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奇霊譚 ~ 奇々怪々  作者: #モノ
魔術手術 -Contraindicated Surgery-
5/8

大門道病院 ~ Cursed Ruins

 意を決して射竜(うりゅう)と共に廃病院、"大門道(だいもんどう)病院"に入る。

中は思ったより綺麗だが、少し肌寒く、冷え込んでいた…幽霊が沢山居るという証拠だな。


射「ココは総合案内所みたいだね

  凄い綺麗だね」

空「そうだな、内装も当時の感じがするな」


 多少荒れてはいるけど、綺麗に整えたらまだ使えそうな廃墟である。

…ただ、気になる点も多々ある。

床や壁の至る所にある赤黒い染み…アレは明らかに自然に付いたモノではない…

さっきの猫と鴉(カラス)の証言によると、"この廃病院は死体が量産されている"と言っていた…

ココには幽霊しか居ないと思っていたけど、生きた殺人鬼(にんげん)が潜んでいるかもしれない、警戒して探索しなければ…


空「(外で見た幽霊も、まだ正体不明だし…)

  おい射竜、はぐれるなよ?」

(………)

空「?

  おい、射竜?」


 射竜がやけに静かだ…流石に心霊スポットに来たから、言葉が出ないのか?


空「……………

  居ねぇし…

  居ねぇし!?!?!?」


 俺の隣に立っていた射竜だが、その姿が無かった…

なんかやけに(射竜にしては)静かだなと思ったけど…何でこの短時間で居なくなる事が出来るんだよ…


空「ちょっ…射竜!!

  何処(どこ)行った!?」


 俺は射竜を探す為に、病院内を走る事にした。

もう幽霊とか死体とかどうでもいい、射竜の安否を護らなければ…


空「あぁクソッ!やっぱり好奇心旺盛な奴(うりゅうなんか)と一緒に

  来るんじゃなかった!

  今の所、何もしてない…事は無いけど、余計な

  事しかしてない………事もないな…」


 アレ?射竜って意外と有能なんじゃ…

突然現れた幽霊を怯ませたし、呪われた黒猫のヤマトも、(無自覚とは言え)無力化していたし…


空「………

  射竜って、一人でも大丈夫なんじゃないか?

  しかも今、俺の退魔の御札(ふだ)も貼ってあるし…」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

空「…ん?」


 射竜の事を考えていたら、目の前に幽霊が何体か現れて、俺に襲いかかってきた。


空「…ッチ、面倒くせぇな」


 俺は錫杖(しゃくじょう)を取り出して、幽霊に振りかざす。


(バシッ!!!)

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!??」


 思いっきり振りかざした錫杖は幽霊(ザコ)にクリーンヒットして、幽霊(ザコ)は窓を突き破って、外に飛び出していった。

廃墟だし、多少壊されても大丈夫だろ。


空「ふぅ、こんなもんか

  …でも」

「蜉ゥ縺代※窶ヲ蜉ゥ縺代※窶ヲ…」

「逞帙>逞帙>逞帙>逞帙>逞帙>逞帙>」

「?ア?橸スア?橸スア?橸スア?橸スア?橸スア?橸ス

 ア?橸スア?橸スア?橸スア?橸スア?橸スア?橸ス

 ア?橸スア?橸スア??」

空「…そりゃあ、幽霊(ザコ)は一、二体な訳無いよなぁ

  まぁ良いか、雑魚だし」


 幽霊を蹴散らすなんて簡単な事だ。

錫杖を使って幽霊(ザコ)共を駆逐していこう、昨日食べた飯を思い出すより簡単な話だ。


|


射「………アレ…

  ココは………一体…」


 空泡(くうた)くんと話していたら…突然意識が遠くなった様な感覚に陥って…気が付いたら、さっきとは別の場所に立っていた…

大門道病院はコンクリートで人工的な感じがしたけど…ココは木造の建物で、さっきとは全然雰囲気が違う…


射「僕…何でこんな所に…どうやって来たんだ?

