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転生令嬢の異世界愛され生活〜ご褒美転生〜  作者: 翡翠
第十五章 守るということ
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7

 重たいと思われたくない乙女心と、少しの憧れ? 的な心が激しく戦っております。

「ほら、カレン」

 キース様の目が「さあ、さあ」と語られております。

このままずっと大岩の上にいるわけにもいきませんし、意を決してキース様の胸に飛び込みました。

 この世界の皆様は細く見えても結構鍛えられておられるので、軽々と受け止めて頂けました。

 ホッと胸を撫で下ろし、キース様から離れ「ありがとうございました」とお礼を伝え、既に出来上がっております料理をお皿に盛り始めます。

 本日のお昼ご飯は焼き魚と甘辛く煮たウサギ肉です。

 揃って「頂きます」をしてから食べ始めます。

「先程のなめろうも美味しかったですが、焼き魚も美味しいですね」

 エドワード様の言葉にエヴァンス様がウンウンと頷かれております。

「このグループに入れてもらったお陰で、毎年サバイバルで美味しいご飯にありつける。ありがとな」

 と仰いました。実は貴族の子息令嬢が集まるクラスの為、料理等したことがない方が殆どで。

 大半のグループは、茹でるか焼くかの二択なのだそう。

(しかも調味料無し……)

「味なしの肉とか魚……素材の味云々じゃない気がする」

 私達グループは、サバイバルに参加する度に持参する調味料の種類が増えてますからね。

「いくら調味料があったところで食材が無ければ料理は出来ませんから、食材の調達をして下さる皆様のお陰でもありますね」

 と言うと、何故か皆様から温かい目で微笑まれ、次々に頭を撫でられました。

「バランスのとれたグループってことね」

 リンちゃんの台詞(セリフ)に頷きながら、エドワード様とエヴァンス様が「残りの二年もよろしく頼むよ」と共に右手を差し出され、キース様とウィリアム様がその手を握られ。

「こちらこそ、よろしく」

 ご予約承りました。


 お昼ご飯を美味しくいただき、使用したお皿などに浄化魔法を使った後、片付けていきます。

 水が少なくなってきましたので、キース様とウィリアム様が水汲みに出掛けられました。

 リンちゃんと二人、竜田揚げを揚げ始めております。

 食べ盛りが四人もおりますので、大量に揚げなければなりません。

 小麦粉は調味料として持ち込むことは出来ず、片栗粉は大丈夫でしたので、そんな訳での竜田揚げです。

 大量に揚げておいて、食べる直前にまたサッと揚げれば温かいものを口にすることが出来ます。

 本日の晩御飯は、竜田揚げと煮魚の予定です。

 エドワード様たちが持ち帰って来られた野苺ですが、そのままでは甘さよりも酸っぱさが前面に出ておりますので、どう致しましょうか……。

 少し離れた場所で食後の運動をされると言っておられたエドワード様とエヴァンス様が、何やら見慣れない実の様なものを幾つも手にして戻られました。

「手合わせしようと思った先に、こんな実のなる木があったんだけど」

 と言われ、リンちゃんと一旦揚げ物を中断し、その実を見せて頂きます。

 幾つもある中から適当な一つを選び、半分にカットしてみます。

「なんか、フカフカしててパンっぽくない?」

 恐る恐る、摘んで口に運んでみます。

「パンのような食感ですね。味はパンよりだいぶ劣りますが、食べられないほどでもありませんし」

「じゃあ、明日の朝食にしようよ」

 エドワード様たちを他所に、リンちゃんと二人で盛り上がります。

「そうです、野苺。アレをジャムに致しましょう」

「凄いっ! 食べてる物だけ見てると、もうサバイバルじゃないよね」

 エドワード様達が敷物の上にパンのような食感の実を置き、再度食後の運動に出られたことに、全く気が付かないリンちゃんと私なのでした。

 残りの竜田揚げを揚げ終え、今度は明日の朝食用にジャムを作ります。

 小鍋にヘタを取り除いた野苺をいれ、その上に大量の砂糖を投入します。本当はレモン果汁が欲しいところではありますが。

 火にかけ五分程でかなり水分が出てきました。

 アクを丁寧に取り除きながら弱火で煮ていきます。

絶えずかき混ぜながら煮詰めていき、少しユルユルくらいの状態(冷めると少し固くなるので)で完成です。

 後は晩御飯の時間になるまですることもないので、リンちゃんとカマクラ擬きの中に入り、休憩です。

「小麦粉と卵とバターがあれば、クッキーも作れましたのに」

 先ほどジャムを作っている時に沸かしておいた湯で淹れた紅茶を頂きながら、思わずポツリとこぼしました。

「カレン、ここサバイバルだから」

 リンちゃんが苦笑気味に仰いました。

 確かにいくらなんでもサバイバルで優雅にティータイムは……。

「すっかり忘れてました」

 二人仲良く声に出して笑っていると、キース様たちが戻って来られました。

「お二人共、随分と楽しそうですね」

 ウィリアム様がリンちゃんの隣に座られ、キース様が私の横に腰を落とします。

 何故か頭を撫でられております。

 特に意味はないようですが、頭を撫でられるのは好きなので、そのままで。

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