していても気持ちが悪い。

そろそろ自分のことでも話そう。


俺はシズク。

ー孤児院上りの平民だから、ユキみたいに御立派な家名なんか無いし、爵位なんか縁もない。


6歳ぐらいだったか?気がついたら孤児院にいて、それより前のことは覚えてないな。

俺が孤児院で暮らし始めたのは、確か雨の降る日だった。

院長曰く、朝飯の時間に1人増えてたって言ってたな。

びしょ濡れで、雨の雫を髪から垂らしてたから「シズク」だって。俺も適当だけど、院長も大概適当な人だ。


俺は簡単にいうと「無能」だ。

別に卑屈になってるわけでも虐められてるわけでもない。自他共に認めるなら、それは単なる事実だ。


俺は、この世界に生きる誰もが必ず持っているはずの器ー 魔導力を持っていない。

魔導力は赤子であろうと獣や魔獣…虫や魚に至るまで、命ある者なら必ず持っているはずなんだ。

平民は大抵1…。魔導力が1でもあれば、子供でも火を起こしたり水を操って洗濯したり… まあ、生活に困ることはない程度の魔法を使える数値だな。

対して俺は0だ。そして魔導力は生涯成長…つまり増えることはない。要するに俺は一生0のままだ。

つまり、俺は16歳にもなるってのに子供以下ってことだ。無能だろう?


それに、身体のどこかに必ずあるはずの紋章、ー正式には属性紋だったかー これも存在しない。

身体のどこに浮き出るかは人によって違うし、魔導力によっては薄かったり小さかったりするから、検査の度に全身探すんだが、見つかった試しはない。


最も、見つかったところで魔導力のない俺が魔法を使えないことに変わりはないわけだが…。

普通は自分に刻まれた属性紋に合った属性の魔法を使うと、魔法の効力が高くなったり、自分より高い魔導力の魔法が使えたりするらしい。縁のない話だな。


おっと、愚痴っぽくなったが別に魔法が使えなくて困ったことはない。

俺が無能ってのはあくまで、一般常識に照らし合わせた時の話だからな。


さて、俺が無能だと証明できたことだし次に行こう。

孤児院の話をしたけど、実は孤児院で暮らしてた時期は短いんだ。

孤児院で暮らし始めてしばらくして…森に食料を取りに行ったんだ。働かざる者なんとやら。魔法が使えないなりに、食い扶持くらいは稼がないとだろ?

幸い身体の丈夫さには自信があるし、中型の獣くらいまでなら素手でも狩れる。


そしてそこで…ユキに会った。

あの頃は今みたいにうるさくはなかったっけか?

それで、まあ、ちょっと危ない目に遭ってるユキを助けたら、あいつの爺さんに気に入られて屋敷で働かせてもらえることになった。


それから10年位経って現在に至る…って感じか。

特に面白い話でもないな。



………おっと、何も思い出せないと言ったけど、ひとつだけ覚えていることがあったな。

「貴様の生きる意味を言ってみろ」

俺が覚えてるのはこれだけだ。

何のことだろうな?

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