30.開店
魔王の仲間5人への料理指導も終わりとなった。
シーラと俺で指導し他は試食係、魔王のOKもでたので明日から開店予定だ。
「皆ご苦労であった。いよいよ明日開店するが明日は知り合いも呼んで
練習みたいなものだから気楽にやろう。」
「シーラご苦労さま。」
「ナオヤ、シーラご苦労であった、皆もな。」
「教会へ行って子供達を招待しよう。前に話してあるが今日も言っておかないと。」
「私は今日はここに泊まる。」
「ああ、行ってくる。明日の朝子供達を連れてくる。」
さすがの魔王も疲れているようだ。
◇
姉妹とメイリンを連れて教会へ行き明日の招待について話した。
「子供達も喜びますわ。」
「宣伝も兼ねてるからこっちも助かる。明日の朝迎えにくるから。」
「準備は順調だな、帰るか。」
「帰って夕食にしましょう。」
「食べ過ぎて太りそう。」
「夕食は軽めにしましょうか。」
◇
朝になり子供達を連れてやってきたが魔王が「ホットドッグ」
を連呼している。多くの人間にとって畏怖の対象なのだが
普通の子供が家のお手伝いでもしてるみたいだ。
「おはよう。」
「来たか。」
「人数分頼むよ。」
「ああ用意してあるぞ。」
「さーみんな、これがホットドッグだ食べてー。」
「「ありがとう。」」
子供達が美味しそうに食べだした。
「美味しいだろう?」
「俺達も食べよう。」
みんなでホットドッグを食べてると通りがかりの人も興味が有りそうに見ている。
「さー美味しいホットドッグだよー。この店だけのもの他では買えないよー。」
「1つくれ。」
つられて買ってく人も出てきた。
「ピザもあるよーこれもこの店だけ他で買えないよー。」
「ピザも頼む。」
「さーみんなこれがピザだ。」
「美味しそう。」
みんなでピザを食べてたら立ち止まる人も増えてきた。
その中にカイルとフィーリアもいた。
「よう、何してるんだ?」
「おはようございます。」
「ああ、孤児院の子供達だ。この子達に食べさせたくてね。
他で売ってない新しい食べ物だから君らも食べて行けよ
美味しいぞ。」
「ほう、なら食べていくか。」
「どっちにするんだ? いま俺が食べているピザなら店の中だ。
ホットドッグなら屋台だな、どっちも旨いぞ。」
「そうだな、ホットドッグにしよう。2つくれ。」
「はーい、どうぞ。」魔王が2つ差し出した。
「おまえの店か?」
「いや、そうじゃない。」
「見たことないものだわね。」
「店には他にもいろいろとあるぞ。女性向けの美味しいのが。」
「あとで店も寄ってみるわね。」
「知り合いも呼んできてくれ。」
「そうするわ。」
「子供達を教会へ送っていくわね。」
「ああ、頼む。」
シーラとミリーが子供達を連れて行った。
「カイルも知り合いを連れて来てくれ。」
「ああ、そうする。君もたまにはギルドへ顔を出してくれ。」
「そういえば最近行ってないな。近いうちにいくよ。」
「そうしてくれ、引退には早いぞ。」
「ああ、分った。」
ふたりはそう言って去っていった。
「もう1つもらおうか。」
「明日も子供達に来てもらうか?」
「もう少し様子を見てからだな。」
「そうだな。」
「中でお茶でも飲んでくる。」
お茶を飲んで待ってると姉妹が戻って来た。
「お帰り、お茶でも飲んで休んで。」
「シスターがお礼言ってたわ。」
「子供達は外食なんてしないからね。」
商人のロイが来た。
「開店おめでとうございます。さて何にしようか。」
さっそく食べに来たか。
「おすすめはハンバーグかな。例の道具でミンチにしてるから。」
「ではハンバーグを。」
「これがハンバーグ、あの道具を使うとこうなるのか。」
「美味しいでしょ?」
「ええ、すごく美味しい。」
「工房の職人さんにも食べてもらいたいな。」
「食べたらきっと感動しますよ。」
「これの作り方を教えてもらうことはできますかな?」
「ここで作ってるから見ていったらいい。」
「レシピと道具を一緒にすれば売れそうだ。まずは領主に売り込んでみます。」
馬車が止まり領主の娘のティラと弟が降りて店にきた。
「ナオヤさんお久しぶりです。」
「弟のバルド・アーミテイルです。」
「冒険者のナオヤです。」
「お礼がまだでしたね。治療ありがとう、おかげで助かりました。」
「ここはナオヤさんのお店ですか?」
「いえ、手伝っているだけです。」
「せっかくですので食べていきます。」
ふたりは食事して帰っていった。
「あの様子なら道具を買ってくれそうですな。」
ロイがニンマリとして言った。
「気に入ってくれたようだ。」
こちらの世界でも子供はハンバーグが大好きだ。
領主の馬車が来たせいかそれから客が増えてきて忙しくなりそうなので退散した。
◇
夜になり魔王が帰ってきた。
「午後は忙しかったぞ。」
「なんとかなりそうだな。」
「うむ、いけそうじゃな。」
「祝杯をあげよう。」
「そうじゃな、そうしよう。」
「おめでとう。かんぱーい。」ミリーがコップを掲げた。
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