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カレンの子育て(?)奮闘記

キース様との結婚から早三年。

この度ウォーカー家に新しい命を授かりました。

美しいストロベリーブロンドの髪に、黄緑のペリドットの様な澄んだ瞳の女の子です。

名前はリリアン・ウォーカー。

キース様がつけて下さいました。

昨年結婚されましたラルクお兄様がリリアンにデレデレで。

(しき)りに「子供が欲しい」と口にされておりましたので、お兄様の所にも近いうちに可愛い天使が舞い降りて来てくれるかもしれませんね。



リリアンはよく飲み、よく泣き、よく眠る、とても元気な子でした。

泣く時は全身全霊をかけて泣くので、いつでしたか、泣き過ぎて呼吸困難に陥り、チアノーゼを起こして大騒ぎした事もありました。

お医者様に診て頂く頃にはケロッとしており、「ご機嫌ですなぁ」と言われておりましたが(苦笑)。

とにかくご機嫌な時はとても良く笑い、また、その笑顔がとても可愛らしく、今やウォーカー家のアイドル的存在です。

キース様のご両親や私の両親が、毎週末の様にリリアンに会いにやって来ては面倒を見て下さるので、その間はお屋敷の離れにある小さなコテージで、キース様と二人のんびりと過ごさせて頂きます。

どうしても普段は子供(リリアン)中心の生活になってしまいますから、この時ばかりはキース様の溺愛が過剰に。


◇◇◇


月日は流れ、私とキース様が結婚してから五年目の秋。


「リリアン様は、キース様似でらっしゃいますね」


今も私付きの侍女として働いてくれておりますマリアが淹れた美味しいハーブティーを頂きながら、


「父親似の娘は幸せになれるそうよ?」


と返すと、マリアが和かな笑顔を浮かべ。


「カレン様のお子様なら、どちらに似てもきっと幸せですわ」

「ありがとう。そう言ってくれる使用人(あなた達)がいてくれるから、私達家族は幸せでいられるのね」

「勿体無いお言葉ですわ。こうしてウォーカー家(ここ)で働かせて頂いている私達もまた、とても幸せです」


笑顔に包まれたこの温かな優しい空間に、突如として現れたのは現在二歳になる私とキース様の愛娘のリリアン。


「母たま、母たま、これ母たまにあげゆ」


と言ってカレンの掌に乗せたのは、大量のダンゴムシ(笑)

焦るマリアを制して、


「リリアン、ありがとう。こんなに沢山捕まえるのは大変だったでしょう?お菓子の準備が出来ていますから、手を洗ってらっしゃいね」


と、リリアンの目の高さに合わせる様にしゃがんで笑顔で言うと、リリアンは嬉しそうに


「うん、母たまが喜ぶと思って頑張ったの。お手手洗ってくゆ」


言うが早いか洗面所へと走って行きます。

マリアは苦笑いで他の使用人に箱を持って来てもらい、カレンの掌の上で蠢くダンゴムシを全てそちらに移動させます。

美味しいお菓子とお茶を頂いた後、リリアンはお昼寝の時間の為、リリアン付きの侍女に部屋へと連れて行かれます。

今リリアン付きの侍女をしてくれておりますのは、マリアの姪のハンナです。

とても活発なリリアンのお世話は、本当に大変だと思います。

マリアにそう話した事がありましたが、彼女は珍しく声を出して笑い、


「心配ご無用ですわ。リリアン様はこのお屋敷のアイドルですもの。皆リリアン様付きになりたくて、デイビッド執事長の元に立候補しに行っておりましたよ」


少し黒い笑顔で、「ハンナがもぎ取りましたけれども」と呟いていたのには気がつきませんでした。


「それに今、このお屋敷の使用人になるのは大変なのですよ?」


マリアが言うには、ウォーカー家(ここ)は超の付く人気の就職先だそうで。

辞める者がいないので、新たな募集も出て来ない。

出たとしても余程能力があり、尚且つ身元のキチンとした者でなければ、面接まで漕ぎ着ける事も出来ないとの事。

まあ、その辺りの事は全てデイビッドにお任せしておけば間違いはありませんので……。

マリアはカレンの少し出て来たお腹を優しい目で見ながら、


「お子様がお生まれになれば使用人の数が足りなくなりますから、近いうちに一名ないしは二名程の募集があると思いますよ」


と、ハーブティーのお代わりを淹れるのだった。

更に数ヶ月後。

季節は冬へと移行し、ウォーカー家にまた新たな家族が増えました。

キース様と同じ赤い髪に、リリアンと同じペリドットの瞳を持つ男の子の名前はケヴィン・ウォーカー。

カレン(わたし)が名付けました。

リリアンが赤ん坊の頃はよく飲み、よく泣き、よく眠る子でしたが、ケヴィンはよく飲みよく眠りますが、あまり泣きませんでした。

泣きすぎるのも大変でしたが、泣かないのもそれはそれで心配になります(苦笑)

ケヴィンが生まれて暫くは、リリアンが私にベッタリになりましたが、一緒に居て話を聞いてもらいたがるだけで、駄々をこねる様な事も無く。

どちらかと言えば、二人の時間が減った分使用人や子供の前等関係なく溺愛されるキース様のお相手の方が恥ずかしい(大変)かも……。

例えば私がソファーに座り、膝の上にリリアンを乗せていると、キース様は無言でリリアンごと私をご自分の膝の上に乗せようとされます。

リリアンがキャッキャと喜んでおりますので何も申しませんが、使用人(みんな)の前ではちょっと恥ずかしいです。

行ってきますのチュウやただいまのチュウも、人目のある所では恥ずかしいですし……。

それに隙あらば何故かお姫様抱っこをしたがるのです。


「ケヴィン様は、カレン様似でらっしゃいますね」


マリアが淹れた美味しい紅茶を頂きながら、


「前にもこんな会話しなかったかしら?」


と小首を傾げて返すと、マリアは少し考えて


「そういえば、リリアン様がキース様に似ていらっしゃると私が言いましたね」


とクスクス笑い出しました。

ケヴィンが生まれてから私にベッタリだったリリアンも、ケヴィンがたどたどしいながらも歩ける様になると、甲斐甲斐しくケヴィンの世話を焼く様になりました。


「私はお姉ちゃんだから、私がケヴィンを守ゆの」


使用人達はハラハラしながらも、可愛らしい姉弟を微笑ましく見守っております。

活発で頭の回転も良く、思い遣りのあるリリアンと、マイペースだけれど我慢強い努力家なケヴィンの二人。

大人になっても仲が良く、互いに助け合い、それは孫の代へも引き継がれてゆくのだけれど。


「育児よりも、旦那様のお世話が大変って、あるのかしら?」


思わず呟いてしまった言葉に、マリアは耐えられないとばかりに吹き出し


「それだけカレン様がキース様に愛されていらっしゃるという事で……クスクス」


フォローを入れるも、笑いが止まらないといった様子に、カレンも一緒に笑い出して。


「恥ずかしくはあるけれど、とっても幸せだから」


何はともあれ、ウォーカー家には今日も笑顔が溢れております。

転生令嬢の異世界愛され生活~ご褒美転生~をお読み頂きました皆様、ありがとうございました。

思った以上に高い評価を頂き、感謝申し上げますm(_ _)m

これからも皆様の通勤・通学時間に少しでも楽しんで頂ける小説を書いていきたいと思います。

よろしくお願い致します。


翡翠

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