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何でもいいと言われたので転生特典をありったけもらって転生したのに、実家がなくなったので妹と共に魔法を極めます  作者: あっきー


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19/32

特典19「気にかけ、笑い、喜ぶ世界」


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皆が特訓を初めてから3ヶ月が経過した。

最初に目に見えて良くなってきたのはグレイだ。

完走まではできていないものの、徐々に筋肉がついてきた。

食生活は王宮の料理人によって完璧にコントロールされているはずなので、無駄な脂肪がつかないのも一躍買っていると思う。


続いてリンリンも進歩が見られた。

最初は粘土の硬さに3人の中で1番苦労していたものの、徐々に不格好ではあるものの色々な形を形成できるようになってきている。

あともうほんの少しでクリアできるだろう。


そして意外なことにまったく進歩が見られないのがリズ。

魔力のコントロールが圧倒的に悪い。

昔から苦手で、そのおかげで2つの魔法しか行使できないのだと教えてもらった。

しかもその2つともが第七階梯魔法だと言うのだから反応に困る。

このお嬢様に関してはむしろ、威力をあげることを追求させたほうがいいのかもしれない。

そうすれば現在の第七階梯が、第八・第九と同じ威力を持つ可能性はある。

・・・むしろそうするか。

10で良いところを、20出させてどうなるか見てみよう。


「『魔法遮断結界』、『魔法無効結界』、『超多重結界』、『音声遮断結界』。

リズ、俺に向けていつもの倍の魔力をぶち込んで『火焔の爆撃(エクス・プロージョン)』打ってこい!」


「えっ、倍ですか?!危険じゃないでしょうか・・・?」


「大丈夫・・・タクミは死なない・・・日頃の恨みをぶっ放せ。」


「むしろ殺してやるくらいの気持ちで打ったほうが得だぞ。」


「わかりました!」


いやそこはあんまり分かってほしくなかったんだけど。

リズが目を頭り杖を構えて魔法陣を展開。

無詠唱ではさすがに魔力配分が難しいのか、完全詠唱を始めた。



「闇をも溶かす真紅の光よ。

火竜の心よりいずるは業火の激情。

震え、嘆き、叫べ!

我が求めるは太古の旋律。

灼熱の憤怒よ。

その叛逆の意思をもって、万象を灰燼と帰せ!!

第七階梯ー特異超級魔法『火焔の爆撃(エクス・プロージョン)』!!!」



俺の周囲に赤い光が集約した瞬間ー

鼓膜がやぶれるかと思うほどの爆音と共に爆発した。

さすがに魔力を使いすぎたのか、その場に座り込むリズ。

結界を全て解除、と。


「いやあ、さすがにこれなら第八階梯を名乗ってもいい威力だな。

『帝級魔法』と言ってもいいくらいだ。」


「あはは、リンリンとグレイ殿下の気持ちが分かった気がします・・・。

第八階梯の威力を生身で受けてその笑顔は、こちらにもダメージが来ますね。」


「タクミだから・・・仕方ない。」


「打たれて笑う姿を見慣れすぎて、そろそろ特殊性癖を疑い始めるレベルだな。」


だれがドMだ。

しかしリズの方向性はこれで決まりだな。

とことんまで魔力量をあげる特訓に切り替えるとしよう。


「リズ、次から1発ごとに全魔力を込めて放とう。

魔力切れで倒れたら『調合』で作った、このエリクサーを飲んでもらう。

そしてまた全力で放つ。

それを繰り返して基礎魔力量をあげる特訓に変更だ。

たぶんそれを1万回くらい繰り返したら『神話級』に届くと思うぞ。」


「うわ・・・鬼すぎる・・・。」


「やります!!

けど、エリクサーって高級なものなのでは?」


「『複製』でいくらでも作れるから気にするな。」


「たった1万回で『神話級』に届くのであればやりたいと思ってしまうあたり、だんだん頭の感覚がおかしくなってきた気がするよ。」


頭を抱えるグレイ。

目を輝かせるリズ。

ドン引きながらも頑張ってついてくるリンリン。


グレイの言葉だけど、その感覚は良い兆候だ。

魔法の無限の可能性を信じ、苦難に挑戦する。

その結果がどうであれ、その挑戦こそが成長として自分に残るのだから。


本当に、良い仲間ができたなあ。



-----


「はい、確認しました!

おめでとうございます、タクミさん、サクヤさん!

