チビチビトリオのドタバタ劇
今回の主役は、小学生トリオです
「歩も3Sに入りたい!」
シロキバに遊びに来ていた歩の唐突な一言から全ては始まった。
「危ないから駄目!」
通が当然の様に反対するが、珍しく歩が納得しなかった。
「歩も闘うの!」
その騒ぎで較美が泣き出したところでヤヤが出てきた。
「まー試験期間として、サブとして働くって言うのはどう?」
その言葉に歩が直ぐに乗ってくる。
「それで活躍したら、歩も正規の3Sに入れるんだよね?」
頷くヤヤ。
通が怖い視線を向けてくるのでヤヤが説明する。
「とりあえず、クラスメイトの子と組ませるけど、二人とも強いから簡単な仕事じゃ怪我する心配ないから安心して」
「もしかして千剣ちゃんと組ませるんですか?」
モゴの言葉にヤヤが頷く。
「ツモロウも入れて、貴女達と同じ三人組ね」
「大丈夫なのですか?」
静が心配そうに聞いてくると良美が言う。
「大丈夫だろう、ツモロウは、八刃の血筋の人間じゃないが、両親ともかなり強い、生まれた時から人外と触れてた所為で、本人もかなり強い。下手したら、静や通より戦闘なれしてるぞ」
驚く、静と通だったが、モゴが一言。
「二人とも戦闘回数一桁だもん、普通に戦いに関ってたら二人より経験値高いよ」
翌日の歩の教室。
「そーゆー事で、歩達でサブ3Sを組み事になりました」
それに対して、金髪ガンマンルックの女子クラスメイト、ツモロウ=ホープが言う。
「それなら、サブも略して4Sにすれば良いぜ!」
大きく頷く歩。
「サブよりカッコイイからそれに決定!」
歩の宣言に、自分の身長ほどある日本刀の手入れをしながら、千剣が言う。
「拙者は、仕事自体はかまわんが、なんでガンマンなんぞと組まないといけない?」
敵対心バリバリでツモロウを見る千剣。
「その言葉そっくり返すぜ、時代遅れの侍」
二人の間にスパークが走る。
しかし、そんな二人の緊張など何処吹く風、歩は一人元気に言う。
「さー今夜から活動だよ!」
歩達、4Sのメンバーが、夜の校舎を巡回していた。
「貴様は何で自転車に乗っている?」
千剣の疑問にツモロウは指を振る。
「解ってないな、これは、マウンテンバイク。つまりあたいは、バイクのりで、ガンマン。ガンマンライダーだ!」
「凄い!」
手を叩く歩。
「それで何で持っている銃が銀球鉄砲なのだ?」
千剣の鋭い突っ込みにツモロウが不満気な顔で答える。
「あたいもカッコイイモデルガンが良いって言ったんだが、モデルガンは色々と問題があるから駄目だとヤヤさんに言われたから仕方なくだ」
その言葉に、歩が千剣に言う。
「チーちゃんの日本刀は良いの?」
千剣は自分の刀を抜いて言う。
「日本刀は拙者の魂だ! ちゃらちゃらした拳銃と一緒にしてもらっては困る」
「なんだと! パパのマグナムは凄いんだぞ!」
そう宣言して、銀玉鉄砲を構えるツモロウに刀を向ける千剣。
「いいなー、二人とも武器あって」
物欲しそうな顔をする歩。
「そんな貴女にグッドニュースよ」
毎度の事ながら突然現れた光は、一つのボウガンを歩に渡す。
「これは、通も使った事がある、キラーボウガンを使いやすいように小型化した物で、Sボウガンと呼んでる物よ。これをレンタルしてあげる」
目を輝かせ、それを受け取る歩。
「ありがとう、光さん」
「気にする事は無いわ。頑張ってね!」
そして消えていく光。
「あの理事長、いつも何処から現れて、何処に消えていくんだ?」
ツモロウの言葉に千剣が言う。
「鏡さんが、影走で輸送している」
「おもいっきり無駄に力を使っているな」
ツモロウの感想に頷く千剣。
そんな三人を屋上から見守っていた通が怒鳴る。
「理事長も余計な物を渡す!」
「歩ちゃんが心配なのは解るけど、どうしてあちき達までこんな所にいるの?」
付き合わされる事になったモゴがぼやく。
「うるさい。もし何かあった時の用心よ!」
通の言葉に、大きく溜息を吐く、モゴ。
「あちきも静みたいに、用事があったら良かった」
歩達4Sのメンバーが、校舎を歩いていると、突如現れる七色に変色する兎。
千剣が咄嗟に居合いの構えをとると、七色兎は、耳から怪音波を発生させる。
耳を押さえる歩達をあざけ笑う様に逃げていく兎を見て、ツモロウが怒鳴る。
「逃がすか!」
マウンテンバイクで信じられないスピードを出し続け、即座に追いつくツモロウ。
「これでお終いだ!」
銀球鉄砲から弾が出る。
七色兎は急ブレーキをかけて横に飛ぶ。
外れた銀球は、床に当り爆発する。
「外した! 次は外さないぞ!」
マウンテンバイクで直角にカーブして追跡を続けるツモロウであった。
「あれ何?」
引きつった顔で呟く通。
「ツモロウは、自分の乗り物を加速させたり、慣性をコントロールして直角に曲がったり出来るの」
モゴは平然と答える。
「それもそうだけど、銀玉鉄砲の弾が爆発したよ!」
通の言葉にモゴが淡々と答える。
