29.来訪
魔王の仲間が来た、今回は5人。男2女3で口数が少ない。
慣れない人間の世界で警戒しているのかもしれない。
船は制作中だがソーセージの制作道具は納品済み。
追加でホットドッグ用の屋台と厨房にピザ焼きの窯、
さらに肉をミンチに出来る道具も作ってもらった。
肉を入れハンドルを回すとミンチになる優れもので
工房は苦労したようだがこれでハンバーグも楽に
作れそうなので、作ってみたら好評でメニューに追加と
なった。特にメイリンが大喜びだ。
「ジューシーで食べやすくて美味しい。」
「ソーセージもいいけどこっちが好きだな。」
店舗で料理の試作及び試食会となった。
「5人は長旅で疲れているだろうから2日は休んで近所の散歩でもしろ。
その後で実際に料理を作ってもらおう。ナオヤ、シーラ指導を頼むぞ。」
「うちの皆は今日の料理は初めて食べたであろう。
これは彼らが考えて作ったもので他の人間も知らない。
誰もが知らない料理を売るのだから初めは苦労するだろうが美味しいのだから売れるだろう。
後は皆の頑張り次第だと思う。
この料理のレシピを提供してくれた上にいろいろと
準備なども手伝ってくれた彼らを信用して感謝しろ。」
「はい、魔王様」
「ナオヤ、ソーセージは保存食にもなると言ってたな。」
「ああ、生だと直ぐにダメになるから茹でたり蒸した後直ぐに冷やせばしばらくは持つが、
保存食にするならその後に乾燥させて燻製かな多分。
燻製に詳しい人に聞いた方がいいな。」
「燻製にして保存食として売れるんじゃないか?
行商にでる商人や旅人に需要がある気がするが。
遠くへ行くなら多く買っていくだろう?」
「んー保存食も需要がありそうだけど燻製が難しそうだ。
魔王様の仲間に誰か燻製に詳しい人はいないのかな?
いないなら今後の課題として保留したほうがいいかも。」
「そうだな、今は店と屋台を軌道に乗せるのが先だな。
誰かいたら考えよう。」
「話は変わるが商人から買った紙が羊皮紙だったんだがここには紙はないのかな?」
「羊皮紙以外の?」
「そう羊皮紙以外の紙。見たことないから。」
「貴族が使っているような紙かな?」
「そうかも、あるのか。」
「輸入品だから高くて使えないわよ。」
「そうなのか。屋台で売るホットドッグを包むのに使えるかと思ったが無理だな。」
「作り方を知っているのか?」
「全部じゃないけどある程度は。
しかし輸入品だと目立つからやめたほうがいいな。
貴族が使うものなら直ぐに誰かが気づいてここへやってくる。」
「そうだな、王都に目を付けられるのはまずいな。」
「目立たずに売る方法があればいいが無理かな~
高価な紙でホットドッグを包むのも変だろうし。」
「今回作ってもらった道具は売るんじゃろ?」
「ええ、そっちは商人さんに任せようと思ってる。道具屋でも開くつもり?」
「道具屋か、他にも売れそうなものがありそうじゃな。」
「有るけど、大丈夫かな。」
「考えておこう。」
「物じゃないけど他に考えがある。」
「聞こうか。」
「そうだな、例えばシーラは隣の街に手紙を送る時はどうする?」
「手紙を商人さんに届けてもらうかな。」
「それだと何日もかかるよね。」
「他に方法がないから。」
「言葉を信号で伝えればその日に届けることが出来る。」
「信号?」
「モールス信号と言うのがあって、文字の1つ1つに
信号を割り当てる、『あ』なら『トントーントン』とか
それを光の点滅でやり取りすれば遠くの人と会話ができる。」
「モールス信号は分かった。」
「手紙を預かったら信号で遠くの街へ伝える。
受け取った者はそれを手紙にして相手に届ける。
これなら手紙がすぐ届く。」
「なるほど、いい考えじゃな。」
「商売になるとおもう。
最初は商人とか冒険者ギルドが利用してくれるだろう。
高台に家を確保してあとは中継する場所が必要かな。
国中の街に拠点を作ればどこへでも伝言がとどく。」
「商人にとっては情報収集と伝達は重要だからね。
冒険者ギルドも応援を要請したり盗賊や危険な
モンスターの動向を早く伝えられるから便利でしょ。」
「情報漏れを恐れて貴族は利用しないじゃろ。」
「彼らは早馬をだしますよ。こっちは街の伝言屋ですから。
後は望遠鏡が必要かな。昼間は遠くの光が見えずらいから。」
「望遠鏡?」
「遠くが良く見えるような道具です。透明なガラスがあれば作れます。
ガラスって作ってる?」
「有るけど、透明なのは見た事ないわね。」
「商人に聞いてみるか。望遠鏡が無理なら伝達は夜にして
翌日手紙を届ける。それでも早いでしょう。」
「これも検討しよう。」
「今日は終わりにしようか。」
「ああ、2日休んでから続きをやっていこう。」
「店が開店したら孤児院の子供達を招待したらどうだろ。」
「あら、またですか。」
「いや、客寄せになるかなと。」
「なるほど。」
「子供達が屋台でホットドッグを美味しそうに食べていたらいい宣伝になると思う。
ピザも試食してもらうとか。」
「ナオヤさんが食べてても目立つでしょ。」
「街の救世主だもんね。」
「明日は教会へ行ってみるか。」
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