第20話(最終話) 異色の夫婦が、王都一のポーターを目指します!
【短編】で投稿した『ぼくは、幻聴に恋をした(改)』を【完結版】として連載投稿開始いたしました。完結しておりますので、最後まで楽しんでいただければ幸いです。
ちなみに、第1話は、【短編】と同一の内容になっております。前作を読んでいただいた方は、第2話からお読みいただいても大丈夫です。まだの方は、第1話からお読みいただけると、より楽しめると思います。
ナナコさん、ぼく、ヒトシさんと黒いキツネの戦いは、突如おわりを告げた。
黒いキツネは、もともとナナコさんと互角の力を持っていた。
そこへ、ヒトシさんと戦力外にひとしいぼくが加わったのだ。
何とかなるもんだ。
意外だったのは、ぼくが、黒いキツネのとどめをさしたことだ。
ふたりがかりで、やっと抑え込んでいる黒いキツネの力は想像以上だった。
「ホーリー、なんかできねえか?巨大化するとかよ」
「ぼくには、そんなこと」
「ナイリの愛しい小童になにができる」
「黙りなさい!!ホーリー様!あなたには、天部の才がございます」
「そんなのないよ、ナナコさん」
「あります!!わたくしを信じてくれるなら、このナナコ、天地神明に誓いホーリーさんのスキルを発現させます」
「マジか!?すんげえのか、ナナコ」
「ヒトシ殿、さっきから、気になっているのですが、なぜ、よびすてですか?」
それって、今いうことかなぁ
「えええっ!ヤだった?」
あったりまえだ。
いい気はしないよ、ぼくだって。
「夫でもない者からのよびすては、子女が嫌うところです。気をつけなさい!」
「もう、そんなことよりナナコさん、おしえてください!!」
「ゴチャゴチャ抜かしている余裕があるのか!貴様ら!!」
黒きキツネは、より一層のちからを二人にかけた。
「ナナコさん!おねがいします!!」
「短剣を構えて」
「はい!」
「黒きモノに突っ込みなさい」
「はっぃぃぃぃぃぃ!?」
ぼくは、いわれるがままに黒いキツネに突進した。
当たる直前にナナコさんが
「『伸びろ剣』と命じなさい!!」
「伸びろ剣!!!」
思えば、ヒトシさんから初仕事のあの日にもらった短剣には、何度もたすけられた。
ありがとう。ヒトシさん。
短剣の刀身がゆうに3メーターは伸びた。
無論、黒いキツネを刺し貫くには、十分だった。
刀身の重さのせいでバランスを崩したぼくは、あわや、体を二つ折りにした黒いキツネにつぶされそうになった。
けれど、すんでのところで、ナナコさんが、救出してくれた。
さして広くない、峠での一戦で黒いキツネの遺体は、谷底へ落ちていった。
「オイ!どうなった?」
「わかりません」
「おそらく、助からないでしょう」
「ほんとかよ。むかし、ナナコさんに倒されたのに復活したんだろう?『黒きモノ』っつて。」
「あのときは、深手をおわせはしましたが、とどめはさしていません」
「なんでだよ」
ナナコさんは、ちらりとぼくを見た。
「公子が命まではとるなと」
「はぁはぁ~ん。昔の男に言われて、やめたのか。オイ、どーする、ホーリーヤキモチやいちゃうなぁ」
「ハイ。でも、それでよかったんです」
「なんでだよ~」
「ナナコさんに良くないなにかがとりついたりしたら、嫌です」
「ホーリーさん」
「でも、これは、ぼくの考えです。公子ではありません」
「ちぇっ!つまんねぇーなー。いっぱしの男になりやがって」
「ハイ!ヒトシさんのおかげです」
ブーブー言うヒトシさんの真横に突如、『魔法使いのお兄さん』があらわれた。
「すんだようですね。じゃ、謁見の間に戻りますよ。皆さん、ご一緒に!ハイ!!」
「前からよぉ。思ってたんだが、お前の呪文?かっちょ悪いよな」
「ヒトシお前は、カタツムリにな~」
「ダメです~。やめてください。『トート』様」
トート様!?