「銀玉に自分の力を込めて打ち出してるだけ。自分だって木の矢に雷撃とか炎とか込めてるんだから、驚かないでよ」
「もう少し常識って物を大切にしようという気持ちは無いの?」
通の希望を込めた言葉にモゴは少し考えてから答える。
「ここ非常識学園だから無理」
納得してしまう通だった。
「退け」
千剣はそう言いながら、七色兎の前に出ると、居合い抜きをする。
それは、周りの建物を数メートルに亘り切り裂くが、七色兎は上手くジャンプして避ける。
それに千剣が舌打ちする。
「拙者の間合いから外れた」
その横をツモロウが駆け抜けていく。
「所詮、刀じゃそれが限界さ!」
そう言って銀玉鉄砲を連射するが、七色兎に当たる前に、勢い失って床に落ちて、床を爆破していく。
「拙者の間合いとそう変らんな。これだったら威力がある、拙者の居合いの方が優れている」
千剣の言葉に睨み返すツモロウ。
そんな二人の間を一本の矢が突き進み、七色兎の足を捉える。
「やったー当たった!」
嬉しそうに飛び跳ねる歩。
複雑な表情で歩を見る、千剣とツモロウ。
その時、七色兎はいきなり巨大化して。
「特撮の怪人じゃないんだから、大きくなるなんて反則だよ」
弱気になる歩。
「この程度!」
千剣の居合い。
「あたいは負けないぜ!」
銀球鉄砲を連射するツモロウ。
しかし、巨大化した七色兎は分厚い毛皮でそれを弾いてしまう。
のしのしと近づいてくる七色兎に、身を寄せ合う4S。
そこに七色兎は巨大化した耳を震わせて、物理的なダメージを伴う怪音波を発生させる。
「助けてトー姉!」
歩がそう叫んだ時、一匹の土色の駝鳥が現れてその大きな翼で歩達を覆い、怪音波から護る。
少し前の屋上で、モゴは、慌てて土色の駝鳥のぬいぐるみを投げ落とし唱える。
『百母桃の名の元に、この寄り座しを用いて、ここに獣晶せよ、地壁駝鳥』
ぬいぐるみは、地面で土色の駝鳥、地壁駝鳥に変化して、歩達をその翼で覆い護る。
『九尾弓』
通は、眼鏡を外して、九尾弓を構える。
「よくも歩に怖い思いをさせたな!」
右手を左手の羽矢筒に入れる。
『華金色鳥矢、孵化』
通は、良い霊木で作られた金色の矢を九尾弓に番える。
「死に腐れ!」
通の放った華金色鳥矢は、巨大化した七色兎の胴体を刺さる。
『羽撃』
通の声に応え、巨大七色兎は、体中から無数の針が穿たれ、瞬時に消滅する。
通達が来た時、危険はある程度の馴れっこの千剣やツモロウと違い、歩が泣いていた。
通はそんな歩を抱きしめて言う。
「解ったよね? もうこんな危険な事しちゃ駄目だよ」
微笑む通に対して歩は、涙を拭い、強い意志を込めて頷く。
「うん! もっと強くなって自分達だけで魔獣倒せるように成る!」
言葉を無くす通。
「こりて無いみたいだね」
モゴの呟きに、千剣もツモロウも頷いた。
「しかし、良かったのですか百万もするSボウガンをあげてしまって?」
鏡の言葉に光が笑顔で言う。
「レンタルしただけよ。レンタル料は通への報酬から天引きさせてもらうから取り損ねる事無いしねー」
新しい収入源に微笑む光であった。
今回のモゴの収支
○収入
虹兎退治 50,000
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合計 = 50,000
○支出
地壁駝鳥(触媒・ぬいぐるみ製造費) 3,000
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合計 = 3,000
◎利益
収入 50,000
支出 - 3,000
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純利 = 47,000
●借金残高
繰越金額 199,233,100
返済金額 - 47,000
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借金残高 199,186,100
今回の通の収支
○収入
虹兎退治 50,000
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合計 = 50,000
○支出
華金色鳥矢 30,000
Sボウガンレンタル料 20,000
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合計 = 50,000
◎利益
収入 50,000
支出 - 50,000
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純益 = 0,000
●通のサイフ中身
おこずかい残金 12,100
退治バイト利益 0,000
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サイフ残金 12,100




