26.日常
あれから5日が経った。
外出は控えめにし食材の買い出しのみにしていたが、
さすがに限界が近いので今日は皆で散歩でもしようと提案したら皆大喜びだった。
皆もストレスたまってたのね。
というわけで今日は皆で出かけた。
沖合の船はまだ2隻残っているが街は平穏だった。
守備隊が海へ漕ぎだすところも皆見ていただろう。
そんな中で1隻を沈めたことで安心感があるのだろうか。
皆であれこれ見て回ってははしゃいでいると海賊の件は過去の事という気がしてきた。
「これはまだ食べた事ないわね。」
「それは、ちょっと見た目がグロイ。」
「頭を切り落とせば最初の形なんてわからないわよ。」
「もしかして今までもだしていた?」
「ふふふ。」
「お姉ちゃん。」
そうしていると噂話が聞こえてきた、どうやらあの船は商人へ売却されたらしいと。
そして守備隊には報奨金がでるらしいと。
どうやら対外的には領主と守備隊で事件を解決したことになるようだ。
そのほうが俺にもいろいろと都合がいい。
「船か、ふ~む、船が手に入れば森の向こうにある海沿いに村を作れるかもしれんな。」
「森の向こうって、確か危険なので放置されてるんだよね。」
「人間だと軍隊が出動する案件だが、われわれなら可能じゃ
それに船があれば必要な物資と共に運ぶことができるじゃろ?」
「普通は陸路で行けない孤立した危険地域へ行く人間はいないだろうな。」
何かあっても退路が無いとこなんていやすぎるが魔族にとっては都合がいいかも。
危険な森が人間を遠ざけてくれる。
「遠くへ行くわけではない、陸が見える範囲で行動するなら船もそう難しくもないであろ?」
「ガレー船ならその認識で大丈夫だろう。」
この世界では人力で船を漕いでいく小さな帆を付けたガレー船が主流らしい。
「レストランで食事にしよう。」
「賛成ー。」
「美味しいのたべるわよ。」
「ここも久しぶりじゃの~。」
「ここは海産物を使った料理が美味しいよね。」
海産物料理を食べていると不意にパスタが食べたくなってきた。
「海の幸たっぷりパスタとか旨いんだよなー。」
「パスタ?」
「ああ、麺のことパスタとも言うんだ。ちじれてない真っすぐな麺ね。
夕食に作ってみる? 貝とエビのスープに麺をいれたようなやつ。
麺は作るからスープはまかせた。
ラーメンよりこっちのほうが皆にはいいかも。」
「こんにちわ。」
フィーリアが通りかかって挨拶してきた。
「こんにちわ、元気そうだね。」
「ええ、おかげさまで、日常生活はもう問題ないわ。」
「順調そうでなによりだ。」
「聞きましたよ、大活躍だったそうで。沖の船が沈むところは見ました。」
「ああ、少し手伝っただけだよ、海賊を捕まえたのは衛兵だしね。」
挨拶を済ませフィーリアは去っていった。
「ところで前に話した商売の件なんだが、そろそろ店舗を探そうと思ってな。」
「ああ、それならこれから二人で商人の所へ行こうか。」
魔王と二人で商人の所へ行き、他の皆は買い物の続きを楽しんでもらうことになった。
「聞きましたよ、大活躍だったそうで。」
「商人さんは船を買ったんですか?」
「狙ってたんですが、他にもっていかれまして。」
どうやら噂は本当だったようだ。
魔王から要望を伝えてもらう。
「店舗ですか、探しておきましょう。」
「頼むよ。」
そうして店を後にする。
今日は久しぶりに皆で外出したが、散歩しながら買い物し
レストランで食事するいつものパターンで変化が欲しい。
なにか娯楽を考えたほうがいいのだろうか。
定番のオセロとか他には釣りは女性向けじゃないし
海だとマリンスポーツ?
小さな船でも借りて小島でキャンプとか。
これから考えておこう、なにか気晴らしできるようなことを。
帰ったら皆に相談してみるか。
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