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「お待たせ……と、何見てんの?」
エドワード様たちが大きめのリュックを購入されたようで、リュックの入った袋を片手にこちらに向かって来られました。
「うわ、首がもげてるみてえ……」
とエヴァンス様が引きつった顔で見ておられます。
「まさか、コレを買うとか言わないよな?」
エドワード様が恐る恐るといった感じに聞いてこられます。
キース様は横を向いて肩を震わせて……これは笑ってますね、もう。
「珍しい物がありましたので、見せて頂いておりました。よろしければお土産にいかがでしょうか?」
にっこり笑って言いますと、エヴァンス様とエドワード様が慌てるように、必死でお断りされます。
「あ、いや。俺たちはもうコレ買ったし、いいよな」
ほんの冗談でしたのに。
「キース様のお土産に致しますか?」
笑いながらそう言えば、キース様は澄ました顔で。
「カレンとお揃いなら買ってもいいけど」
「……そこは焦るか否定するかして頂かないと、つまらないです」
思わず拗ねて聞こえないように呟いたつもりが、キース様には聞こえていたようです。
「ああ、もう。本当カレンは可愛いな」
と、再度抱きしめられて後頭部にチュッとされました。
エドワード様とエヴァンス様が「行くか……」と、遠い目をされてお店を出ていかれます。
キース様は抱きしめていた腕を解き、私の手を握るとゆっくりとご機嫌な様子で店の外に足を向けます。
私は真っ赤な顔を下に向け、心の中でただひたすら悶えまくっておりました。
お店の外には四人が私達を待っており、揃ったところで次のお店へと足を進めます。
ウィリアム様が布団や枕などを扱うお店の前で足を止めました。
「キース達はブランケットを買うんですよね?」
「ああ、見てくる」
キース様が私の手を引き店内へと入って行きます。
店内中程の所にブランケットがまとめて置かれておりました。
柄物や手触りの良い無地の物など色々ありましたが、軽くて手触りの良い物の中から色違いで選び、それぞれ購入致しました。
キース様は紺色で、私はグリーン。
袋に入りましたそれは、2つともキース様が持っておられます。
自分で持とうとしましたが、キース様が「荷物は男が持つものだ」と譲らず、仕方なく「ありがとうございます」と言ってお願いしました。
キース様は私を甘やかし過ぎだと思います。
少し早いですが、混む前にここで一旦お昼にしようということになりました。
通りに沿ってズラリと並ぶテントからは、美味しそうな匂いが漂ってきます。
六名のうち四名は食べ盛りな男性ですので、とにかく目につく美味しそうな料理があれば、どんどん購入されていきます。
肉料理が特に多いように感じますが、リンちゃんと私に気を使って頂いているのか、さっぱり系のものやデザート系なども選んで下さっているようです。
これ以上は食べられないのでは? と思う程の食べ物を買い、ズラリと並んだテントの中間点の辺りにあります飲食スペースへと向かいます。
パラパラと席に着いている方達がいる程度ですので、端のテーブルを選び、購入しました食べ物と飲み物をテーブル上に広げていきます。
全ての食べ物が広げられますと、私以外の皆様は果実酒を。私はジュースを片手に。
「「「「「「乾杯」」」」」」
エドワード様とエヴァンス様は普段から体を使うだけあり、感心するほど口の中に食べ物が吸い込まれていきます。
「いい食べっぷりだね~」
リンちゃんが頬杖をついて呟かれました。
「見ていないで食べないと無くなりますよ?」
ウィリアム様が笑いながら仰ると、リンちゃんが慌てるようにして食べ始めます。
お腹もだいぶ膨れ、リンちゃんと私はデザートを堪能しております。
皆様の手にはいつの間にか追加の果実酒が握られて、エドワード様とエヴァンス様は追加で購入された魔獣焼を食されているところです。
「今回からバトル式となる訳ですが……」
ウィリアム様がサバイバルの話をされ始め、皆様の表情が真剣な物へと変わり。
「まあ、いつも通り先ず水場と寝床の確保だろ」
「食糧もな」
「寝床の障壁と調理は女性陣にお任せしますね」
「「はい」」
「バトルは積極的にいきますか? それとも受け身からの反撃といきますか?」
あ、何かウィリアム様の黒い笑顔が……。
若干それに引きつつ、エヴァンス様が仰います。
「あのさ、エドワードとトラップ作ってもいいか?」
「トラップですか?」
思わず聞いてしまいましたが、エヴァンス様は嫌な顔などせず、説明して下さいます。
「もともと魔獣なんかを捕まえるためのものだけどな。輪っか状にした縄を草なんかにわからないように配置しといて、そこを通った瞬間に縄に吊り下げられるっていうものから、まあ色々だな」
「良いですね、僕も参加させて頂きます」
ウィリアム様の笑顔が眩しいです。
何となくですが、とても恐ろしいトラップが仕掛けられそうな予感が致します。
「戦闘になった場合ですが、エドワードとエヴァンスのサポートに僕とリンが入ります。カレンは後方で魔法攻撃からの防御、キースはカレンを守って下さい。カレンの盾は頼りになりますからね」
頼りになると言われ、嬉しさに笑みがこぼれます。
それに気付いたキース様が頭を撫でて私にだけ聞こえるように「良かったな」と。
私は言葉ではなく笑顔で返すと、キース様は更に頭を撫で撫でされるのでした。
「こんな感じで異論はありませんか?」
皆様首を縦に振られ、それを見たウィリアム様は。
「では、あとは現地に行ってから決めるとしますか。だいぶ混んで来ましたし、片して買い物の続きを致しましょう」
と言って立ち上がり、皆様もそれに倣ってテーブルの上を片し始めました。




