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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十章 社交界デビューです
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「ではリンちゃん、行ってきますね」

「うん。大変そうだけど、無理しない程度に頑張りな。いざとなったら、カレンのお兄ちゃんと一応(・・)キースもいるみたいだし、迷惑とかそんなん考えなくていいから助けてもらうんだよ?」

 私は苦笑いで実家に戻ります。

 マリアは準備の時間が足りないと行って、私達が授業を受けている間に、一足先に屋敷に戻っております。


 リンは一人残された広い寮の部屋で独りごちる。

「お留守番かぁ~、てかココ。こんなに広かったんだね~。凄い静かだし」

 その声は少し寂しそうだった。


◇◇◇


「カレン様、まずこちらにお座り下さい」

 まずは明日のパーティーで着るドレスに合わせたヘアとメイクを決めるそうで、やる気満々で目の血走ったマリアや使用人たちに逆らわないよう、大人しく言われた通りの席に腰を下ろす。

 後方には、今回のために作られたドレスが宝飾品と一緒に飾られている。

「このドレスには少し大人っぽいメイクが良さそうですね」

「では、ヘアも大人っぽく夜会巻きにしますか?」

「緩くアップにして、幾筋か首元に巻いた髪を垂らしてみては?」

 皆で意見を出し合って決めているようですが。

 ヘアもメイクも適当で良いのだけど……など言い出せるような雰囲気では無く。

 皆さんとてもイキイキされているように見え、少し怖……いえ、何でもありません。

 大人しくしておりますので、なるべく早く終わらせるようにお願いします。


「完璧ですわね」

 マリアの言葉に他のメイド達も嬉しそうに頷きます。

 ようやく納得して頂けたようです。

 今日はこれで解放されるのですよね?

 もうクタクタです(主に精神面で)。

「カレン様、明日は朝から忙しくなりますので、今日は早くお休み下さいませ」

「ええ、そうさせてもらいますね」

 パーティーは夜からなのに何故朝から? と、いつも思うけれど。そんなことはもう、どうでも良いというか……。疲れ過ぎて何をする気も起きないというか。

 後は部屋で寝るだけの状態になり、フラフラと部屋へ戻ります。

 アルとエテルノさんは、先に部屋で寛がれておりました。

『カレン、お帰りなのだ』

『主、お疲れのようだな』

 ああ、この二人(二匹)の姿に癒されます。

「やっと解放されました……。疲れ過ぎましたので私はもう寝ますが、アルたちはどうされますか?」

 二人は顔を見合わせると。

『『一緒に寝る(のだ)』』

 と、一緒にベッドに潜り込みました。

「では、明かりを消しますね。お休みなさい」

『『お休み(なのだ)』』

 いつもなら本を読んでから眠るカレンが、本も読まずにサッサと寝息をたてている様子に、アルとエテルノは苦笑いするしか無かったとか。

 そして静かに夜は更けていくのだった。


◇◇◇


「カレン様、おはようございます」

 マリアではない使用人が、起こしに来てくれました。

 マリアはヘアとメイクの準備の方に行っているらしく、その前の準備(・・・・・・)にはその他の使用人達が色々(・・)と手伝ってくれるらしい……です。

『準備』と『色々』という所がかなり気になりますが、人間知らない方が良いこともありますよね?

 言われるままに、起こしに来てくれました使用人のマーサに着いて行きます。

 お風呂に到着しました。

 自分で洗うからと言いましたが、却下され念入りに全身を洗われた(恥ずかし過ぎて死にそうです)後。

 中央にベッドが設置された部屋に案内され、エステを受けております。

 それが終わったら今度はネイル。

 ネイルの合間に、簡単な食事をいただきます。

 生ハムの入ったサンドイッチはとても美味しいです。

 数種類ありましたカナッペも、どれもとても美味しく。

 美味しいものをいただいている間だけは、この後の地獄を忘れておりました。

 この後の地獄……それはコルセット。

 時間を掛けて、少しづつウエストを締め上げていくのです。

 これに関しては声を大にして言いたい。

『バカなんですか?』

 と。こんなに締め上げたら体にいい筈ありません!

 こんなものを世に広めた方、恨みますよっ!!

 元々細かったウエストは、一時間程掛けてかなり締め上げられ、出来上がったのは不自然な程のクビレ。

 もうこの時点で私のHPはガリガリと削られて、レッドゾーンに突入しております。

 マリアを先頭にヘアとメイク担当の使用人たちに囲まれ、どんどんと作り上げられていく『社交界用のカレン・リード』。

 鏡の中には『初めまして、新しい私!』と言いたくなるほどに、普段の私とはかけ離れた私の姿が。

 (ようや)く『社交界用のカレン・リード』が完成したのは、お屋敷を出る時間の少し前。

 出来上がった私を見たお母様やお兄様は、とても褒めて下さいました。

 お父様は今長期出張のお仕事中で、私の晴れ姿(?)を見られないことをとても残念がっておられたそうです。

 お兄様と馬車で舞踏会会場である、宮廷へと向かいます。

 緊張し過ぎて、口から心臓が出て来てしまいそうです。

 お兄様がそんな私の様子を見て、苦笑されます。

「カレン、今からそんなに緊張していては、パーティーが終わるまで体が持たないよ?」

 そうは言われてもですね、緊張するものは緊張してしまうのですから。

「何かありましたら、お兄様が助けて下さいね?」

 半分緊張で泣きそうになりながらそう言うと「任せろっ!! 」と、とても頼もしいお返事が。

 そしてすぐパーティー会場に到着してしまいました。

 参加者達の馬車が所狭しと並べられ、これは馬車の展覧会ですかと聞きたくなる程です。

 馬車を降り、お兄様の腕をとり、パーティー会場へ。

 入口の少し手前で。

 豪華絢爛という言葉が頭に浮かぶ会場に呆気にとられていると、お兄様が苦笑しつつ小声で仰いました。

「カレン、口開いてるから閉じなさい」

 慌てて口を閉じ、柔らかな笑顔を貼り付け、会場内へと足を進めます。

 さあ、社交界デビューです!!

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