わたしの永遠の故郷をさがして 第二部 第九十七章
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ダレルやリリカ(本体=アンナ)をはじめとする、「お茶会メンバー」は、再び会場に呼び出されていた。
ダレルは後年、「あのお茶会に出たのは、一回だけ。」と,しばしば言っていたが、それは彼のプライドが許さなかったためだと思われる。
前と同じ部屋(に見える)で、しかも全員同じ席だ。
ただし今回違うのは、座る前から大量の駄菓子がテーブルの上に積み重なっていること。
そうして、リリカが二人いたこと、であった。
「さて、また楽しいお茶会の日が参りました。」
ビュリア(=女王へレナ)が言った。
「でも、このわずかな間に情勢は大きく動きましたわ。ね、ダレルさん。火星の火山はどうなりましたか?」
「マグマが下がって、当面大きな噴火の危険はなくなった。水蒸気爆発はするかもしれないが。」
「ふんふん。良かったわね。で、もう二時間でおしまいと言うところにまで行った金星さんは?ブリアニデスさん?」
「なんで、ここで僕がそんな報告をする必要がある?しかも、あんたに。」
「予行演習。さあ、言いなさいな。」
「『ママ』の活動レベルが大幅に下がってしまっていたが、ここに呼び出される直前に、平常レベルに戻ったよ。いつまで持つかは分からないが、今日に明日にどういう事はないだろう。」
「良かったね。で、これからどういう話し合いをするお積りかしら?あ、その前にお茶が入りました。」
前回はビュリアが注いで回ったが、今日は彼女は動かずに、アンドロイドらしき若い男性がサービスして回った。
「美男子でしょう?ちょっと、ぎゅっとしてほしくない?」
ヘレナが言った。
「どうぞ・・」
その、とても若く見える美しい給仕は、丁寧にお茶を汲んで回った。
「失礼いたしました。」
全員にお茶を入れて済んだ後、彼は挨拶して部屋から出て行った。
「さて、続きです。で、どうするの?もうお話し合いはおしまい?それとも今後の為に続ける? わたくしとしては、後の方にしていただきたいわ。」
「あんたの指示は受けたくないね。」
ブリアニデスが言った。
「まったくだ。」
ダレルも同意した。
「ほら、だから、あなたがた意見が合うのよ。ね。」
「理由はともかくも、偶然に直前の破滅は遠のいた。だから話し合いをここでしておくべきよ。千載一遇のチャンスでしょう。二度とないかもしれないよ。」
リリカ(本体=アンナ)が主張した。
「わたしもそう思う。」
もう一人のリリカ(複写=精神)が応援した。
「そうさ。絶対にね。」
アマンジャが言った。
「同感。」
ビューナスが追い打ちをかけた。
「くそっ。ばかにして。」
「バカになんかしてない。あなたの後ろには多くの金星人がいる。ダレルさんには火星人が。忘れちゃいけない。自分の野望に命を懸けることは悪いことじゃない。でも気が付いたらもう誰もいなかったら意味はない。」
ビューナスが言った。
「そうそう、だから「光の人間」の製造は、ブリアニデスさんが言う様に、もうおしまいよ。」
ビュリア(=女王ヘレナ)があっさりと言った。
「なんとおっしゃる。」
突然男性形態になったビューナスが、むっとして言った。
「あれは、いかにも無理だと思っていました。」
元女王へレナの体が言った。
「「光の人間」は、半分生き物じゃない。生物と無生物の境目に置かれた新種。あの世とこの世の中間の何かだけれど、生物の範疇からは半分落っこちてる。ただ、今のわたくしからすれば、仲間に近い。あなたもね、ビューナスさん。もう、お仲間だもの。」
「はあ・・・何をかいわんや・・・」
「これ美味しいね。どこのお菓子なのかい?」
アマンジャが尋ねた。
「それね、未来の国からやってきたお菓子なの。」
ビュリアが言った。
「は?」
「未来の女王様が、お土産にくれたのよ。ね、リリカさん。」
「いつの間にかいっぱい積んであったのですが・・・。」
リリカ(複写=精神)が答えた。
「ふんふん。見たことある、これ。」
ジャヌアンがうなずいた。
「あなたどう思うの?ジャヌアンさん。」
「え、わたしは無関係です。あなた方が決めるべき事よ。それにこのお茶会は、歴史からは外れている。」
「だから好きなこと言えばいいじゃない。」
「ふん。そうか。ならば、言います。歴史上は、火星も金星も地球人が物心ついたときには、とっくに廃墟。生物がいた痕跡も何もない。オカルト的にはいろいろ言われていたが、あなた方の存在は、ある時点まで消え去っていた。」
「ある時点?」
リリカ(本体=アンナ)が聞いた。
