わたしの永遠の故郷をさがして 第二部 第七十九章
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三人が脱衣場で待機していると、女性の警備員が五人、入ってきた。
びっくりしたことに、そのうち四人は、まるで放射能関連事故か、細菌テロでもあったような防護服を、身に着けている。
ただ、最近の一般的な防護服は宇宙服と同じように簡易化され、あまりロボットのような恐怖心を与えるようなものではなくなってきていたのだが。
顔の中身もわかる。
それでも、尋常ではない。
「気にしないでください。安全上、念のため防護服にしています。あなたがたは自室に帰っていてください。いいですね。そこからは、こちらが呼ぶまで動かないように。」
警備員の一人が言った。
「私が部屋まで護送します。」
防護服を着ていない警備員が言った。
その前に、三人は計測器で、何やら検査をされた。
「簡易検査です。害は一切ありません。・・・大丈夫です。あとで医療室で少し詳しく検査します。」
「あの、私たち・・・」
「今はいいです。後にしましょう。この状況は、他言しないでください。いいですね。混乱を防ぐためです。」
警備員はマヤコ達の口を封じた。
それから三人は、平服の警備員に誘導されて、大好きな温泉から連れ出された。
『清掃のため使用不可。『K』コートの多目的温泉が利用できます。とても美しい景観が楽しめます』
という掲示板が掲げられていた。
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「結局、あたしたちは、どこに行っても、こうなるんだ。」
ババルオナが言った。明らかに怒っている。
「まあ、怒って当然よね。せっかくの温泉旅行が台無し。ヨウコは、どうなったんだろう。あんた大丈夫?」
マヤコがウナに向かって尋ねた。
ウナは再び黙り込んでしまったが、今度は笑顔も無くなってしまった。
ババルオナが、再びウナを抱きしめてやった。
「明らかにですね、あのステーションは怪しかったんだ。何かの陰謀が行われていたに違いない。」
マヤコが言った。
「だれが陰謀するの?」
ババルオナが聞いた。
「そりゃあ、会社よ。会社は政府につながっている。だってあの会社の社長は、ビューナスだったんだからね。」
「し! ここも会社の所有なんだから。」
「あたしたちは、被害者よ。説明してもらわないとね。テレビでもつけますか。」
文明のかけらも見られない地球の温泉ホテルにも、大きな液晶テレビが置いてあった。
金星と火星で放映されているテレビ番組が、ここにも中継されている。
見慣れた金星のキャスターがニュースを伝えている。
『火星の「MHK」ニュースによると、オリンパス山に異変が見られるという事です。このところ火山性の地震が多く発生し、体に感じるような地震も増えて来ています。大きな噴火の予兆ではないかと、地域住民が心配しています。』
オリンパス山の映像が映った。
太陽系最大の火山だ。
『見たところでは、特に変わったところは見られません。しかし、情報筋によれば、火星の火山研究の第一人者である、ブル博士が王宮に入ったという情報が出ています。今のところ、王国政府は公式な見解は出しておりません。』
「はあ、それって大変かも。」
サービス品の『地球饅頭』を頬張りながらマヤコが言った。
『ここで、新しいニュースです。金星の大気循環管理システムに、異常が発生しているようだ、との情報があります。金星の大気循環監理局は、さきほどコメントを発表しました。『小さな異常があるが、すぐに危険な状態ではない。現在点検している』とのことです。このニュースは、情報が入り次第お知らせいたします。つぎはスポーツニュースです・・・』
「はあ、これって、どういうこと?」
ババルオナがウナの髪をゆっくりなでながら言った。
「さあ、でも大気循環システムが壊れたら、金星は壊滅って聞いてるわ。」
マヤコが不気味に言った。
そこで、先ほどの警備員が入ってきた。
同僚を六人ほど引き連れてきている。
「おまたせしました。これから診療室での検査を行いますので、ご同行ください。一時間くらいで済みますから、そのあとお食事にいたします。」
「あの、ヨオコの行方は?」
「現在も捜査中です。何か分かったらお知らせします。お約束します。では、どうぞこちらに。そのままでいいですから。」
三人は部屋から出た。
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ビュリア(=女王ヘレナ)は、ダレルとリリカ(本体=アンナ)、それにブル博士を率いて長い廊下を歩き、それから、ある大きな部屋に案内した。
「ここが、礼拝室です。新しい信者の皆さんは、ここで礼拝することになる予定です。」
ビュリアが言った。
「信者とは、誰の事かね?」
ブル博士が当然と言う顔で尋ねた。
「まだいませんわ。ここも、いまは封鎖されていますが、あそこに大きな入口ができます。もうすぐね。」
「ふん。信者がいない宗教ね。それは最高のような気する。」
ブル博士が皮肉った。
「それはどうも。じゃあこちらに。」
四人は、それから、ごく普通のミーティングルームのような部屋に入った。
テーブルと、椅子が六つある。
「まあ、ここは小さな会議室でもあり、さまざまな相談室にも使えます。どうぞ、お茶を出しましょう。」
すると、何もなかったテーブルの上に、お茶が四つ出現した。
「うわ。」
リリカが言った。
「ふん、魔法使いか。」
博士がささやいた。
「で、あなたは、何なんだね。さっぱりわからないが。君たちは解っているのか?」
リリカ(本体=アンナ)は、当然分かっていたが、まさかここで言う訳にもゆかない。
ダレルはしかし、こう言った。
「まあ、見当は付く。ねえビュリアさん。そうだよね。博士、この方は『青い絆』の隊員で、ビュリアさんですよ。察しの通り、『魔法使い』さんです」
「『青い絆』って、テロリストのか。」
「そうですよ。ただし、このところ、火星政府に協力してくれています。あの怪物の駆除についてね。」
「ブリューリか?」
「そうです。すでに大きな成果が上がってきています。」
「二日の内には、ブリューリ問題は解決できます。」
ビュリア(=女王へレナ)が言った。
「ほう。私はその専門じゃあないがね。しかし部下を何人かやられた。是非そうして欲しいね。」
「ええ、間違いなく解決しますわ。いまの課題は、すでに次の方向に向かっています。でも、今日は宣伝ですもの。さあ、これをどうぞ。」
ビュリアは、傍らにあった本を三冊、各自に手渡した。
びっちりと製本された、とても高級な書物だった。
「これは、タル・レジャ教の、最初の経典です。さしあげます。どうぞご覧ください。あなた方は、タル・
レジャ教の、最初の信徒です。」
「はあ?ご冗談を。」
博士が呻いた。
「ぼくは、そう言うのは嫌いだ。」
「だから大切なのです。嫌いで、嫌な方こそ、大切なのです。まあ、読んでみてください。」
「忙しいのに。できないが、まあせっかくだからいただいておこう。ありがとう。」
「いいえ。こちらこそ。さあ。皆さんお忙しいのです。帰りましょう、先生はここでお別れです。ダレルさんとリリカさんにはお話があるのです。あの場所に行きましょう。」
「あの場所って?」
ダレルが聞いた。
「あの、分かります、一緒に行きます。先生、またすぐご連絡いたします。」
リリカ(本体=アンナ)が答えた。
「まあ、お茶は、飲んでいってくださいな。おいしいですよ。」
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