  空泡くん…空泡くんは?」


 周りを見てみるけど、空泡くんの姿が無い…ココに居るのは僕だけの様だ。

とりあえず出口を探すついでに散策してみようかな。


射「ココが大門道病院なのかも分からないし、何か

  無いかを探してみよう」


 僕は歩きだして、探索を始める。

何だか未知なる場所を探索するなんてワクワクするな〜♪


射「って、ココは…」


 歩き初めてちょっとしたら、目の前に"診察室"という文字があった。

診察室…という事は、ココはもしかして病院?

病院というより、診療所なのかな?


射「何かあるかもしれないし、入ってみよう」


 ドアに手をかけてみると、鍵はかかっておらず簡単に開いたので、僕は中に入ってみる。

お医者さんが座る椅子と使用する机が置いてあったり、患者用の机とベッドもあった。

更に近くにある棚には薬品が入っていそうな瓶(びん)とカルテらしきモノも置かれていた。


射「わぁ、診察室っぽい部屋だなぁ♪

  病院に来るなんて暫(しばら)くぶりだな」


 僕は何だか高揚してしまい、診察室無いを色々見てみる事にした。

机の引き出しを開けてみたり、棚を開けてみたりしてみる。


(ぼさっ)

射「んおっ?」


 棚を開けたら、中からノートらしきモノが落ちてきた。

拾って見てみると、表紙に"㊙︎ノート"と書かれていた。


射「なんだろうこれ、日記かな?

  見てみちゃお」

(パラッ)

[○月○日

 今日もシヤ様は素敵だった♡

 純白の白衣に、艶(つや)のある黒髪♡

 カッコイイ顔と虜になってしまうあの声♡

 あぁ〜ん♡素敵素敵素敵♡好き好きだーい好き♡

 シヤ様と一緒に仕事が出来て嬉しいですわ♡

 看護婦として今一番楽しいですわ♡あぁ〜ん♡

 シヤ様〜♡結婚して〜〜〜〜♡あぁ〜〜〜ん♡]

射「……………」


 なんか…見てはいけない様な日記(ノート)な気がする…

痛いし、なんか気持ち悪いし…この先のページも全部似た様な内容だ…勝手に見た事を後悔してしまう…


射「…とりあえず、シヤ様?って人がココの先生み

  たいだな、それだけ知れ良かった気がする

  …ん?」

[○月×日

 シヤ様が異国の子供(・・・・・)を連れてきた…

 詳しく聞いてみたら、"この子は難病を患ってい

 るから、僕が看病して治す事にしたんだ"と素敵

 な笑顔で言っていた

 子供にも優しいシヤ様は素敵ですけど、私は何だ

 か不服ですわ(何だかシヤ様が盗られてしまった

 様で…)

 まぁ、仕事熱心なシヤ様を支えるのが私の役目で

 すわ

 明日も頑張りましょう]

射「…異国の子供?」


 この日から、日記の内容が変わっていった。

異国の子供を軸として、日記が進んで行く…


[*月*日

 あの子供、なんて憎たらしいのかしら(怒)

 シヤ様にベタベタ触りすぎ喋りし過ぎですわ(怒)

 患者の身分で見逃していますけど、なんて憎たら

 しい、醜い、子供なんでしょう(怒)

 さっさと退院して居なくなってほしいですわ]

[×月×日

 …あの子供が来てから、シヤ様の様子がおかしい

 ですわ

 ここ暫く、あの子供の診察を終えるとずっと自室

 な籠っては何やらブツブツと喋っていて、私の言

 葉なんか届いていない…

 それでも、私はシヤ様についていきますわ!

 この診療所を辞めて、向こう側にある大門道病院(・・・・・)

 に移って行った奴らとは違って、私は最後までシ

 ヤ様に従っていきますわ!]

射「!!