「ケインちゃん、君だけ特別に教えてあげたんだよ。私のマナを」
「マナってなんですか?トートさん」
「おい、小僧、ちょっと活躍したくらいで、気安く呼ぶんじゃない!!」
「ホーリーさん、マナは本名のことです」
「なんでも知ってるんだね、ナナコさん」
「それほどでもありませんわ」
「そこ、勝手にいちゃつくな!!魔獣の系統なら、知ってて当然だ!」
「トートさん、少し度量が狭いです」
「うるさっい!お前は何だ、さっきから」
「そうだよなートート。アイツ、ここに戻ってからイチャコラしすぎだよな」
そうなんだ。
ぼくは、今、ナナコさんとイチャイチャしています。
謁見の間にもどってから、ケインさんをはじめ、ヒトシさんの仲間たちと軍務大臣から色々いい話ばかり聞いたせいだ。
国王陛下は、ご乱心なさり、執政権をセリーナ王妃へ譲渡した。
ご乱心の原因は、セリーナ王妃があらわれたからだ。
目覚めたセリーナ妃は、兵士たちにつれられ、謁見の間に参上された。
「みんなをびっくりさせて、王とエーベンバッハの度肝をぬいてやったの!」
セリーナ妃の提案した国王神輿で登場したそうだ。
キンピカの玉座に神輿のように担ぎ棒をつけただけらしい。
「急ごしらえのわりに、よくできていました。担ぎ手は、たっくさんいますから。兵士たちが」
「『悲運の王妃』というふれ込みだったんですが、意外とお姉さまは」
「はい。ユニークな姉です」
度胆を抜かれた登場が原因か、はたまた、自分の命令で、暗殺されたと聞いていた王妃がいきていことが原因かは不明だ。
だからこそ、国王陛下がご乱心になるのも、無理はない。
エーベンバッハは、セリーナ妃自らの告発により獄中いきとなった。
ダブロフも同様だ。
「今回の件で、もろもろあっち側に手をかした連中は、み~んな監獄行きだ」
意気揚々と軍務大臣がおっしゃっていた。
ぼくは、興奮さめやらない謁見の間で、ナナコさんにもう一度、告白をした。
いや、
「あれは~、どーみてもプロポーズよ」
女性陣からとても不評だった。
「お願いとか、お伺い的な前置き一切ないのはねぇ」
「ケインちゃんとセリーナちゃんはどうよ」
「はっきり言っていただけると嬉しいです」
「ええっ!?ロマンチックの欠片もないじゃない」
「ダンナー。ハッキリだって、ケインちゃん」
興奮ではなく、阿鼻叫喚の間違えでした。
ぼくは、こんなルツボと化した場所で頑張った。
「ナナコさん!ぼくと結婚して、王都一のポーターになりましょう!」
「ホーリーさん。……だめですわ」
「おねがいします!!」
「わたくしのような『魔獣』はだめです。不釣合ですわ」
「お願いします!!!」
「だから、もっといい方が」
「いやです。おねがいします!!!!」
「ホーリーさん……」
「ヒトシさんから言われたんです。一度くらいであきらめるなと!!!!!」
外野から、アレレレ~、一回とかじゃなくない?と聞こえたが、むろん無視だ。
「けれど、わたくしは、齢6000年も生きている超~年上です」
「ぼくは、もう絶対にはなれません。たとえ、死が二人を分かつとも。ぼくは何度でも何度でもナナコさんの前にあらわれ、愛をちかいます!!」
「それって、ストーカー型の輪廻転生だぞ。怖いなぁ~」
だれだ、このヤジは誰だ!?
このヤジもむろん無視だ。
ぼくは、負けない。
でも、ナナコさんには刺さったようだ。
「……ほんとうですか?」
「はいはいはいはいはい、ほっとうです」
「よろこんでー!!ホーリーさん!」
ぼくらは、また、お届け物を運んで旅の空だ。
ケインさんは、ヒトシさんと冒険の旅をつづけている。
ケインちゃんとして。
それと、ケインちゃんは、勇者パーティーミスコンなるもので、ミスに輝いた。
でももうすぐ、『ミス』ではなくなるらしい。
ヒトシさんのパーティーへのお誘いも受けたが、丁重に断った。
理由は、前回と少しかわり、ナナコさんと『夫婦ふたりで』王都一のポーターになるからだ。
それならば、俺に力を貸してくれと、内密にヒトシさんから話があった。
ヒトシさんをつうじて王家の使者として諸国を回ってほしい。というものだった。
それもこれも、ケインちゃんのお姉さまのちからになるためだ。
セリーナ女王陛下は、次期国王が決まるまでは、女王として執政に邁進すると話している。
「例え、『傀儡』と言われてもかまいません。亡くなった父の願い、国民の平和な暮らしを守りたい」
セリーナ女王陛下は、やっぱりちゃんとしていた。
だから、ヒトシさんからのこの申し出は、受けることにした。
ぼくとナナコさんとウィングが一緒に、諸国をめぐるポーターをしながら、執政の手伝いをしている。
王都での一件でぼくらは、一躍、ヒーローになったから。
「ナナコさん!もうすぐ、おじいさんの宿につきますよ」
「今や、人気の宿だそうですよ」
「アッハハハハハハハ。あんなにごはんがアレなのに!?」
ぼくの幸せは、、幻聴を聞いたあの時からはじまった。
完。
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