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もう一つの武士の誕生  作者: 熊さん
第二章:関東の理
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日光への道行

2-9

日光への道行



宇都宮の微高地を下ると、田んぼが続いている。


棟梁は、考えた。


《この田んぼは、随分と四角いのだな、兵士は相変わらず呑気のようだ》


童子は、気にせず前に進んだ。

田んぼの横を走るのは、気持ちが良かった。


すると、田んぼが切れて、壁のように立ちふさがる大きな石が出て来た。


「凄いな、初めて見るぞ、石が壁のようにそびえている。凄い。」


「そうですね。私も最初に見たときは驚きました。」


壁を避けるように進んでいくと林になり、上り坂にあなっていく、道が獣道のように細くなっていたが、土は踏み固められていた。


「普通の森とは違うんだな、空気が急に変わった」


「どの様に変わったので?」


「そうだなぁ、木の間に冷気のような感じかな、、、」


童子には、分からない感覚だった。

棟梁は、身を引き締めている。


《獣の感じが違うのかもしれない》


棟梁は威圧のようなものを感じた。


日の射さない林は深く静かだった。


と、平らな田んぼが見えてきた。

先に集落があった。

童子は構わず入っていった。


「族長、童子です。ケヤキの棟梁を連れてまいりましたた。」


「童子様、ようお越しくださいました。」


馬から降りた二人は、手綱を若いものに渡すと、前に進んだ。


「童子様、様お越しくださいました。祭祀です。」


小屋の中から、男体山の麓の祠の祭祀が出て来た。


「後から向かうつもりだったのだ、祭祀様、ごきげんよう」


様子を見ていた棟梁が切り返した。


「お初にお目にかかります。ケヤキの集落の棟梁です。」


棟梁は前に出て族長と祭祀に挨拶した。


「ケヤキの集落は、宇都宮からも警戒されてる集落、良くお越しくださいました。」


童子は、祭祀と棟梁が分かりあってることが分かったが、何事が起きてるか理解できなかった。


族長と祭祀に続き、小屋に入った。


族長の小屋は入り口が狭くなっているようで、中は広かった。


焚き火が石で囲まれた作りになっていたが、その周りに皆が座った。


すると、棟梁がいった。


「この山に入って、気がついたんですが、登って来た森には熊でもいるんですか?」


童子は、何を言うんだと思ったが、皆は笑っている。

すると祭祀が答えた。


「さすがですね。通り道には出ないはずなんですが、よく気が付かれましたね。」


童子も、熊が危険な動物であることは知っていた。

事もなげに、皆は話してる、

棟梁も気にしてるようではなかった。


皆はケヤキの巫女の話や暮らしのこと、権現堂の祠の祭祀に付いて、話題が続いた。


この日光の民たちも宇都宮の巫女から聞いているのだろう。


棟梁と祭祀は、昔からの仲間のように語り合っていた。


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