  大門道病院!?」


 日記の中に、大門道病院という文字が書いてあった。

向こう側…僕は窓の方へ近づいて、外を見てみると、少し離れた場所に大きな建物があった…

アレがもし日記の通りなら、あそこは大門道病院になる…


射「…じゃあ、ココは?

  離れ?いや、旧(ふる)くて使われなくなった大門道病

  院?

  …分からないな」


 とりあえず、続きを読んで見よう。

この日記の書き手とシヤと呼ばれる医者(じんぶつ)と異国の子供の関係が気になるし…

────────────────────────

幽霊(ザコ)共を調伏(いっそう)して、再び病院内が静かになる。

結構量が居て大変だったけど、準備運動には丁度良い数だったな。


空「…にしても、殆(ほとん)どの幽霊が傷だらけでボロボロ

  だったな

  包帯が巻かれていた奴も入れば、内臓が飛び出

  していた奴とか…

  幽霊に殺される時、それは残酷に殺されたんだ

  ろうな」


 でも何故そこまでしてまで生者(にんげん)殺すのだろう?

幽霊なんだから、物理的に殺さずに精神的に殺した方が良い。

それとも…"物理的に殺す理由"があるのだろうか…


空「幽霊の行動原理は分からんな

  とりあえず、早く死んで(じょうぶつして)くんねぇかな

  …!!」

(バッ!!)

(ガンッ!!)


 何か嫌な気配を感じた俺は、咄嗟に結界を展開させて、身を護る。

そしたら、俺が来た方向から何かが飛んできて、展開した結界に突き刺さる…


空「コレは………メス?

  …それに………注射器?」


 俺の元に飛んで来たのは、医療器具だった。

どれもが鋭利なモノであり、刺さったら痛そう所では無さそうである。


空「コレは…とうとう幽霊(ザコ)の本命が出てきたか」

「誰が雑魚(ザコ)ですって?」

空「!!」


 俺の前に、青白い看護婦(ナース)が現れた。

まぁ、どっからどう見ても普通の看護婦(ナース)じゃ無さそうだけど。


空「なんだお前」

「私(わたくし)?

 私は木綱(きずな) 治子(なおこ)、シヤ様(・・・)の専属看護婦(ナース)ですわ」

空「ナース…シヤ様?」

治「全く、騒がしいと思って来てみたら、侵入者(ねずみ)が

  入りこんでいたなんて

  ココは病院、シヤ様の根城…少々静かにしてく

  ださる?」

空「幽霊が襲ってきたから、俺も抵抗して退治した

  んだ」

治「あら、貴方…幽霊達(ザコども)の相手をするなんて…

  なんなのかしら、今までの人間(ねずみ)とは訳が違いそ

  うですわね」

空「ふん、俺は无色(むしき) 空泡だ

  俺はこの病院に蔓延っていると言われてる(迷

  惑な)霊を退治しに来た」


 俺は錫杖を突き付けて、ナース霊に布告をする。

さっきの攻撃を見る感じ、アイツがこの廃病院に来る人間を抹殺しているんだろう。


治「………!!

  …はい……はい…

  ……かしこまりました、直ちに…」

空「何ブツブツ話しているんだ、気持ち悪い

  お前の目的なんかに興味は無いが、幽霊(ザコ)は幽霊(ザコ)

  らしく地獄に成仏しとけよ」

治「あらあら口煩(うるさ)い人間(ねずみ)ですこと

  でも良いですわ、貴方は今までやって来た人間

  とは違う様ですし…今すぐ生け捕りにして、シ

  ヤ様の元に届けてやりますわ!