「そう、あなたがた火星人が攻めてきた時まで。でも、それは今から、二億五千万年後のことで、火星も金星も荒廃しきった場所。金星は厚い二酸化炭素に覆われ、表面さえ見えない。地表は生物が住める世界じゃない。もうすでにここでも、そのようだけどね。火星は薄い大気はあるけど、丸見えの裸の世界。表面には微生物を殺菌する物質が覆い、とても生物がいるとは思えない。でも、なんでそうなったのかは長い間分からなかった。火星には、過去巨大な核爆発があったんじゃないかとほのめかすようなデータがあると言う学者も、20世紀末ごろからいたにはいたが、その真実がはっきりしたのは、火星人に占領されてから大分後の事。そうそう、攻めてきたのは、リリカさんとダレルさんだった。でも、今と同じ人かどうかは知らないわ。これで、おしまい。」
「興味深いなあ。なんで、話してくれなかったの?」
ダレルが言った。
「未来人がぺらぺらしゃべると思う?」
「十分しゃべってらっしゃるわ。その真意が怖いわね。」
ビュリアが言った。
「いずれにせよ、遠からず火星も金星も滅亡するという事よ。だから、話し合いしなさい。いい、地球人がすべてを知った訳ではきっとないわ。それに、この人には、何か目的があって、ここに来ているのだから、それに沿った話しかしないはずよ。例えば歴史の改変とかね。でも、この方の頭の中は、このビュリアにも見えない。いえ、見えるけど、見たままかと言うとたぶん違う。嘘の情報で包まれている。この人の思考は何重にも隠されている。未来の地球人には、こういう芸当が可能な訳よ。女王様もお手上げ。火星人や金星人には、ここまでのテクノロジーはまだないわ。しかも、この方だけじゃないかもしれない。そうでしょう。未来の地球の工作員が、もう何百人も火星や金星に来ているのかもしれない。違う?」
「ノー・コメント。」
「だそうよ。だから、話し合いしなさいと言うのよ。ね、ブル先生。」
「ぼくは、超能力とか、宇宙人とか、オカルト的な話に興味はない。」
「私もだ。」
二人の博士が声をそろえた。
「しかしながら、話し合いをすることは大いに賛成だ。動機はともかくとして、きわめて正しい。」
「その通りだ。」
「ぼくは、自分の考えでやる。ただ、その会議にジュアル博士が参加していることは承知している。ああ・・・では、会議には火星大使も参加させよう。しかし、決めるのは、ぼくだ。」
ブリアニデスが言った。
「その通りですわ。いいことよ。よかった。お呼びして。ね、何か成果があるのよ。ダレルさんそうでしょう。」
「そうかな。」
ダレルがぼっそりと言った。
しかしブリアニデスもダレルも、何か考えに入れて無かったものの事に、思いを巡らせる必要が出て来ていた。考えることから排除するのは、難しくなっていた。
「でも、ユバリーシャ先生は何でいないのか?」
ダレルが言った。
「ほう?やはり、お気になるかしら? 女王が操っていると、思っていたからね。皆さんもね。」
「おほん。」
ブル博士が咳払いをした。
「いいわ、呼んであげるわね。ほら。」
ビュリアが魔法の呪文をかけるように、手を軽く振った。
次の瞬間には、そこにユバリーシャ教授がいた。
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マヤコは自室に入ってシャワーをした。
しかし、ウナはいなかった。
「散歩かなあ。まあいいか、とにかくご飯ご飯。」
少し遅い昼食になっていたが、待ってくれているという事でもあり、第一、お腹も相当減ったことでもあり、マヤコは食堂に向かった。
「おお、すごい食堂。」
さっき外で見た森を、そのまま室内に持ってきたような野趣あふれる食堂である。
ディメトロドンが今にも出てきそうな雰囲気がする。
時間が時間だから、他には客はいなかった。
いや、違った。一人いる。
「あらま、ウナさん。」
ウナが一人テーブルに座って待っていたのだった。
「あんた、待ってたのかい?」
「ああ、マヤコさん、話は聞きました。ものすごい格闘を怪獣としたとか。」
「はあ?」
「マヤコさんが、怪獣と格闘になって、最後は怪獣を頭の上に担ぎ上げ、3回まわしてから投げ飛ばして、怪獣が気絶したと言うお話を聞きました!」
「どっから出たんだい、そんな話。棒でぶん殴っただけだよ。」
「もう、食堂中で大騒ぎになっていました。マヤコさん英雄ですよ。」
「はあ?」
「いらっしゃいませ。お待ちいたしておりました。」
二枚目のウエイターがやってきた。
「おおー。お腹空いたんだ。何食べさせてくれるのかい?ディメトロドンのステーキとか・・・」
