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21.治療

 翌日の朝気分転換で散歩に出かけたらフィーリアに会った。以前治療した冒険者だ。


「調子はどうだ。」


「だいぶ良くなりました、散歩できるようになったんです、傷も残ってなくてよかった、ありがとう。」


「元気になってよかったね。でもまだ無理しないで。」


「はい、しばらくは散歩くらいにしておきます。」


 元気に手を振って歩いていった。順調に回復しているみたいだ。

 手を振った時胸が揺れていた。


「どこ見ているのかな?」


「えっ元気になってよかったなと。」


「どのへんが?」


「変なとこは見てないです。」ふたりとも鋭いです。



 午後、家の前に馬車が止まりティラが降りてきた。


「こんにちわ。」


「こんにちわ。」


「あの、弟の意識が戻りました。朝起きて『お腹すいたー』って、

あなたのおかげです、ありがとう。それでこれを。」


 箱をさしだした。中には金貨が詰まっている。


「ありがとう。」


 馬車は去っていった。領主の件はこれで終わればいいのだが。

 シスターも心配しているだろうから説明にいかないとな。


「あら、お茶でも飲んで行けばいいのに。」


「いや、あれでいい冷たいようだがしかたない。

 家には魔王がいるんだ、ばれたら大変だ。

 それより臨時収入が入ったぞ、明日は旨いものでも食べに行こう。」


「旨いものか楽しみじゃ。」


「高級なのを頼むわよ。」


「たらふく食べていいぞ。」


 ダンジョン地下10階へ行った時の魔石もまだ有るが余裕あるから後で考えよう。



 翌日は教会へ寄ってシスターに挨拶してからレストランへやってきた。


「さー好きな物頼んで。」


 美味しいものを目の前にして皆嬉しそうだが、

ご馳走を前にして魔王は何かを気にしているみたいだった。


 レストランを出ると魔王が消えた。



 近くに隠れていた男がいた。

 男は『鑑定』を使いナオヤを調べていた。

 それが男の仕事だったが結果をみて驚いていた。


『なんだこいつは、すごいレベルだ、スキルもすごいこんな奴は初めてだ。

 俺に依頼が来るのも納得だ。『転生者』? なんだ初めて見る。

 だが、俺は結果を依頼主へ報告するだけだ。次は周りのやつらだな。』


「『鑑定』持ちか、鬱陶しいやつじゃの。」


「誰だ? 子供? だがこいつも『鑑定』を?」


「まあいい、邪魔だ、『石になれ』。」


 男は一瞬で石になった。魔王が軽く押すと倒れて砕け散った。

 そして皆の元へ戻っていった。



「監視されておったぞ。」


「えっ、監視?」


「心配せずともよい。任せておけ。」



 夜、領主の館


「セバス、奴の調査はどうなっておる。」


「調査員を雇って調べさせております。」


「やはりお主らか監視させたのは。」


「誰だ、どうやってここへ入った?」


「理由を聞いておこうか?」


「子供? 奴の仲間か。」


「うるさいぞ、『石になれ』。」


 執事が一瞬で石になった。


「面白いじゃろ? 『言霊』というやつだ。」


 軽く押すと倒れて砕け散った。

 領主は心底驚いていた、目の前にいるのはただの子供ではない。

 人間が勝てる相手じゃない。


「まあ理由はどうでもいいか、手を引け、いいな?」


 そう言うと去っていった。

 領主は虎の尾を踏んでいた事に気が付いた。

 手を引こう、それしかない。


読んで頂いてありがとうございます。

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