日光への道行
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日光への道行
宇都宮の微高地を下ると、田んぼが続いている。
棟梁は、考えた。
《この田んぼは、随分と四角いのだな、兵士は相変わらず呑気のようだ》
童子は、気にせず前に進んだ。
田んぼの横を走るのは、気持ちが良かった。
すると、田んぼが切れて、壁のように立ちふさがる大きな石が出て来た。
「凄いな、初めて見るぞ、石が壁のようにそびえている。凄い。」
「そうですね。私も最初に見たときは驚きました。」
壁を避けるように進んでいくと林になり、上り坂にあなっていく、道が獣道のように細くなっていたが、土は踏み固められていた。
「普通の森とは違うんだな、空気が急に変わった」
「どの様に変わったので?」
「そうだなぁ、木の間に冷気のような感じかな、、、」
童子には、分からない感覚だった。
棟梁は、身を引き締めている。
《獣の感じが違うのかもしれない》
棟梁は威圧のようなものを感じた。
日の射さない林は深く静かだった。
と、平らな田んぼが見えてきた。
先に集落があった。
童子は構わず入っていった。
「族長、童子です。ケヤキの棟梁を連れてまいりましたた。」
「童子様、ようお越しくださいました。」
馬から降りた二人は、手綱を若いものに渡すと、前に進んだ。
「童子様、様お越しくださいました。祭祀です。」
小屋の中から、男体山の麓の祠の祭祀が出て来た。
「後から向かうつもりだったのだ、祭祀様、ごきげんよう」
様子を見ていた棟梁が切り返した。
「お初にお目にかかります。ケヤキの集落の棟梁です。」
棟梁は前に出て族長と祭祀に挨拶した。
「ケヤキの集落は、宇都宮からも警戒されてる集落、良くお越しくださいました。」
童子は、祭祀と棟梁が分かりあってることが分かったが、何事が起きてるか理解できなかった。
族長と祭祀に続き、小屋に入った。
族長の小屋は入り口が狭くなっているようで、中は広かった。
焚き火が石で囲まれた作りになっていたが、その周りに皆が座った。
すると、棟梁がいった。
「この山に入って、気がついたんですが、登って来た森には熊でもいるんですか?」
童子は、何を言うんだと思ったが、皆は笑っている。
すると祭祀が答えた。
「さすがですね。通り道には出ないはずなんですが、よく気が付かれましたね。」
童子も、熊が危険な動物であることは知っていた。
事もなげに、皆は話してる、
棟梁も気にしてるようではなかった。
皆はケヤキの巫女の話や暮らしのこと、権現堂の祠の祭祀に付いて、話題が続いた。
この日光の民たちも宇都宮の巫女から聞いているのだろう。
棟梁と祭祀は、昔からの仲間のように語り合っていた。




