第9話 初めての痴話げんか
【短編】で投稿した『ぼくは、幻聴に恋をした(改)』を【完結版】として連載投稿開始いたしました。完結しておりますので、最後まで楽しんでいただければ幸いです。
ちなみに、第1話は、【短編】と同一の内容になっております。前作を読んでいただいた方は、第2話からお読みいただいても大丈夫です。まだの方は、第1話からお読みいただけると、より楽しめると思います。
おじいさん宿での一泊にぼくは、ほっとした気持ちになれなかった。
ナナコさんの封印を誰がしたのか?
ナナコさんの隠し事はなにか?
どうして隠すのか?
ケインさんは、ご両親とうそをついたのなぜか?
ぼくは、ショックを受けていた。
あったばかりのぼくにすべてを話すのは、無理があるとおもうんだけど。
ぼくの知らないナナコさんに、暗い気持ちをいだいた。
宿で、ウィングを呼んだ。
ウィングにケインさんへのお届け物の報告を、ヒトシさん宛て届けてもらうためだ。
ケインさんのご両親には、受け取りのサインをもらえなかった。
準備万端にしていただけにショックが、じわじわ湧き上がる。
ぼくは、こんなんで大丈夫だろうか?
ほんとにやっていけるのか?
「ホーリー!元気を出しなさい」
声と一緒にぼくの背中に衝撃が走った。
痛ったー!
「ホーリーさんが信じてくれたおかげで、わたくし、幻聴から幻覚そしてついに、ポルターガイスト現象までできるようになりましたよ!」
「ナナコさん。ナナコさんは、どこを目指しているんですか?」
「ホーリーさんが、笑ってくれると思って…」
えっ!?励ましてるつもりだったの?
「そうです!!励ましてるんです」
ナナコさんってば
「ホーリーさんが考えているようなことはありません。隠しているのではなく、記憶が曖昧なんです。信じてください」
ぼくの手をナナコさんが、ギュっと握った。
「ケインさんのことは、わかりません」
「えぇ!そんなこたえって」
「ケインさんじゃなければわかりません。今度あったら、本人に聞けばいいのです」
「
正直にこたえてくれるかな」
「わかりません。ホーリーさん、長年生きている先輩としていいますが、自分の作りだした妄想にアレコレ思い悩むのは、おやめなさい。わからないことは、『聞く』。その後に『答え』を信じるかどうかは、その時決めればいいんです。今ではありません。思慮深いのは美徳ですが、
過ぎれば臆病風に吹かれているのとおなじです」
ぼくの心に突き刺さった。
そうかもしれない。
今までのぼくの生き方には必要なときもあったが。
「ホーリーさん、ダブロフはいません。あなたが卑下してまで、相手の顔色をうかがうような必要はありません。もう、そんなことは不要なんです」
ナナコさんの手が肩に置かれ、励ますようにポンポンとたたかれた。
「そうか。ぼくは、追放」
「ちがいます!あなたは、独立したんです!!しっかりなさい!ホーリー社長!!」
えっ!?
「だってそうでしょう?ポーター専属で独立しているんですから、会社ってことでしょう」
「そっそうですか?…よくわかりません」
「まぁ?困りますわ、『社長』!!わたくしは、ホーリー社長の右腕なんです。つまり秘書です。堂々としてくださらないと様になりません。見ようによっては、まるで旦那を尻に引く鬼嫁みたいじゃないですか」
あっははは。
思わず笑った。
「やっと、笑った。昨晩から暗い顔をして、ふさぎ込んでいたので、心配でした。心を読むのは簡単ですが、そうゆうことは、したくなかったんです。ホーリーさんの感情を読み取るのとは、わけが違う気がしました」
「ナナコさん。心配かけてごめんなさい」
「謝らないで。わたくしの言い方がわるかったんです」
「そんなことありません。」
ぼくらは顔をみあわせた。
なんだか、おかしい。
「フフフ、そうですね。私たち似たもの夫婦みたいですね」
言わずもがな、ぼくはまっかになった。
「っとにかく、王都を目指しましょうナナコさん!」
顔が熱いよ。ナナコさん!
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