24.海賊
皆で教会へ向かって歩いている、今日は教会へお手伝いの予定だ。
「シスターが美人ですもんね。」
シーラのほうがスタイルいいのに、と思いながら胸をチラ見すると肩を叩かれた。
「教会へ何しにいくのやらね。」
「たまに手伝いにいくことになってるから。」
「おはようシスター。」
「おはようございます。」
「今日はお手伝いに来ました。」
「ありがとうございます。まずはお茶でも飲みましょう。」
お茶をのんで治療院へ移動し治療を開始、若い女性が来なかったので平和だ。
シーラとミリーが手伝っているが特に何も言ってこなかった。
「今日は少ないですね。」
「ええ、平穏なのが一番です。教会としては少し困ることもありますが。」
治療後の寄付金は教会の大事な収入源なんだろう。
奉仕活動は午前中で終えて教会を後にした。
「レストランで食事にしよう。」
午後は再度麺作りに挑戦だ、やっぱり美味しいラーメンが食べたい。
産地の違う小麦粉を半分混ぜてやってみたら昨日よりましになった。
こねるのもましになってきたので材料のせいなのか判断がつかない。
これから試行錯誤して少しづつ良くなっていけばいいと思う。
スープはシーラが作ってくれたので試食となった。
昨日より美味しくできたと思う。
夕食を終えお茶を飲んでいたら街が騒がしくなっていた。
何事か確かめると港の沖に船が3隻停泊し小舟が何艘も近づきつつあるという。
二階へ上がり海を見てみると沖合には船があり小舟が30艘以上近づいてきている。
暗闇に紛れて近づく多くの小舟に人々は警戒しているようだ。
「港へ行こう。」
港へ行くと街の衛兵30人程が前で警戒し後ろに冒険者達と住民が心配そうに見ていた。
その中に冒険者のカイルもいた。
「カイルあれは何だ?」
「ナオヤか、来てたか。あれは海賊だろう暗闇に紛れて近づくなんざあやしすぎる。」
「どうするんだ?」
「さて、数が多いな。衛兵だけではどうにかできそうもないな。」
「まずいな、上陸されたら街が滅茶苦茶になる。」
魔王に袖を引っ張られ耳元で囁いてきた。
「私がなんとかしようか?このままでは私の計画がつまづく。」
「待て、それはやめてくれ。」
ええい、しょうがない。魔王の存在がばれるよりましだ。
「ちょっと行ってくる。一発かまして数を減らせば後は衛兵が
なんとかするだろう。」
彼らにも花をもたせないとな。
「みんな驚くわね。」
「気を付けて。」
ひとりで前に出て衛兵の隊長らしき人物に声をかけた。
「冒険者です。攻撃の許可をもらえれば魔法で先制しますが。」
「いいだろう。やってみろ。」
許可が出たので歩きながら周囲を見渡す。
漁師の船は多くが陸に上げられていて少し大きい漁船が波に揺らいでいる。
桟橋を歩いて先まで行き魔力を練ってタイミングを待つ。
船が近づいてきて矢がいくつか飛んできたが届かず手前に落ちた。
陸からの風で相手には逆風になっていた。
そして上級魔法の『トルネード』を放った。
竜巻が船団の中央を通り抜け悲鳴が上がり次々に船は沈んでいく。
残ったのは3艘だけだった。
驚いている隊長に言った。
「後はよろしく。」
そして皆の所へ戻った。カイルも驚いているようだった。
「帰ろうか。」
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