「ああ、あれは、食べられない事はありませんが、あまり美味しくは、ありません。どうぞ、メニューでございます。」
「ああ、どうも・・・ええと、あんた何食べたんだい?」
「いえ、まだこれからです。」
「食べずに待ってたのかい?」
「そうですよ。」
「そりゃあ、悪かったねえ。ええと、じゃあ、やっぱり地球まで来て、これはないかな? でもいいか、ガマダンプラールのジャヤコガニュアン風ステーキ。」
「結構でございます。地球で飼育したものですので珍しいですよ。」
「へえ!そりゃあすごい。じゃあそれで、あとババヌッキのカクテル。」
「わかりました。こちらさまは?」
「同じもので。ただカクテルじゃなくてジュースで。」
「かしこまりました。」
やれやれのマヤコだったが、そこに、あの副チーフがやってきてこう言ったのだ。
「施設長が是非、マヤコ様にお礼を申しあげたいと申しております。お食事がすみましたらご案内いたします。でも、ゆっくりで結構ですから。」
「はあ・・・・・・。あたしはそういうの苦手なんだけどなあ。」
「英雄なのですから、行ってきてください。」
ウナが勧めた。
「そうかい。あんたが言うなら、まあ、わかったよ。」
「ありがとうございます。」
副チーフが頭を深々と下げた。
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「ママが回復しそうです。」
バンバの部下が、そう報告してきた。
「そうか。」
「しかし、「青い絆」の攻撃隊長、いや、新しいリーダーが部下を十人ほど連れて待っています。なんかおかしいですよ。全員武装しています。ただし、おとなしく駐車場の入口で待機していますが。」
「ほう。いいさ、待たせとけ。」
「わかりました。」
「ああ、それで、いいかい、作戦ラムダだ。いいな。」
「え? わかりました。用意します。」
「ああ。」
バンバは、それから通信機を手に取った。
「ああ、バンバです。作戦ラムダです。いいね。」
一方「パレス」にも、「青い絆」の兵士3人が到着していた。
まあ、3人もいれば十分だろう、というところだった。
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マヤコは、言われなくても、ゆっくりたっぷり食べた。
「やれやれ。落ち着いたかい?」
「わたしは、何もしてませんから。」
ウナが答えた。
「ははは、まあまあ、あんたがいるから、あたしは安心なんだから。じゃあ行くかい?」
「いえいえ、それはもう、マヤコさんおひとりでどうぞ。」
「そうかい。なんか、心細いねえ。」
マヤコは、副チーフに案内されて、施設長の部屋にやってきていた。
副チーフは、ノックを3回して、ドアを開けた。
「失礼します。お連れしました。」
「やあ、これはどうも。どうぞどうぞ。」
なんとも、人懐っこい声がした。
髪の毛が、ほぼもう無くなった、かなり、「まあるい」人物が見えた。
その瞬間、3人の兵士が部屋に入ろうとして、割り込んできたのだった。
彼らにとっては、当たり前の行動だったらしい。
しかし、そこに、マヤコがいたのは計算外の事だった。
マヤコの体は瞬間的に判断して動く。
「テロリストだ!」
マヤコがそう叫んだ次の時点で、兵士3人は完全に床の上にダウンしてしまっていた。
マヤコは、しかも、アッと言う間に、全員の手にあった武器を、取り上げていた。
「うわ。なんと強い・・・。」
副チーフがあっけにとられた。
しかし、施設長は、ネクタイをいじりながらこう言った。
「留置場に放り込んどきなさい。いやあ、手間が省けましたなあ。」
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***********:: 幸子さんとの会話4::**********
「やましんさん、体調悪そうですう。」
「はあ、暑いし寒いし、まったく夜は寝られないし、体がだるくって仕方がないんですよ。これでまだサラリーマンしてたら、本当無理だったなあ。」
「それは大変。お饅頭を、どうぞ。」
「いやあ、すみません。」
「お饅頭は、百薬の長です。」
「え?そうなんですか?」
「はい。」
「そうかなあ、脱水症状と医者には言われたけど。」
「じゃあ、お酒ぱっくをどうぞ。」
「お酒は、もう大晦日以外は禁止していますよ。」
「あら、じゃあ、お饅頭でお茶をどうぞ。」
「それならOK。」
「いかですか?」
「美味しいです。生き返ります。」
「やったあ、幸子うれしい。よし!」
幸子さんがそう言うと、また、天から大量のお饅頭が降ってきた。