  シヤ様万歳!!貴方の為なら私は何でも殺りま

  すわ!!」


|


 僕はページを捲(めく)って日記の続きを見る。

今居る場所が大門道病院とは違う場所だと言うのが分かったから、他に何か情報が無いかを確認してみる事にした。


射「次のページは………アレ?」


 次のページを捲ってたら、そこには何も書かれていなかった…

書き忘れたのかなと思いつつ、次のページを見てみるも、次のページも書かれておらず、空白のページが暫く続いた…


射「どうしたんだろう…あんなに熱心に書いていた

  のに…そろそろ最後のページになっちゃうよ…」

(パラッ)

射「…あっ、ココから書かれてる

  ちゃんと書かれてる、どれどれ…」


[あの子供がシヤ様を刺した]


射「………えっ?」


 そのページに書かれていた最初の文字を読んで…僕は驚きの声が出た…

なんの突拍子も無く書かれたその文に、僕は背筋が凍りつつ、続きを読んでみる事にした…


[シヤ様は…今日もあの子供の手術をしていた…

 シヤ様が考えた特別な手術(・・・・・)で、長い時間をかけて

 子供の手術を終えた時の事でした…

 まだ麻酔が効いて、眠っている筈の子供は…何故

 か動きだして…近くにあった鋏(ペアン)を持って…シヤ様

 を滅多刺しにしました…

 腹部を何回も刺して…眼球を抉ったり、潰した

 り…顔の原型が無くなるまで…

 恐ろしい…なんて恐ろしい!!

 私は咄嗟に逃げて…今、この日記で証拠を残して

 います…

 やっぱりあの子供は普通じゃなかった…いや……

 シヤ様のせい(・・・・・・)で…普通じゃ無くなった…

 …いいえ、そんな事ある訳無いですわ!!

 シヤ様は正しい、シヤ様の手術は完璧でしたわ

 あの子供…許さない…許さない許さない許さな

 い許さない許さない許さない許さない!!!!!

 シヤ様を殺した…シヤ様の優しさと慈悲を無下に

 したあの子供を!!

 もう体力は瀕死の虫より無いでしょう…私はコレ

 からあの子供を始末(・・)してきますわ

 シヤ様の無念と、私の怒りをあの子供にぶつけ

 て(※この先は血が付着していて読めない)]

射「………」


 最後のページまで読んだけど…最後は…大量の血が付着していて、少ししか読む事が出来なかった…

この日記を読んで、色々分かった事と、分からなかった事がある…

きっと廃病院で殺された人間は日記に出てきた“異国の子供“に殺されたんだ。

でも内容的に、“シヤ様“という医者と“私“という看護婦はこの診療所で異国の子供に殺されたんだよな…


射「それがなんで大門道病院に…

  あと…“特別な手術“とは一体…」

(カランコローン)

射「!!」


 廊下の方から、何か軋(きし)む様な音が聞こえた…

僕は日記を鞄の中に入れて、廊下の方に出てて、音の正体を探る…


射「……誰か居るの?」

(………)

射「…誰も居ない

  ……?コレは…」


 僕の足元に、何か金属の……鋏(ハサミ)?らしきモノが落ちていた…


射「コレは…なんだろう?

  ……あっ、名前が書いてある」


 持ち手の部分に、名前らしき札が付けられていた。

文字を読んでみると…英語で“Frazial(フラジアル)・Harmend(ハーメンド)“と書かれていた…


To be continued

( *・ω・)ノ丫∀☆ #モノです。

廃墟探索する機会があったら、行きたいです。

=====================================


キャラクター


*无色《むしき》 空泡《くうた》


奇霊な少年。


幽霊退治の専門家です。

物理的で退治するのが一番楽です。


*夏芽《なつめ》 射竜《うりゅう》


呑気な少年です。


心霊カメラマンです。

身の安全より、好奇心が勝ちます。


*木綱《きずな》 治子《なおこ》/非道の看護婦


非道の看護婦。

荒療治をする霊能力を持つ。


死んだ看護婦(ナース)です。

生前はシヤという医者を慕い焦がれていました。

シヤの為ならなんでも手伝ったり、シヤの関係無い所でも勝手に色んな事をしていました。


基本、頭と行動原理はシヤしか無いので、患者の事なんか何も考えていません。

せいぜい邪魔な奴らとしか考えていません。

そのせいで誰からも好かれておらず、残念な事にシヤからも特に好かれてはいません。

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