Aランクに昇格です!」


「やったね、お兄ちゃん!」


「ああ、サクヤもよく頑張ったぞ。」


日頃からBランククエストをこなしていた俺達は前回、ついに5回連続依頼達成。

それによりAランク昇格試験を受けられることになった。


試験内容は『24時間以内に指定された素材の回収』だったのだが、なかなかに集めるのに苦労するものばかり。

朝から走り回ってなんとか20時にはクリアすることができた。

銀色から金色になったギルドカードを受け取り、さすがの俺達もへとへとだ。

さっさと風呂に入って寝たいところだが、今日に限ってはそんなことも言っていられない。


というのも今朝のやりとりに遡る。


「お誕生日おめでとう、お兄ちゃん!」


「おお、もうそんな時期か。」


「今日はねえ、思い出としてAランクに昇格しようと思います!

そして夜は皆招待してパーティするからね!」


と、妹に満面の笑みで言われてしまってはシスコンに抗うすべはない。

そんなわけで現在我が家ではいつもの皆がパーティの準備をしてくれているらしい。

リズはそういうの好きそうだし、リンリンはノリがいいしな。

そして2人のそんな姿を見て仕方なく手伝うのがグレイなのだ。


「お2人ともAランク昇格!

そしてタクミ、お誕生日おめでとうございますー!」


リズの合図でクラッカーが一斉にパアンと鳴らされた。

貴族としてこういうのは大々的にやるべきかと思いはしたが、そもそも面識が少ないから寂しくなるだけだな。


とはいえメンバーで驚いたのが多忙なはずのオーグレイ公爵様、リンクス侯爵様も参加してくれている。

隣に居るのはそれぞれの奥さんということになるのだろう。

さすがに国王陛下に来られても驚きが勝ってしまって楽しめそうなので、グレイは1人で来てくれたようで安心だ。


「おめでとう、イスタル男爵。

最近では学院で魔法を教えているそうじゃないか。」


会が始まって皆からのプレゼントをもらった後、オーグレイ公爵様が声をかけてくれた。

いつも気にかけて頂いて本当にありがたいな。


「オーグレイ公爵様、ありがとうございます!

そうですね、魔力での魔法陣構築を教えています。

少々人数が増えてきて大変になってきましたが、なかなか楽しめていますよ。」


「増えてきたというのは10人くらいかい?」


「いえ、150人ほどです。」


「それはもう講師として給金を頂いたほうがいい。

学院には私から掛け合っておくとするよ。」


「いえいえ!学生の身分でそんな!」


「ハハハ!イスタル男爵、この人は一度言ったら聞かない性格で有名だから諦めたほうがいいぞ。」


焦っているところにリンクス侯爵様まで加わった。

なんだこの絵。

国の中でもトップクラスにお偉い方々に挟まれてしまった。


「リンクス侯爵、これは次代を担う若者に対する正当な報酬だ。

そのような言い方はやめてもらいたい。」


「いえ、否定するつもりはありませんよ。

その意見については僕も賛成ですから。

とはいえイスタル男爵を気に入っているのはオーグレイ公爵様だけではない、ということです。」


リンクス侯爵様の手が俺の肩に置かれた。

おかしい、楽しい会だったはずなのになんでこんなに緊張させられているのだろう。


「ほへー、お兄ちゃんってすごいんだねえ。」


「お、サクヤくん。

凄いなんてもんじゃないさ!

長い魔法学会の歴史でも、学生のうちから壇上にあがって発言して拍手をもらえた人物なんて両手で足りるほどしか居ない。

それに冒険者としてもEランクからBランクにすっ飛ばして昇格なんてのも前代未聞なんだよ。

オーグレイ公爵様も、僕も、この子のやることなすことに興味津々ってわけさ!」


「ボクも・・・ね。」


「わたくしもです!」


なんか皆集まってきたぞ。

内輪のパーティでこんな小っ恥ずかしいことになるとは思ってなかった。


みんなの視線が未だに動かないグレイに集まった。

まるで君はどうなんだ、と言わんばかりに。


「はあ・・・まあ王宮でもそろそろ子爵にあげるかどうかの話があがるくらいだ。

学生という身分で考えたら唯一無二の存在だろうな。

それを抜きにして個別で感想を言わせてもらうとすれば・・・。

どうしようもなく変態で、引くほどのシスコンで、魔法に対して容赦という言葉を知らない鬼だ。」


おいおい、そんな褒めるなよ。

照れるじゃないか。


「ですが・・・・・・、一緒に居るのが苦ではなく、不思議とついていこうと思えるような奴というのは少しだけ認めてやらんことは、なくもないです。」


「やだもうグレイったらツンデレさん。」


「君のそういうところは、本ッッッ当に不快だけどな・・・!」


そんな会話で皆が笑顔になった。


気にかけてくださる方々が居て。

会話に楽しそうに笑う友が居て。

自分のことのように喜んでくれる妹が居る。


こんな平和な世界が続けばいいな。



今後とも楽しんでいただけるよう精進してまいります。

少しでも楽しいと感じていただけたらブックマーク登録や★評価などで応援していただけたら嬉しいです!

今後とも応援よろしくお願い致します。

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