92.
「まず、はっきりさせておこう。あんたには自分がどうするか、選択する権利がある。ただし、その結果はあんたが引き受けるもんだ、わかるよな?」
前田は黙ってうなずいた。
「上出来だ。でもな、一つ例外がある。あんたが俺の言う通りの行動をした場合は、それなりの結果を約束してやってもいい」
「それだけのことができるという保証が、どこにあると?」
「そりゃ不思議だよな」奥は軽く笑った。「でもな、あんたなら知ってるんじゃないか?」
前田は体を硬くした。奥はそれを見て、声を低くして続けた。
「わかるな」奥は前田のことはほとんど見ずに、話を続けた。「あんたと俺は同じ結果のために行動することになる」
前田は一瞬迷うような様子を見せたが、すぐに奥をしっかりと見すえた。
「ああ、信頼はできないが、他に選択の余地もなさそうだ」
奥は当然といった顔で、前田の言葉にうなずいた。
「それじゃ、本題に入るとしよう。まずはこれからの行動だが、とりあえず警察の連中に目をつけられないようにしろ。逃げ回る必要はないがな、特別に注意を引く必要もない。手遅れじゃないよな?」
「それは大丈夫なはずだ。今のところ警察からの接触はない」
「上出来だ。次はあんたがやるべきことだが、これは簡単だ」
「証拠になりそうなドラッグを回収しろとでも?」
前田の一言に、奥は大笑いした。
「そんなもんは欲しがってる奴にくれてやればいい。こっちにはいくらでも在庫があるし、販路だって簡単に作れる」
「それで、何なんだ?」
「あんたの雇ってる探偵に、これから話すことを聞かせてやればいい」
「つまらない嘘ならお断りだ」
「いいや、ほとんど本当の話だ。クソ探偵野郎にやる気があるなら、これで事件を終わらせたくなるぜ」
「面白そうな話だな。聞かせてもらおうじゃないか」




