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122/122

4

 唐突に蘇ったのは崢の言葉だった。

 おまえは死んじゃならねえよ。

 彼は確かにそう言った。


 えなが篤史を見つめている。突如として恋人を奪われ、それでも気丈に振る舞ってきた、肝っ玉の据わった、十六歳の少女。恋人への想いがついに破裂して、線路の上へ、篤史を誘いこもうとしている。


 電車が近づいてくる。轟音を伴いながら。


 マウンドに戻れよ。

 崢は言った。笑って。

 託すよ、おまえに。

 そう言って篤史にボールを託した。


 篤史はすっと手を伸ばし、えなの手を握った。かさかさに乾いた枯葉のような感触を手のひらに感じた。


 猛スピードで電車がゆく。


「同士だ」

 えなが笑った。

「あたしら、あいつを想う、同士」

 手を握り返されたような気がした。





                   完





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